2013年3月19日火曜日

映画『ミラノ、愛に生きる』

2009年 監督:ルカ・グァダニーノ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




1960年前後の映画のようなタイトルクレジットとともに、どこかの上流階級のお屋敷で始まろうとしているパーティの様子が描かれる。
何人もいるお手伝いさんが次々に料理を運んでいく。
なんだけど、流れる音楽がどこか不穏で、何か陰惨な事件でも起きそうな感じ。
運ばれる料理とかタルトに毒が混入されているとか。
で、結局何もおきない。。

音楽の使い方が本当面白い。
微妙にアンマッチだったり、わざとらしいくらいに大仰だったり。
どっちにしても映像が音楽によって変容していくような音楽の使い方って相当センスが無いとできないはずなのに、どのシーンもさらっとやってのけているから凄い。
映像と音楽が崩壊しない程度に不安定なぎりぎりのところでバランスを取るっていうセンス。
映像もまた面白く、何この不安定なショットは?に始まり、何この変な間は?何この変なクローズアップは?何この変というか古いラブシーンは?何この展開!?と常にこちらを楽しませてくれる。
・・こう書くと変な映画みたいな感じだが、変な映画というわけじゃない。いや、変なことは変なんだけど、なんていえばいいかと考えながら予告編を見たら雑誌社のコメントの中でぴったりな言葉があった。
"エレガント"
変な何々がたくさんあっても全ては何故か"エレガント"に昇華されるわけです。
まったく不思議な映画だ。

予告編を見なかったのでどんな話かも知らず、タイトルからして恋愛物かなとは思っても、まさかお母さんの方とは思わなかった。

ラストシーンは呆気にとられながらも思わず泣いてしまった。
抱き合うシーンは『鍵泥棒のメソッド』だと単なるあまり面白くもないユーモアだったけど、この映画だとひどく感動的だった。

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