2025年8月30日土曜日

映画『ザ・ハント』

2020年 監督:クレイグ・ゾベル
製作国:アメリカ
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意外とグロかったので見るのやめようと思っていたところ、主人公誰??っていう引き込み展開にはまって最後まで見てしまった。
見終わって10分で忘れそうな映画だったがまあまあ面白かった。
予告編貼っといてなんだけど予告編は見ない方が楽しめそう。

マナーゲートと呼ばれるゲームがSNS上の陰謀論の一種としてまことしやかに囁かれていた。
それは富裕層が娯楽で特殊な領地に人間を集めて人間狩りを楽しむというもの。
そんな悪趣味なゲームが舞台。

謎なのは狩られる側に大量の武器が与えられるところ。
フェア感を出して罪悪感を少しでもぬぐおうとしたのだろうか。(富裕層はやられないようにするためか軍人を顧問にして訓練を受けていたりする)
物語が進んでいくと、アメリカ中から集められた彼らは何を基準に選ばれたのか?マナーゲートがなぜ開催されたのか?っていうところが明かされていく。
富裕層対貧困層。
これがどちら側の人間も糞な人間として描かれているのが面白い。糞対糞。
なんか調べていると、アメリカの左右の分断対立を強烈に皮肉っているとかなんとか。
そんな社会派?映画だが、普通にサスペンスアクションとして楽しめる。
B級スプラッターとか微妙にコメディ要素もあったりするのは社会風刺という意味ではコケにしている感があっていいよね。

最後の方で一瞬映ったシャンパンに「1907年エドシック」という字幕が付いて何だろうと思っていたんだけど、今見返したら冒頭で話していたシャンパンの話か!

2025年8月24日日曜日

映画『自由を手にするその日まで』

2016年 監督:天野友二朗
製作国:日本
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女性の感傷的でチープなモノローグから始まる。
赤い墨で描いた手書きのタイトルクレジット見ていると、モノローグといいああこれもしかしてぶっとんだB級映画かなと思う。
と思わせておいて!
オフィスで二人のおばさんに朴訥そうな青年がいびられているシーンに。
めっちゃパワハラ。胸が痛い。
しかもこの二人だけじゃなくて、他の女性社員もめっちゃ怖い。ヤンキーですか?
このパワハラがめっちゃリアルなの。
仕事の件で話しかけても無視とか嫌そうに対応したりとか。罵声怒号人格否定小ばかにした笑い。手が出ないだけが救い。
「対岸の火事」はやがて新人社員の女性(みやび)に向けられる。
新人がミスして「どけ!」って押しのけられるの、ああ、懐かしいぜ。昔よくやられたw
同じ新人の別の子には優しいし、最初の青年があまり怒られなくなっているを見るとパワハラよりも陰湿ないじめだよな。いじめの対象が変わった感じ。
この状況を理解してくれる味方が一人もいないのがつらい。
遅れて登場する部長の男がなにか救ってくれるのかと思いきや、この部長はもっとやばいという。
そんでこのクリニックのトップである院長はさらに上をいくという。。
パワハラにセクハラ。
新人のミスの責任を負わない上司。
患者もめっちゃひいているしw
もう信じられない胸糞。
パワハラいじめおばさん達は吐き気がするくらい醜いし、男の上司もキモ醜い。
元いじめられっ子の青年もいじめ側に回っているのは笑う。「言うこと聞いてくれ!」って言う言い方と仕草は最高に上手い。

さて、中盤までひたすら胸糞なこの映画、ここまで長時間引っ張っておいて最後にカタルシスはやってくるのか。
結論、やってきたようでやってこないw
後半はB級なノリになってくる。復讐代行サービスなるものも出てくるし。
ガスマスクで何か調合しているシーンの無駄な煙とかギャグ。
主人公までスイッチしているようでカオス。

それにしてもこんなの学生が見たら自分の将来に絶望するんじゃないか。こんな社会で生きていけないって。
ありえない糞が集まったクリニックが異様ではあるが、パワハラの内容がリアルすぎてこの異様さが霞む。
そのうえ転職会社のエージェントまで胸糞な態度とるし、しまいにはコンビニバイトのギャルですら胸糞って。

いやー、キモイ映画だった。
パワハラや鬱の経験がある人は見ない方がいいと思う。

そういえば『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』も似たような状況(パワハラ度低め)はあったけどその結末はわかりやすいカタルシスでちゃんとしめくられていたな。

2025年8月22日金曜日

映画『(r)adius ラディウス』

2017年 監督:カロリーヌ・ラブレシュ
製作国:カナダ
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SFホラーみたいな感じだがどちらかというとサスペンス。
田舎道で交通事故にあったらしいリアム(ディエゴ・クラテンホフ)は、通りすがりの車に助けを求める。
しかし運転手は何か様子がおかしくて、ドアを開けると死んでいた。
リアム自身頭からかなりの出血をしているのに運転手を助けようと救急車を呼ぼうとする。
そこでやっとリアムは自分の名前が分からない、記憶を失っていることに気づく。
助けを求めて立ち寄ったレストランでは従業員も客も全員死んでいた。
めっちゃテンポがいい。
冒頭5分でリアムの人柄がわかるし、何か謎の現象が起きているらしいという引き込み方もうまい。

