2018年2月18日日曜日

映画『パターソン』

2016年 監督:ジム・ジャームッシュ
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




変わらないようで変わる、変わるようで変わらない一週間。

少しづつ切り取られていつのまにか覚えてしまう通勤通路。
いつも傾くポスト。
ストーリーに絡まない双子の符牒。
なめらかなバスの風景。
日課のバーの雰囲気。
パターソンとローラのやりとり。

全てが心地よい。

ニュージャージー州パターソンに住む、街と同じ名前のパターソンはバスの運転手をしている。
パターソンは仕事の傍ら、趣味で詩をノートに書きつけている。
愛する妻ローラはあなたの詩は素晴らしいから公開すべきよと力説するがパターソンはそれほど乗り気でない。
そんなパターソンの一週間。

日常物だと、これみよがしに個性的な仲間が出てきたりしてうんざりすることも多いけど、この映画はとても静かで、そしてさりげないユーモアに溢れている。
静か、だけど結構不穏な空気も流れている。
バスの運転は事故んないか、愛犬マーヴィンは盗まれやしないかと不安になったり、バーの拳銃事件はとんでもないことにならないかとはらはらしたり。

あと、パターソンとローラの関係など本当に夫婦なのってくらいよそよそしく見えるときもある。
どちらかがどちらかを騙しているんじゃないかと勘ぐりたくもなってくるが、実際はお互いがお互いを誰よりも大事に思っている、っぽい。
言いたいことも言わない、喧嘩もしない。だけど優しさと思いやりで満ち足りている幸せな関係。

ローラなんか絶対詐欺にあっていると思ったけど。

そういえば永瀬正敏も出ていたなとふと思い出した頃に永瀬正敏が現れる。
たどたどしい英語の日本人がこの役を演じる必要など全くないけど、パターソンに勇気を与えるこの重要な役柄を無名の俳優でなく『ミステリー・トレイン』以来の出演となる永瀬正敏が演じる、ってところが最高にいいよね。

ジム・ジャームッシュは『コーヒー&シガレッツ 』以来かな。
もう今年のNo.1にしたい。

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関係ないけど、この日は5:30起きで出勤して休日作業をした後の鑑賞となった。
土日に午前中に起きることすら稀なのに5:30起きで最高に眠い。
ジム・ジャームッシュは久しぶりに見たいが絶対寝てしまうだろうから行くかどうか迷ったけど見に来てよかった。

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