at ギンレイホール

田舎町の食料品店の二階で毎日空想に夢を膨らます少女がいた。
その少女エンジェルは出版社に送った原稿が認められて処女作を出版。
一躍流行作家となりセレブの仲間入りを果たす。
小さい頃から住むことを夢見ていた大豪邸「パラダイス」を購入し、売れない画家だが色男のエスメも手に入れる。
しかし独善的で空想と嘘で塗り固めた彼女の人生は・・・
貧しいめの庶民だったエンジェルは一躍セレブに。
そんなエンジェルが不幸のどん底の中で、過去にお嬢様だったが今は家が凋落してしまった女性と対面するシーンがある。
落ちぶれたとはいえ真のお嬢様。質素ななりから滲み出す上品さ。
一方対面するエンジェルはというと疲れ果てた白い顔がまるで幽霊のよう。
それまで豪華に着こなしていたドレスもごてごて派手なだけで趣味が悪く、中身がうずもれて貧相になっている。
このシーンにはエンジェルに訪れた不幸が痛烈に凝縮される。
人の言葉には一切耳を貸さない、嘘偽りは当たり前、常識なんて気にしない、自分の夢と理想だけを一心に見つめて才能と嘘で現実に変えていくエンジェル。
そんなエンジェルが現実に徹底的に打ちのめされる瞬間。
エンジェル自身が打ちのめされたと感じているんじゃなくて飽くまで観客が元お嬢様との対比で打ちのめされているエンジェルを見る瞬間。
だってエンジェルは死ぬまで空想と現実をリンクさせながら物語風に生きていく滑稽な存在なのだから。
だからこそ愛すべき存在。
この対面シーンにくるまで、往年のハリウッド映画のような合成使ったりエンジェルの成功も駆け足だったりとどこかふわふわした紙芝居風のものがあっただけに一層悲劇に見える。
映画に付加する現実味の量とタイミングが絶妙で楽しい。
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