2010年1月31日日曜日

映画『私の中のあなた』

2009年 監督:ニック・カサヴェテス
at ギンレイホール


私の中のあなた [DVD]

二つ隣の席に座った女性が序盤から最後まで終始鼻をすすりまくっていた。
確かに、これはやばいねぇ。
尋常じゃないのはアナを演じたアビゲイル・ブレスリンで、この子役が本当凄いんだわ。
世の天才子役ともてはやされている子供なんて、天才じゃなくてだた器用なだけのこまっしゃくれたガキでしかなくて、子供に演技なんてさせちゃ駄目だと思っているのだけど、アビゲイル・ブレスリンは意識的に演技しているのに全く違和感がないという奇跡を成し遂げている。
姉のことを考えて意図せず片目から涙がつつっと流れるところなんて目薬使っていようがなんだろうがどうでもいいくらいがつんとくる。
将来美人にはならないかもしれないけど薬物とかに手を出さずに順当に成長して欲しいな。

ストーリーは白血病もの。
日本でヒットしたあの映画のせいでもう白血病ものはいいよという気もするのだけど、普通の難病物と違うのは、白血病の姉ケイトへの臓器提供を拒否して11歳の妹アナが実の親を訴えるというところ。
アナはケイトへの臓器提供のためだけに体外受精で創られた試験管ベイビーだった。
で、臓器提供拒否って姉と妹はそんなに仲が悪いのかと言うと、悪いどころか凄く仲がいい。
じゃあなんでっていうとそれはまあいろいろあるのですよ。

母親役にはキャメロン・ディアス。
ほとんどノーメイクで頑張っている。
母親役ならまだまだ需要がたくさんありそうだな。
髪の毛が全て抜け落ちた娘が外に出たくないと駄々をこねるのを聞いて自分の髪の毛を剃り落とすというベタなシーンでは、感動という以前におでこに寄った複数の皺の線と剃り落とした頭髪の落ち武者っぷりが一種のホラーになっている。
あと数回母親役やったら次はばあさん役もできるんじゃないかと思う。

筋肉むきむきの頼れる優しい父親役にジェイソン・パトリック。
ものすごい久しぶりに見た気がするけどフィルモグラフィを見るとそれなりに活動はしていたみたいだな。

映画『ドゥーニャとデイジー』

2008年 監督:ダナ・ネクスタン
at ギンレイホール


ワインのラベルや小物のロゴがクレジットタイトルになっているこじゃれたオープニング。
CGなのかな。

車の後部座席に黒髪できりっとした眉の女の子が座っている。
運転席と助手席には男女が座っているというか重なっていちゃついている。
ちらちら見えるいちゃついている女の顔が老けているので黒髪少女の母親かなと思っていたら、母親どころか黒髪と同級生だった。
黒髪がドゥーニャでいちゃついている方がデイジー。
ドゥーニャは生まれも育ちもオランダアムステルダムだけど両親はモロッコ移民で厳格なイスラム教徒の家庭で育てられる。
デイジーの方はシングルマザーの家庭で育ち、その性格は自由奔放。
全く対照的な二人だけどなぜか大親友らしい。
調べてみるとオランダで放送されていた同名タイトルのTVドラマの映画化らしい。
続編みたいな位置づけで。
二人が親友になったドラマティックな経緯などはきっとTVドラマで語られているのだろう。

ドゥーニャの18歳の誕生日、アムステルダムに集まった親族の間でドゥーニャの結婚話が盛り上がる。
ドゥーニャの意思に関係なくもう話は進んでいて、ドゥーニャは相手となる従兄弟(性格にははとこ)に会いにモロッコに行くことになる。
時を同じくしてデイジーの妊娠が発覚する。
相手の男は逃げ腰でデイジーはショックを受ける。
堕ろす決意をするが病院に行くときにはもうドゥーニャはモロッコに旅立っているため、一人で病院に行くデイジー。
しかし土壇場で心変わりしたデイジーは病院を後にし、ドゥーニャのいるモロッコに旅立つ。
モロッコにはデイジーがまだ会ったことのない父親がいるはずだった。

後半はロードムービーになる。
オランダ育ちだが自分のルーツモロッコの風習に縛られるドゥーニャと、自分は望まれて生まれた子なのか悩むデイジーの二人のアイデンティティ探しの旅。
TVドラマシリーズは見ていないけど(日本で放送していないらしい)結構楽しめる。

途中、カサブランカなんていう危ない街に一人で行くなんて危険よみたいなセリフがあったけど、カサブランカって危険なんだね。
飛んでイスタンブールみたいな異国情緒溢れる街みたいな気がしていたけど。
ぱっと思いつくので『カサブランカ・グッバイ』『カサブランカダンディ』『哀愁のカサブランカ』とか歌があるな。
いや、歌詞を調べてみると『カサブランカ・グッバイ』は花のカサブランカ、『カサブランカダンディ』と『哀愁のカサブランカ』は映画の『カサブランカ』がモチーフになっているみたいだな。