2010年7月11日日曜日

映画『ハート・ロッカー』

2008年 監督:キャスリン・ビグロー
at ギンレイホール


ハート・ロッカー [DVD]

イラクで活動する爆発物処理班のお話。
命張って市民守ってますとか戦争批判とか、なんにせよ無駄に戦争しかけたり火種撒いたりするアメリカ側が作っている以上めんどくせえなぁと思ってあまり見る気がしなかったのだけど、思ったよりかは面白かった。

まずガイ・ピアース演じるトンプソン軍曹を筆頭にサンポーン軍曹(アンソニー・マッキー)、エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)の3人組が爆弾の処理にあてっているのだが、早々にガイ・ピアース死亡。
なにー、一番有名どころがいきなり消えた!
トンプソン軍曹の代わりにやってきたのがジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)。
この男が主人公。
この男は命をかけた爆弾との技術の戦いに至上の喜びを感じているような男。
正義感だけで命張っているような奴じゃなくてよかったぁ。

イラク戦争の背景がどうとかどっちが正義とかそういうのじゃなくて淡々と爆弾処理と戦争を綴っていく、ように見える。
(ドキュメンタリータッチの揺れるカメラはちょっとうざい)
でもどっちが正義っていうとアメリカ側の視点である以上アメリカが正義っぽく感じなくもないかな。
3人の結束を固めるきっかけとなる銃撃シーンでは、一人一人狙い済まして撃ち殺したあとに「よし、あと一人だ」っていうところなど、まるで射撃ゲームをやっているようだし、他にも感覚が麻痺した非人道的なノリがアメリカ兵にところどころ感じられる(殺し合いの戦争だからしょうがない?)けど、それよりもイラク側が子供の体内に爆弾埋め込んだり市民に爆弾撒きつけたりする、っていうほうがよっぽど非人道的だよな。
敵は敵として無人格な得体の知れない「もの」でしかないし、そういう点ではあっけらかんとした娯楽映画に仕上がっている。
アメリカが正義!と高らかに謳っているわけでもなく、誰でも救えるヒーローを描いているわけでもないので中立的な印象があるけど、よくよく考えると娯楽映画である以上やっぱり主人公はヒーロー(戦争によってかちょっと精神が破綻している)だしアメリカ正義!なんだな。
そして舞台はイラク戦争である必要など全く無く、戦争背景や反米メッセージなどは一切排したところが潔いというかなんというか。
排されると逆に意識しちゃうのだけど、主人公同様あっけらかんとスリルという麻薬に浸ってなんも考えずに見るのが一番楽しめます。

0 件のコメント:

コメントを投稿