2011年8月21日日曜日

映画『ジュリエットからの手紙』

2010年 監督:ゲイリー・ウィニック
at ギンレイホール


ジュリエットからの手紙 [DVD]

イタリア、ヴェローナには、『ロミオとジュリエット』のモデルとなったジュリエットの生家がある。
ここには世界中から恋の悩みを綴った手紙が届けられているらしい。
ニューヨークで雑誌の調査員をしているソフィ(アマンダ・セイフライド)は婚前旅行で婚約者とイタリアにやってきて、このジュリエットの生家で50年前の手紙を見つける。
それが縁で手紙の書き手クレア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)とその孫チャーリー(クリストファー・イーガン)と3人でクレアの初恋の相手を探す旅に出る。

予告編を見るとソフィとチャーリーがいい感じになっていくようだが、ソフィには婚約者がいる。
さてはこの婚約者がひどい奴だったりするのかと思いきや、陽気で滅茶苦茶いい奴なのね。
しかも婚約者を演じているのはガエル・ガルシア・ベルナル。
ガエル・ガルシア・ベルナル対クリストファー・イーガンでガエル君が負けるはずないのだが・・・

なかなかテンポよく古典的に盛り上がる恋愛物。
この映画を見て韓流スターとの「本当の恋」を夢見て夫と離婚するおばちゃんが増えないか心配。

ヒロインのアマンダ・セイフライドは個人的にはあまりタイプじゃないのだが世間では今注目の女優さんらしい。
マカロニスターフランコ・ネロとヴァネッサ・レッドグレーヴは実際夫婦だったんだね。


映画『英国王のスピーチ』

2010年 監督:トム・フーパー
at ギンレイホール


英国王のスピーチ コレクターズ・エディション [Blu-ray]

こんなに混んでいるギンレイホールは久しぶりだ。
キムタクとかジョニー・デップ主演の映画を流しているとき並の人気ぶり。
コリン・ファースはそんなに人気だったんだねぇ。

人がいっぱいすぎて見る前から疲れてしまった。
アカデミー賞だかなんだか知らないが本当どうでもいいし、あまり期待していたわけでもなかったせいか、配給会社のロゴの時点で猛烈に眠くなってきた。
ハイテンションのアクションやコメディじゃないので、もちろん出だしはゆっくりで、そうなると眠気が覚めるタイミングは一向にやってこない。
たぶん全体の4分の1はうとうとして寝ていたと思う。

さて、ということで特に書くことが無い。
練習により上達して最後には大きな舞台が待っている、という王道なエンターテイメント性を持っているので最初からじっくり観れば盛り上がって爽快に楽しめる、はず。
ヘレナ・ボトム=カーター世代の僕も最近ではヘレナ・ボナム=カーターに慣れてきた。

2011年8月15日月曜日

映画『ワンダフルライフ』

1999年 監督:是枝裕和
BSプレミアム 録画


ワンダフルライフ [DVD]

中国の公民館みたいな場所にぞろぞろと爺さん婆さん達がやってくる。
すると、なにやら個人面接が始まり、職員が言うには、「もう状況はお分かりになっていると思いますが、あなたはもうお亡くなりになりました。」
一週間だけ滞在するこの三途の川の一歩手前のような世界で、死者達は自分の人生の中で一番印象に残っている大切な思い出を一つ選び、それを職員達が可能な限り再現する。
死者達はその再現された思い出一つを胸に抱えて、あの世へと旅立つのだという。

観たいなと思いつつ先延ばしにしている内、いつのまにか12年前の映画になってしまったのか。
ストーリーもよく知らないまま見始めたので、このファンタジーな設定は少し衝撃だったけど、設定よりも驚くのは、ドキュメンタリー手法と物静かな展開のおかげで、本当にドキュメンタリーを観ているような錯覚に陥ること。
脚本上どこまでセリフが用意されているのかは知らないが、結構役者自身の本当の思い出が語られているんじゃないかと思える。
人物達のリアルさに対して、彼らがいる世界はありえない非現実的な世界なのだから、作品全体として対極のものが同居している不思議な世界だ。
舞台となる面接会場も、大正時代の建物、または日本じゃなくてアジアのどこかの建物、というような国籍も時代も不明なものになっている。
明らかに不思議な建物、不思議な世界というわけではなくて、やはりどこかにある(あった)だろう現実的な建物なので、その微妙に曖昧な建物がさらに現実非現実の境目の緩さを重層的なものにする。