なにかやばいウイルスやらガスが空気中に大量に飛散しているのか?
ならばなぜリアムだけ無事なのか?
とまあそこはあまり重要なネタバレじゃないのだが。
人が死ぬ理由(条件)はすぐ判明するし。
しかしよくそなんなん気づくよな。
全く気づきもしなかったから口の覆いを外す理由も距離を測っている理由も分からず、なにやってんのこの人って感じで見ていた。

まあまあ面白かった。
ラストの後味は悪い。切ないというか劇的というか胸糞というか。

2025年8月17日日曜日

映画『娼年』

2017年 監督:三浦大輔
製作国:日本
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主演松坂桃李で原作石田衣良(1作も読んだことない)、ってことで変なことにはならないだろうと思って見始めたらなんかなんだこれといった感じだった。。
ピンク映画よりもピンク映画していて、何か滑稽にすら思えてくる。人のSEXをはたから見るのってエロい時もあれば滑稽な時もある。これはどちらかというと滑稽が勝っていた。
ラストの光の空間の中での疑似3Pみたいなシーンには笑ってしまったんだけどそこでやっとこの映画の見方が分かった、というかこれコメディーだよね。

有名大学の学生森中領(松坂桃李)は、大学にもろくに通わずにバーテンダーの仕事をしながら無気力に毎日を過ごしていた。(アルバイトのバーテンダーが一人いるだけのバーってなんなのよ)
「女なんてつまんないよ」「セックスなんて、手順の決まった面倒な運動です」
思春期の大学生っぽい。クール。
そんなすかした領の言葉にぶちぎれた御堂静香(真飛聖)は領にあるテストを持ち掛ける。
そんなこんなで領は静香が経営する会員制ボーイズクラブのメンバーになる。
で、マダムな女性客達との交流の中で領が成長していくみたいな話。

ストーリーはなんだかよくわからず。原作読めばもっと説明があるのだろうけど。
セックスなんて、とかいう割にはやっている時めっちゃ興奮しているし感度も高いのは矛盾がすぎて。
「女なんてつまんないよ」の理由もよく分からず。
「子供の頃から大人の女性が好きでした」はぁ?好きなんじゃん。
領の成長譚のはずが、色んな性癖の女性とセックスしました、っていうだけになっている気がする。
天然でマダムが喜びそうなセリフを吐いたり、本好き設定で都合よくプラトン読んでたり、ってありがちでできすぎな設定だな。

コメディーと位置付けるとあのシーンとかこのシーンとかいろいろ笑っていいんだという気になってくる。
ストーリー上の突っ込みもそうだけど、グラサンかけておらつきSEXしているシーンはあれはやっぱり意図的なギャグだよな。西岡徳馬もよく飛ばすw
グラサン姿がまたおかしいの。

江波杏子も客として出てくる。これが遺作か。

成長した僕を見てください、っていうけど何が変わったんだろう。
少し優しくなったのと、焦らしという名の必殺足指舐めを覚えたってだけじゃないのか。
指入れるタイミングはめっちゃ早いし相変わらず乱暴な動きだし。
(見せるための濡れ場なのはわかるけどそれならもっとわかりやすく成長の度合いがわかる演出が欲しい)

女優陣は皆体当たりでよく頑張っている。
全員凄いなと思うけど、放尿の子が一番体当たりだったな。
大谷麻衣さんが奇麗。

以下ネタバレ

Wikiに原作の概要が載っていて、それによると恵が未成年への売春を通報したから静香が捕まったらしい。
原作は他にもいろいろちゃんと描写されていて実は面白いのかなぁ。

2025年8月16日土曜日

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』

2019年 監督:セバスチャン・スタイン、ニンジャマン
製作国:ガーナ / ドイツ / 日本
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第二次世界大戦後、ヒトラーと東条英機は実は生きていてガーナに亡命していた。
カラテの暴力となんか不思議な力を持つ党旗による洗脳で、ヒトラーと東条による一大勢力がガーナに誕生した。
彼らに対抗するにはカンフーしかない!

