2014年 監督:ロイ・アンダーソン
製作国:スウェーデン/ノルウェー/フランス/ドイツ
at ギンレイホール
最近芸術寄りの映画を全く観なくなったせいか、なんとも思わなくなってきたなぁ。
つまらなくはなかったけど、寝たら気持ちよく寝れそうだなと思った。
『実存を省みる枝の上の鳩』
原題を邦訳するとこうなるらしい。
でもそれじゃあ売れないから『さよなら、人類』にしたんだろうけど、「たま」になっちゃうじゃん。
それにどこに人類にさよならする要素があるんだろう。
確かに死のモチーフが何点か始めに提示されてはいるけど、意思を持たない死だし、その死も含めてこの映画の根幹は人間賛歌だから。
ストーリーはあってないようなものだけど、一応サム(ニルス・ヴェストブロム)とヨナタン(ホルゲル・アンデション)の二人が主演になっている。
この二人が断片的な挿話になんとなくの関連を持たせたり持たせなかったりで、狂言回し的な役割を担っている。
たまに場所も時空の概念も取っ払ったイメージ世界が繰り広げられるときがある。
現代のバーにカール12世が馬に乗って現れるのは結構びびる。
従者がバーのドアを開け放しにする方法をなぜか知っていて(あの仕組みは昔からあるのかもしれないけど)よどみなく作業したり、ヨナタンが面白マスクをかぶっている途中だったり。
ファラリスの雄牛の数十人版みたいな巨大殺人機械もすごかった。
どでかいドラム缶のような形からラッパの口がいくつも飛び出していて。
中の阿鼻叫喚がラッパから流れ出るのかと思いきや、異様なまでの静けさがたちこめ(なんか音か音楽があったような気もするけど)、揺れ動き回転する機械だけが雄弁に中の様子を語っている。
本当に火焚いているように見えるし、どうやって撮影しているんだろう。
ああ、音で思い出したけど、音がちょっと微妙だったな。
映画館の音響設備のせいかもしれないが、特に冒頭のバッグを話さないばあさんのシーンで、説得にかかる初老の男性の声とか、別に嫌な声質でもないのに音量のせいか声の一つ一つが硬く突き刺さってきて不快だった。
戦時中のバーのシーンでは、おもむろに歌から大合唱が始まり、その流れで金が無くて酒が飲めないと嘆く若い兵隊達に、若い女主人がならば酒代はキスで払いなさいよと言い放ち、並ぶイケメン達と次々にキスを交わすというシーンがある。
戦地に赴く前途有能な若者たちに、キスという愛にあふれた行為とともに酒を振舞う女主人。
「素敵やん」
ってことなのだろうが、まずは「兵士はキスしてただ酒飲めて至れり尽くせりじゃん」っていうのと、「次から次に恋人かのようにキスしていく女を見ていると売女じゃん」っていう思いがきたあとに、やっと「ああ、なんて俺の心は狭いんだろう」と反省して「素敵やん」に至る。
監督はスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン。
”リビング・トリロジー”(人間についての3部作)の三作目らしい。
前二作は『散歩する惑星』『愛おしき隣人』で、合わせて15年。
びっくりしたのは全部スタジオ撮影だったらしい。
いや、明らかに野外あったでしょ、予告編にもある線路脇のシーンとかさ、と思ったらこれもやっぱりスタジオで、ミニチュアの建物とマットペイント(背景画)らしい。すごいこだわり。。
CGもほぼ使っていないらしい。CG使っているとしたらあの猿(人形の可能性も高い)と巨大ドラム缶を熱する火とかかなぁ。
2016年2月21日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