2016年2月11日木曜日

映画『ナイトクローラー』

2014年 監督:ダン・ギルロイ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




社会の底辺に生きるルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)が、ナイトクローラー(報道パパラッチ)という職業に出会い、めきめきと頭角を現していくサクセスストーリー。
ただ、普通のサクセスストーリーと違うのは、ブルームが愛嬌のかけらもない正真正銘のくず野郎だということ。
なにか法を外れざるをえないときに起こる葛藤みたいなものは一切無く、なんのためらいもなく(踏み外すという感覚すらなく)必要に応じてずかずか一線を越えていく。
そもそもやってる職業がパパラッチだから、ダークヒーローが法をおかしてでもすかっと世直ししますよ、といった類でもない。
なにしろ血も涙もないくずだからね。
なのに、こんな主人公で楽しめるか!とはならず、意外にかなり面白かった。
社会の底辺に生き、感情表現やコミュニケーションがどこかぎこちないが、野望にだけはぎらぎら燃えている男。
そんな男の悲哀に惹かれるのだろうか。

こんな男を生み出す社会構造を批判しているだとか、真実よりも衝撃映像を求める暇な視聴者やそれに迎合するテレビ報道を批判している等々、いろいろ言いようはあるのかもしれないけどさ、それはどうでもいい。
夜の風景は美しいし、車の疾走感もいい。
ひやひやする緊張感が一本ぴーんと張っていて飽きさせないし、単純に頭のねじがぶっとんでいる兄ちゃんがモラルの欠如した業界にがちっとはまっていくサクセスストーリーとして楽しめる。

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