1mmも似せる気のないヒトラーと東条。(ヘルマン・ゲーリングに至っては黒人化)
設定も設定だし、ああそういう映画かと思ったものの冒頭2,3分でもうギブしようかと思った。
B級というかとんでもないくそ映画っぽい。。

字幕がなぜか関西弁で、物凄い違和感がある。遊び心とかじゃなくて関西弁を馬鹿にしているようにすら思える。
雰囲気がおバカ映画ってだけで、がっつりコメディーしているわけじゃないからな。
普通に会話しているシーンでこてこての漫才みたいな関西弁使われても全く合っていない。
道場が襲われている緊迫した状況で、「何してんねん、アンドコ飲んでる場合ちゃう」とかいうセリフ吐かれたら気が抜けるわ。

おバカ映画のくせに無駄にグロかったりもする。いや、おバカ映画はなぜかグロがつきものか。
唐突に指が切り落とされたり、がっつり目つぶし、首ちょんぱ等々。

時代設定は1940年代後半くらいだと思うけど、街並みもなにも現代を隠す気0。
というかそんな時代にガーナにカンフー道場があるのがおかしいかw
ヒトラーなんかDJやってロボットダンスしたりしているからなw
ラストの重要なシーンに出てくる車なんて。。

ヒトラーと東条なんてストーリー上この二人である必要性が全く無い。
東条とか天皇の扱いみていると右翼団体がぶちぎれそう。
そういえば『帰ってきたヒトラー』はよくできたお話だったなぁ。

ストーリーで致命的なのは主人公のアデーが全く魅力がないところ。
大会のメンバーに選ばれずにふてくされているところなんか何こいつ状態だよ。
まあ、ストーリーなんてあってないようなもんだけど。

たぶん好きな人には好きなんだろう。
比較的どんな映画でもそれなりに楽しく見ることができる私でもこれはちょっと厳しかった。。

調べてみると監督のセバスチャン・スタインは日本在住のドイツ人で、ヒトラー役の人だった。
なるほど、確かにこんな映画撮りそうな顔している。
東条役の人にいたっては、役者どころか監督の知り合いの便利屋やっている人らしい。
ランニングシャツの日焼け跡がまぶしい白くぶよぶよな肉体美で選ばれたのかな。

吹き替え版もあって、アデー役はなんと水島裕。
ゲーリングは天龍。
吹き替えの方が面白そうだな。

あと、2が今公開されている。
予告編みると2の方がもっと自由にぶっ飛んでいそう。

ああ、なんか普段よりたくさん感想書いている気がする。別に面白かったわけじゃないのだが。。

2025年8月11日月曜日

映画『殺人狂時代』

1967年 監督:岡本喜八
製作国:日本
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痛快娯楽アクション。
この時代における最高のエンタメ作品じゃないだろうか。
観客をひたすら楽しませようとする愛を感じる。

冒頭のブルッケンマイヤー(ブルーノ・ルスケ)の棒読み日本語と、溝呂木(天本英世)の怪しさと患者たちの狂った笑い声に、アニメーションのオープニング!
なんじゃこりゃって面食らうが、慣れてくると楽しい。
カットの切り替えもドアのスイッチの音が次のカットのジッポの音と重なっていたり、凶器を投げる仕草から肉を台にバンと叩きつける次カット、でそのまま肉を裁く手越しに主人公を映したり。っていう遊び心に溢れている。

女催眠術師の最後が一番面白かったな。
「ビル!覗け!」で一生が終わるとは。

主演は仲代達矢。役の桔梗信治は大学教授なんだけど、マザコンで水虫でのほほんとした変人。
家に知らない男(殺し屋)がいても気づかないし気づいた後もインスタントラーメン食べます?みたいな自由っぷり。
そんなのんびり男が殺し屋やちんぴらとかを次から次にのらりくらりと撃退していく。
段々実は何か裏ああるんじゃね?って匂わせるのもうまい。

ヒロインに団令子。美しい。
役どころは何か怪しさがあったがそういうことね。

この予告編は何か出し惜しみという概念なく全部出している気がする。

2025年8月2日土曜日

映画『コンテイジョン』

2011年 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
製作国:アメリカ
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ウイルスパンデミックもので、なかなか設定がリアルなつくりになっている。
ウイルスの解析からワクチン作成までの多大な尽力、感染源の特定、どう公表するかの戦略、陰謀論者の人気ブロガーの暗躍、CDC長官の身内びいき(SNSでばれる)等々。
ただまあ登場人物が多すぎて誰が誰だかよくわからなかったりする。
CDC?WHOの人だっけ?みたいな。
あと、長官が"友人"に逃げるように言ったことが問題だったらしいが、その頃にはもう世界中がパニックになってたんじゃないの?いまいち世間との温度差が分からず。
人々があまりマスクしてなかったりべたべた触ったりしているのが気になったけどそれはまだ危険度の認知が低かったからなのかなぁ。

キャストが豪華。
グウィネス・パルトローが早々に退場するみたいに使い方も豪華w
解剖シーンは結構驚いた。
マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、マリオン・コティヤール。

群像劇みたいだから一人ひとりに焦点充てる時間が無いのだろう。
それにしてもマット・デイモン演じた役の設定だけで2時間ドラマが作れそう。
連れ子同士の結婚で、夫は就活中でキャリアウーマンの妻は不倫中とか。そんな複雑な設定いるのかw
妻と幼い息子を同時に失って、感情を爆発させるシーンはあるものの、なんか立ち直り早くないかと思ったのはこういう複雑な設定が絡んでいたりするのだろうか。

Day2から始まるのなんなの?って思ったがそういうことか。

ど派手な展開はないものの、堅実でなかなか面白かった。