2016年9月22日木曜日

映画『さざなみ』

2015年 監督:アンドリュー・ヘイ
製作国:イギリス
at ギンレイホール




原題は『45 YEARS』。
45年っていうのもなかなかの時の流れを感じるいいタイトルだけど、『さざなみ』っていうのもいいタイトルだよな。
邦題を原題と変えると大抵は興味本位のうすっぺらいタイトルになるのに、この変更は結構いい。
正にさざなみだから。

長年連れ添った夫婦、ケイト(シャーロット・ランプリング)とジェフ(トム・コートネイ)は45周年の記念パーティを迎えようとしていた。
そんなある日、スイスから一通の手紙が届く。
50年前にクレバスに落ちて亡くなった夫の元恋人の遺体が昔のままの状態で発見されたという知らせ。
元恋人とはいえ大昔の話であるのに、45年間もの長い月日で築き上げられた強固な夫婦の信頼関係がさざなみのように揺れはじめる。

基本的に静かに流れていく映画だけど、トム・コートネイとシャーロット・ランプリングとの間に漂う空気感が凄い。
熟年の寄り添い合ってきた空気感だったり、小さなしこりのように膨れてよどむ不信や嫉妬の空気感だったり。
カメラもなんていうか知らないけどパンフォーカスの反対で被写体のみにピントが合って奥のピントがぼやけるから、非情なくらいに役者の演技に視線が集まる。
そのフォーカスに耐えられる、どころか十二分に生かしきるシャーロット・ランプリングがやっぱり凄いよな。

ところでシャーロット・ランプリングを見るといつも倍賞千恵子を思い出すんだよね。

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