2021年2月27日土曜日

映画『マーティン・エデン』

2019年 監督:ピエトロ・マルチェッロ
製作国:イタリア / フランス / ドイツ
at ギンレイホール




アメリカのジャック・ロンドンの自伝的小説が原作。
舞台はイタリアに置き換えられているらしい。
労働者階級の青年エデン(ルカ・マリネッリ)が上流階級の娘エレナ(ジェシカ・クレッシー)と出会い、恋して、作家を目指して、っていうとメロドラマっぽく思えるけど、一人の男の苦悩と葛藤と憧れと恋の話。

時折古い映像が差し込まれて、単体でなかなか面白い映像なのだが、姉と弟のダンスシーンが実はエデンと姉の幼少時代だったと知ったとき、もしかしたらあの古い謎の映像は皆エデンの思い出のシーンを表していたのだろうか、と思ったらもう一回見てみたくなった。
古い映像はそういう加工しているのかと思ったけど、公式ページみると本物の記録映像らしいね。

なかなか見応えあって古い名作映画見ているような感じでもあり、面白かった。

映画『博士と狂人』

2018年 監督:P・B・シェムラン
製作国:イギリス / アイルランド / フランス / アイスランド
at ギンレイホール




初版発行まで70年、世界最高峰と言われるオックスフォード英語大辞典(OED)の誕生秘話、を描いたベストセラーノンフィクションの映画化。
貧しい出自で学士号も持っていないが語学に堪能なマレー(メル・ギブソン)と、殺人犯で精神病棟に収容されているマイナー(ショーン・ペン)との交流、を軸にして被害者の妻イライザ・メレット(ナタリー・ドーマー)やその間に立つ看守のマンシー(エディ・マーサン)とか、マレーをよく思っていない偉い人たちとか、まあいろいろ絡んできて124分もあるしそこそこのボリューム。
でも飽きずに面白かった。

マレー役がメル・ギブソンってエンドロールでやっと気づいたわ。
原作の映画化に真っ先に名乗りを上げて自分で監督しようとしたくらいの熱量だったらしい。

イライザ役のナタリー・ドーマーがはじめはなんか若すぎないかと思ったが時折老けて見えるし年齢不詳だった。
1982年生まれか。

以下少しネタばれ


マイナーが狂ったきっかけみたいなものは結局なんだったんだろう。
狂ったといえば院長も有能そうに見えて途中から狂っているよね。

マレーもその能力的にだいぶ狂っていると言える。
けど、あまり能力的に活躍する部分も無いし、まともな人格すぎて平凡に見える。
もう少し破綻していればマイナーとの絆の深さにも説得力があるけど「事実に基づく」だからしょうがないのかな。
唯一異色な「学士号がない」という点は単に貧しかったからってだけでしょ。普通じゃん。

2021年2月13日土曜日

映画『パラサイト 半地下の家族』

2019年 監督:ポン・ジュノ
製作国:韓国
at ギンレイホール




半地下に住む貧しい家族。
父キム・ギテク(ソン・ガンホ)。無職。
母キム・チュンスク(チャン・ヘジン)。元ハンマー投げ選手。
長男キム・ギウ(チェ・ウシク)。兵役やらなんやらはさみつつ大学に落ち続ける浪人生。
長女キム・ギジョン(パク・ソダム)。いろんなスキルが高く美大希望だが予備校にも通えず。
家族全員で内職して小銭をかせぐ日々。
ある日ギウの友人がギウに家庭教師のアルバイトを紹介するところから事態が変化していく。

万引き家族みたいなのを想像していたけど全然違った。
コメディーサスペンス。

上流階級の家族と下層民。
下層民がいくら上流のふりをしても染み付いた下層の生活臭は消えない。
上流対下流が下流対下流になって最終的には上流対下流に落ち着いて下流は上流を目指すって話。
小綺麗な格好していた元家政婦が大雨の日にやってきたときのみすぼらしさよ。
下層民はどこまでいっても下層民だった。

長女役のパク・ソダムがThe韓国という顔立ちでなんかくせになる可愛さ。
あと社長夫人(チョ・ヨジョン)のぽんこつぶりが能天気で可愛らしいのだが、ふくらはぎが異様にたくましいから強そうだった。

映画『薬の神じゃない!』

2018年 監督:ウェン・ムーイエ
製作国:中国
at ギンレイホール




2014年に中国で実際に起きた事件がもとになっているそうだ。
かなり社会問題的側面が強い話なのに、一級のエンターテインメントになっていてすごく面白かった。
白血病患者のためとかじゃなくて金儲けのためというのが根底にあるから偽善くさくないところから始まる。
主人公とその仲間達が義賊みたいなヒーローに見えてかっこいい(演出もかっこいい)のだが、それだけじゃなくて、別れ葛藤後悔とそれぞれの背景での人間ドラマも充実していて面白い。
主人公の別人みたいな変化が見ごたえがある。

最初の方で義弟に殴りかかられそうになって窓際で体こわばらせてしゅんとしている表情がかわいい。