2010年10月24日日曜日

映画『モリエール 恋こそ喜劇』

2007年 監督:ローラン・ティラール
at ギンレイホール


モリエールの来歴のうち、空白の数ヶ月を描いたフィクション。
実力のある役者陣の軽妙な掛け合いが終始楽しい。

モリエール役にロマン・デュリス。
いいんだけどロマン・デュリスはやっぱり現代の若者で見たいなぁ。
と思ったらこの人いつのまにかもう36歳。

準主役で存在感抜群なのがファブリス・ルキーニ。
この人の目が泳いだ感じはコメディで遺憾なくその実力を発揮する。
(シリアルな映画でもどこか愛嬌を感じさせるから本当面白い)

ロマン・デュリスのロマンスの相手役にラウラ・モランテ。
程よくふくよかな体格から母性と共に大量の色香を発散している。
始めて見る女優さんだと思っていたけど、『息子の部屋』の母親役の人だ。
と、そんなことより撮影当時50を過ぎてるじゃん。
こんなにエロい50代がいたとは。

この3人が主要登場人物で、コメディながら3者の円熟した演技力の掛け合いはなかなかの見もの。
ちょっとロマン・デュリスが浮き気味な気もしないでもないけど。

他にもリュディヴィーヌ・サニエちゃんも脇役で出演して華を添える。

映画『オーケストラ!』

2009年 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
at ギンレイホール


オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

フランス映画だったんだな。
ロシアのボリショイ交響楽団で清掃員として働くアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコフ)は、かつて天才指揮者として名をはせた男だった。
ある日支配人の部屋でパリの激情から届いた出演依頼のFAXを目にしたアンドレイはかつての仲間を集めて偽ボリショイ交響楽団として出演を企てる。

オーケストラなので当然最後は演奏で締めくくられるのだけど、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、これが泣ける。
終始おちゃらけたノリの中に少しずつ織り込んだ真面目なストーリーが最後の演奏に集約して。

30年のブランクはあっても一応実力は折り紙つきの元一流演奏家集団という設定だけど、30年のブランクがありながらリハーサルすら真面目にしないってどうなんだろう。
リハーサルどころか練習すらしない。
中には30年ぶりに楽器に触って本番を迎える者もいたんじゃないだろうか。
プロとしての誇りすらないのか、と思うけど本番の演奏中の団員の心境の変化を描くためには下手糞でなければならないしねぇ。難しいねぇ。

2010年10月10日日曜日

映画『春との旅』

2009年 監督:小林政広
at ギンレイホール


春との旅【DVD】

主演仲代達矢!と徳永えり。
それから淡島千景も出ているし、他にも田中裕子、香川照之、大滝秀治、柄本明、小林薫、菅井きん、美保純、戸田菜穂も出演。
この豪華キャストの監督は一体誰なのかというと小林政広。。。
あざとい演出であんまりいい印象の無い監督だから微妙と思ったものの、これはそんなに悪くは無い。
だって仲代達矢を安いビジネスホテルのロビーに一人で座らせるんだぜ。

徳永えりは目の力が凄く良くて、仲代達矢の存在感に負けていない。
あの蟹股走りは演出なのかな。演出ならばなかなかやるな。
予告編でも流れたけど、仲代達矢と腕を組んで二人で走っていく後姿はあの走り方もあって泣きそうになる。

映画『パーマネント野ばら』

2010年 監督:吉田大八
at ギンレイホール


パーマネント野ばら [DVD]

「私、狂ってる?」って瞬間『ニンゲン合格』の「俺、存在した?」を急に思い出した。
海に面した田舎町の下品で不幸だけど逞しい人達のショートエピソードはうんざりする寸前で程よく制御され、ラストで積み重ねたイメージが一気に心に浸透する。
他者との関わりの中で生きる人間の根源的な問いかけは悲しくて温かい。

主演菅野美穂。
この人はドラマでも映画でも一本も観ていない気がするけど、こんないい女優さんだったんだな。

原作はいつの間にかのりにのっている西原理恵子。