2012年11月4日日曜日

映画『屋根裏部屋のマリアたち』

2010年 監督:フィリップ・ル・ゲ
製作国:フランス
at ギンレイホール




1960年代のパリ。
証券会社を経営する資産家のジャン=ルイ(ファブリス・ルキーニ)の家には、先代から仕えるフランス人メイドがいたが、妻のシュザンヌ(サンドリーヌ・キベルラン)に反発して辞めてしまう。
新たにやってきたのは若く美しいスペイン人マリア(ナタリア・ベルベケ)。
ただの主人とメイドという関係だったが、アパルトマンの屋根裏で共同生活を営むマリアを含めたたくさんのメイド達の生活に、ジャン=ルイは次第に興味を抱いていく。
興味というかちょっと親切にしたらえらく喜ばれて神のように扱われて有頂天になったという感じ。

やがてジャン=ルイはマリアに恋するようになるのだが、ただのメイドを見る視線が劇的に変化する瞬間がある。
それはバスルームでシャワーをあびるマリアを偶然覗き見してしまう瞬間。
肉感的で抜群のプロポーションをしたマリアの後姿を覗き見て何も感じない男はいない。
理性ではメイドに対してそんな思いを抱いてはいけないと思いつつも、心は完全にこの瞬間にマリアに向いた。
男の恋愛なんてほとんどが性欲ありきだ。
特定の女性によって性欲を大きく刺激させられたら簡単に恋してしまう。
しかも覗き見ってところがまたいいよね。
いや、別に僕に覗き趣味があるわけじゃなくて、映画自体覗き見みたいなもんだから映画的だっていう。。

既婚者が別の女性に惹かれていくっていうのは大抵妻役が嫌な女だけど、妻のシュザンヌはそんなに嫌な人ではない。
えせブルジョワ風で高慢に見えるところもあるけど、1960年代っていう時代柄では性格の良し悪し以前に普通の価値観なのだろう。
純朴な少女のような心を持った田舎娘なのにねぇ。
ただ長いマッチ棒のような女性より肉感的な美女の方がいいよなぁってだけで捨てられたら可哀想でもある。

主演はファブリス・ルキーニ。
今、最も好きな俳優。
役にもぴったり。
この人は優しいのか冷たいのか、無表情なのか表情豊かなのか、変態なのか真人間なのかよくわからない不思議な魅力がある。
「冷たさと優しさを同時に湛えた読めないあの瞳に引き込まれていく」
っていう先日樹木希林について書いた言葉がそのまま当てはまりそうだ。
ということはファブリス・ルキーニはフランスの樹木希林と呼んでもいいかもしれない。
いや、役者としてはファブリス・ルキーニの方がすきだから樹木希林が日本のファブリス・ルキーニかな。

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