基本的に自然光だけで撮っているのかな。
喋っている途中で太陽が雲から現れて光源が強くなって顔がくっきり映ったかと思えば、また雲に隠れて部屋全体が薄暗くなったり。
こういうありのままの変化が非常にいい。しかも死後の世界で。

さて、小田エリカです。
なんということでしょう。小田エリカ。
なんで知らなかったんだろう。小田エリカ。
凄くいい雰囲気を持った女優さんじゃないですか。小田エリカ。
どんなに有名な活躍をしているのかと思って調べてみたら、どうもパッとしていないらしい。
でも青山真治の映画にも出ているな。
そこそこ活躍しているのか。
滅茶苦茶美人というわけじゃないけど、きりっとした眉が涼やか。
香川京子さんの若い頃に比べると小田エリカを選ぶでしょう。
香川京子さんの若い頃を演じた石堂夏央となら迷うけど。

ラストシーンは泣ける。
泣く理由が自分でもよく分からないのだが、とにかくラストシーンからエンドロールに移るときにこみ上げてきて泣いてしまったのだからしょうがない。
毎週何人もの人達の人生を垣間見て、送り出していく。(なんて濃い職業だろう)
そして一人一人の人生の重みが通り抜けていくのと同時に、何も変わらないはずだった職員の中でも出会いと別れが訪れる。
不思議な世界で起こる出来事は現実世界と何も変わらない。
別れの辛さが前向きな歩みの意思へと変化するのが自然に美しいと思える。
壮大な時の流れの中、数多の人の人生が過ぎっていく世界で、この単純ともいえる変化に全てが凝縮されているようで感動したのかもしれない。
いや、今見返してみると単にエンドロールへ行く切り方が絶妙だったからっていうだけかもしれない。

死者の中でも、セスナでの飛行を想い出に選んだ男がなんか強烈だった。
自分の知識を楯に暗に相手の無知を非難する言動がリアルすぎる。
そしてちょっと表情に狂気があって怖い。

作品上どうでもいいことだけど、以下疑問点をいくつか。
・この世界で死んだらどうなる?
・この世界は太陽も月もあり、季節も存在しているようだが、地球上のどこかにあるのか?生者には見えない?
・飯は?
・職員は現実世界との行き来ができるようだが、家族とはお盆しか会っちゃいけないルールがある?偶然会ったら?
・死んでこの世界に来て、一週間でまた死ぬって何で皆普通に受け入れられるのか?この世界で生きていくことを選べるならそうしたいじゃん。ただ、終わることの無い無間地獄が続くだけとも言えるが。
・この世界には一体何人の人が住んでいるのか?職員以外にも撮影スタッフや役者っぽい人達までいるし。
・年を取らない世界で子供は生まれるのか?

たった12年の間に由利徹、原ひさ子、谷啓と逝去し、昔見たドラマで主演の深田恭子よりも断然可愛いと思っていた吉野紗香はなんか変なことになり、小田エリカはテレビドラマなんかですっぽんぽんになり、さらに小田エリカはエリカと改名してアジャ・コングとかぶる、という時の流れをひしひしと実感する。

ちょい役で木村多江や篠崎誠が出ているらしい。
木村多江は楽団の練習で一瞬映るのを見つけたけど、篠崎誠はどこに出ていたんだろう。あまり顔を知らないけどさ。

「自分の人生の中で一番印象に残っている大切な思い出」か。
うーん。ぱっと思い浮かばない。

2011年8月7日日曜日

映画『津軽百年食堂』

2011年 監督:大森一樹
at ギンレイホール


津軽百年食堂 (小学館文庫)

