2015年4月19日日曜日

映画『紙の月』

2014年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール




見終わってまあ面白かったという思いとともにしこりのように残るのは、なんだろうこの気持ち悪さはという感覚。
思い返すと、青っぽい色調やら音楽やらホームの階段を下りてくるスローモーションとか大学生のくそがきとのくさいじゃれあいとか、いろんな細かい気持ち悪さが積み重なっているのかもしれない。
吉田大八は『桐島、部活やめるってよ』の人だね。
桐島での校内や生徒に漂っていた不穏な空気感を、そのまま社会人の(しかも犯罪の絡んだ)上にシフトすると、なんだか醜くなるのだろうか。

主演宮沢りえ。もう輝いていた頃の体重には戻らないのかな?
相手役に池松壮亮。
初めて見たけど、あの声としゃべり方がなかなか神経を刺激してくる。声はともかくしゃべり方は役に合わせた演技だろうか。だとしたら凄い奴だ。あれっ、横道世之介とか夜のピクニックで見ているっぽい。
他、中原ひとみちゃんが出ている。

映画『滝を見にいく』

2014年 監督:沖田修一
製作国:日本
at ギンレイホール




基本的におばちゃんって嫌いなんだけど、見終わる頃にはこの7人のおばちゃんが好きになる。
7人のおばちゃんたち。
個性的な、というより、普通のおばちゃんたち。
普通のおばちゃんの何が魅力なのかって、それはよくわからない。
この年まで生きてきた年輪があるからかな。
それと周りに誰もいないためか、時折いかんなく発揮されるおばちゃん達の少女性がまぶしい。
それぞれ様々な過去を持ち今を生きるおばちゃんたちも、社会における大人の仮面をはずせば女子中学生かってくらいきゃぴきゃぴした素顔が現れる。
そう、女子中学生は女子中学生でしかないが、おばちゃんは女子中学生でもあり女子高生でもあり新入社員でもあり奥さんでもあり母親でもあり、人生の苦楽をたくさん経験している凄い生き物なんだ。
おばちゃん素晴らしい。

7人のおばちゃんを演じた女優さん達は、ほとんどが素人らしい。
小林聡美とかもたいまさことかいうありきたりな配役だったら最後までしらけていたと思う。

そういえば出演者が少ないからか、エンドロールが超短かった。

2015年4月5日日曜日

映画『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』

2013年 監督:リチャード・カーティス
製作国:イギリス
at ギンレイホール




日々の一瞬一瞬の時間はかけがえのないものなんだよ、というのを失敗したら何度でもやり直せるタイムトラベル能力という反則どころじゃないチート能力で逆説的に説明するお話。
というお説教的な主題はどうでもよくて、ジャンル的には恋愛コメディなので、なによりヒロインが重要だ。
で、そのヒロインはみんな大好きレイチェル・マクアダムス。
だからまあ面白かった。

主人公の妹キットカット役の子がなかなか存在感があって、奔放でありながら不幸な影が付きまとうその役柄とともに魅力を発揮していた。
リディア・ウィルソンって子らしい。子っていうかもう30っぽいが(born 1984)。

映画『フランシス・ハ』

2012年 監督:ノア・バームバック
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




最近の作品なのにモノクロ使う人ってあまり好きじゃないから警戒していたけど、いやあ、面白かった。
この監督はヌーヴェルヴァーグが大好きなんだろうな。
冒頭のけんかごっこやら踊りながら疾走するシーンとか部屋の調度品とか、雰囲気は1960年代のフランス映画を見ているよう。
なのに舞台はアメリカだしパソコンやら携帯は出てくる紛れもない現代、っていうその違和感も面白い。
主題歌に古すぎず新しすぎないデヴィッド・ボウイの『モダン・ラブ』を持ってくるのも絶妙。
舞台も音楽もすべて1960年代にしたらただの懐古趣味でしかないけど、ヌーヴェルヴァーグの雰囲気の中で現代との対比の他にいろんな要素をちょっとづつずらしていくから刺激がある。
ソフィーのあの変なメガネって今の人かけるの?とか。

そういえば日本も少し出てきて、近年世界中の人が馬鹿みたいに日本大好きと言っている中、東京なんて大嫌いと言ってしまうのも面白い。

主演はグレタ・ガーウィグ。
ソフィー役のミッキー・サムナーはスティングの娘っぽいな。