2012年6月3日日曜日

映画『やがて来たる者へ』

2009年 監督:ジョルジョ・ディリッティ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




戦時中に実際に起きた事件に基づくお話。
1943年のイタリア北部の山村で、8歳の少女マルティーナ(グレタ・ズッケーリ・モンタナーリ)は生活している。
生まれたばかりの弟を自分の腕の中で亡くして以来口がきけなくなってしまったマルティーナは、新たに母親のおなかの中に宿っている命が生まれ出てくることを心待ちにしている。
大人達はドイツ軍を追い払おうと反抗勢力結成して戦っているが、マルティーナにとっては新しい命にしか関心が無いし、ドイツ軍の青年も敵ではなく気のいい兄ちゃんでしかない。
やがてパルチザンとドイツ軍の抗争は激化していき。。

声を出せないというところがこの戦時下においてマルティーナという少女の聖性や純粋性を高めているのだけど、声が出せないということは声を取り戻す瞬間はきっと劇的なシーンのはず。
チープなドラマだったら悲しみの叫びだったりするのだろうが、この映画では・・・
思わず泣きそうになった。

なかなか面白くて、大家族の家父長が家族のためにもなんとしても生き延びようともがいているところから絶望に変わる瞬間とか、妻に似ているというだけで助けられた姉がとった行動とか、パルチザンに捕らえられたドイツ軍兵士の最後とか、それぞれの人間ドラマや人の運命が悲惨な出来事の周囲で着実に息づいている様が簡潔に描かれていくから引き込まれる。

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