2009年2月1日日曜日

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』

2007年 監督:ショーン・ペン
at ギンレイホール


イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

構成が緻密な上、何気ないシーンまで非常にぐっと来る。
繊細なセンスに加え、圧倒的でプリミティブな世界と現実社会とその中間点でめまぐるしく展開されるエンターテインメント。
ただごとじゃないです。
しかもショーン・ペンだったのか。
監督作を初めて見たけど、いろんな意味でびっくり。
ワイルドだけど繊細・・・むーん、なるほど。

ジャーナリストで登山家のジョン・クラカワーが綿密な取材の末書き上げたノンフィクション「荒野へ」が原作。
だから実話が元。

大学で優秀な成績を残して卒業したクリストファー・マッカンドレス(エミール・ハーシュ)。
彼は卒業後、家族にすら何も言わずに無一文で旅に出た。
表面上裕福な家庭に育ったように見えるが、彼が子供の頃から両親は絶えず激しい喧嘩を繰り返すという劣悪な家庭環境でもあった。
物質至上主義を何より嫌悪するクリスは大学卒業を期に、かねてから計画していた通り全てを捨てて約束の地アラスカに向かう。
車、ヒッチハイク、貨物列車の無賃乗車、あらゆる手段で移動し、途中街や農場でバイトしてサバイバルに必要な資材を貯めていく。
そしてアラスカに行くまでに嘘みたいに様々な人と出会う。
旅の過程で人の温もりを誰よりも感じて理解しながらも、彼の目はまっすぐと究極の孤独の地アラスカを見据え続けていた。

青年のロードムービーといったら最近では『モーターサイクル・ダイアリーズ』が思い浮かぶのだけど、比べてみると『モーター~』のストーリーはあまりにままごとくさく思えてくる。
旅の人数、手段、目的、所持金、何より覚悟が全然違う。
善し悪しは置いておいて、日常の延長のちょっとした小旅行にしかなっていない男共と、全てを捨てて命をかけて一つの信念を実現させようとした一人の男、のどっちが面白いか、どっちの映画を見たいかっていったらそりゃあ後者になる。
ちなみに撮影監督のエリック・ゴーティエは『モーターサイクル・ダイアリーズ』の撮影監督でもある。
でもこの映画の方が断然楽しめる。

主演のエミール・ハーシュが衰弱しているシーンでびっくりするくらい痩せているのね。
それまでふっくら逞しい肉体で躍動していたのに、誰が見ても明らかなくらい痩せている。
なんだこれ、CG?と思ったのだけど、このシーンのために18Kgも絞ったらしい。
18Kgって一体どんだけ頑張ったんだ。
根性だな。

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