桜が満開です。
オリラジの二人を主演に据えた映画。
どちらかというと藤森が主人公なのかな。

弘前で100年続く大衆食堂の初代を中田、3代目の息子を藤森が演じる。
二人とも映画初主演らしいが、結構普通に見れる。
青森出身でも無い二人がなぜに主人公?とも思うが、話題づくりにはもってこいだったからだろう。
実際誰が演じても大した違いもなさそうな役だし。

映画全体としてなんだか普通にまとまりすぎていて、面白いんだかつまらないんだかよく分からない。
なのでよく思い出せない。
ヒロインの福田沙紀にもあまり興味がないしな。
ああ、そういえば野村宏伸を久しぶりに見た。

監督は『ヒポクラテスたち』の大森一樹。

映画『まほろ駅前多田便利軒』

2011年 監督:大森立嗣
at ギンレイホール




アウトロー、は言い過ぎだけど、ちょっと社会からはみ出し気味に便利屋を営む若者二人の物語。
っていうと高校生や大学生なんかが喜んで飛びつきそうだ。
実際僕も昔こういう映画が大好きで、阪本順治が撮った傷だらけの天使とか大好きだったな。
ただ、この手のストーリーは「俺達ってかっこいいだろ?」みたいなすかしてガキくさい雰囲気をかもし出すものが多いから、無条件に喜んでいた昔と違って単純に楽しめなくなってきている。

この映画も予告編を見る限りあまり期待していなかったのだけど、いやあ、面白かった。
破天荒すぎず、真面目すぎず。いい塩梅。
惜しげもなくゆったり間を撮った撮影のリズムが不穏な空気を漂わせながらもなぜか安心する。

主演は瑛太と松田龍平。
松田龍平は今まで無表情で棒読みな印象が強かったのだけど、この映画では役柄もあいまってか彼の持っている雰囲気が凄く魅力的になっている。
いい役者さんだったんだな。
あの飄々とした感じは何度も父親とだぶる。
それを踏まえて「なんじゃこりゃー!」だもんな。
父親の雰囲気に加えて、父親よりも壊れやすそうな危うさがあって、それが松田龍平の特異な武器だろう。
瑛太の方もあまり意識したことなかったけどこの人はごく自然体になんでもできる。
この配役は見事。
ジャニーズ系とか森山未來とか松山ケンイチとか、後誰だ?とにかくそういう寒くなりそうな人達を使わないところが嬉しい。

脇役も豪華かつそれぞれほんのり胡散臭さを潜ませながら驚くほどはまっている。
本上まなみ、柄本佑、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾、岸部一徳。
あと、若そうだけどあまり可愛くなくてパッとしない子、でもどこかで見たことあると思いながら大分してからはっと気付いた鈴木杏。

知らなかったのだけど大森南朋は麿赤兒の子供だったんだね。
しかも監督の大森立嗣も。

2011年8月5日金曜日

8月INFO

8月3日(水) 午後1:00~3:58  BSプレミアム
「若者のすべて」1960年・ イタリア/フランス
〔監督・脚本〕ルキノ・ヴィスコンティ
8月9日(火) 午前8:00~9:11  BSプレミアム
「遠くの空に消えた」2007年・ 日本
〔監督・脚本〕行定勲
8月10日(水) 午後1:30~3:30  BSプレミアム
「ワンダフルライフ」1998年・ 日本
〔監督・脚本〕是枝裕和
8月21日(日) 午後10:02~11:29  BSプレミアム
「狂った果実」1956年・ 日本 
〔監督〕中平康
8月28日(日) 午後10:02~11:37  BSプレミアム
「毎日が夏休み」1994年・ 日本 
〔監督・脚本〕金子修介
8月29日(月) 午後1:00~2:43  BSプレミアム
「オズの魔法使」1939年・ アメリカ
〔監督〕ビクター・フレミング
〔出演〕ジュディ・ガーランド、レイ・ボルジャー

小林正樹の人間の條件シリーズを全部やる模様。
昔高田馬場のACTミニシアターにエリック・ロメールの映画を見に行ったら1週間間違えていたみたいで、エリック・ロメールじゃなくてこの人間の條件をやっていた。
スタッフの人に長いけど名作ですよと勧められたけど帰った。
っていうのを思い出した。
録画しようかどうしようか。