2022年10月30日日曜日

映画『わたしは最悪。』

2021年 監督:ヨアキム・トリアー
製作国:ノルウェー / フランス / スウェーデン / デンマーク
at ギンレイホール




頭いいやつは当然医者になるよねって感じで医大に入ったものの、私が本当にやりたいのはこれじゃないと気づいて自分探しwwwの旅に出るユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)。
とその辺はすっ飛ばしてカメラマンの仕事しているときにパーティーで知り合った風刺漫画家のアクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と知り合って恋人になってからは落ち着き出す。
落ち着いた、、と思わせておいて実は全然落ち着いていなくてまだ自分探し途中だった。
最悪。

序章とエピローグと12章から成るって最初の方で説明があって、1章が終わるまで恐ろしく長かったことに絶望する。
あと11章とエピローグまであんのかい!
計128分。
でもまあとりあえず最後まで鑑賞はできた。

ベネディクトカンバーバッチに似ているアイヴィン役のヘルベルト・ノルドルムが脇役で終わらなさそうと思ったらやっぱりそうか。
世界が停止するのは最近台湾映画で見たな。

映画『帰らない日曜日』

2021年 監督:エヴァ・ユッソン
製作国:イギリス
at ギンレイホール




なんだか濃密で自然で美しい映画だった、
時間軸がシームレスに飛んで行ったり来たりするのも普段ならいらっとするところだけど、この映画ではさほど気にならず。
1924年のイギリス。豊かな自然と豪邸。そして主演のオデッサ・ヤング。
冒頭のオデッサ・ヤングのアップや駆ける馬の足のスローモーションに始まり、とにかく美しいものを執拗に追いかける。
落ち着いた調度品に溢れた豪邸の中を裸の女にゆったりと散策させるってどういうことよ。
ともすれば下品になりがちなところ、色合いなのかなんなのか、なんかいいバランスで調和しているのね。

主演のオデッサ・ヤングはほとんど無名の人だね。これから有名になるだろうな。
脇役でコリン・ファースとオリヴィア・コールマンが固める。

面白かったー。

2022年10月2日日曜日

映画『モガディシュ 脱出までの14日間』

2021年 監督:リュ・スンワン
製作国:韓国
at ギンレイホール




1991年、当時国連加盟を目指していた韓国政府は、アフリカ諸国でロビー活動を行っていた。
ソマリアでは韓国大使のハン・シンソン(キム・ユンソク)は現地政府に取り入ろうと日々奔走していた。
しかしライバルである北朝鮮は20年も前からアフリカで活動を行っており、北朝鮮の大使リム・ヨンス(ホ・ジュノ)に遅れを取りがち。
で、前半はなにやら昔なつかしい雰囲気のほのぼの展開なんだけど、内線が勃発してからは過酷。

面白かったー。
日本人ならおいでおいでと招き入れそうだけど、そこは敵国、見捨てるのも厭わない姿勢とかちゃんと描いていて好感が持てる。
韓国と北朝鮮でそれぞれやりての若手が職員にいて、お互いばちばちやっているのもいいよね。
突然始まるカンフーアクションとかさ。監督は香港カンフー映画に心酔しているらしい。
最初はただの小物っぽいハン大使が頼れるリーダーみたいにかっこよくなるのも見所。

緩急がうまいのかな。
白旗出すところで旗が取れてしまうところとかギャグシーンだよな。命がけのギャグ。
コン書記官(チョン・マンシク)が憎めない。

本とかで防御力ましましの車がどんどん破壊されていって最終的には芸術的なオブジェみたいになっているのとかもよかったな。

どこで撮影しているんだろうって思ったらモロッコらしい。
ソマリアは渡航禁止らしいしさすがにソマリアじゃないか。
30年前とはいえ、アジアの1小国が現地のソマリアでこれほど大規模に内戦を再現していたらなんか言われたりしないのかなとか思っていた。
それにしても内戦のあの迫力やエキストラの多さはとんでもない規模だし相当制作費もかかっていそう。
日本じゃ今どきこんな大作映画作られないからなかなか楽しませてもらった。

映画『オフィサー・アンド・スパイ』

2019年 監督:ロマン・ポランスキー
製作国:フランス / イタリア
at ギンレイホール




冒頭からすごいロングショット。
恐ろしく広い空間を一糸乱れぬ隊列が進んでいく。
スパイ容疑のユダヤ人陸軍大尉ドレフュス(ルイ・ガレル)が軍服の数々のボタン等を無惨に剥ぎ取られた上、サーベルを膝でへし折られる。

1894年にフランスで起きたドレフュス事件を扱った映画。
主人公はドレフュスでなく、彼の無実を知ることになるピカール中佐(ジャン・デュジャルダン)。
1軍人と国家権力との戦いが始まる。

軍人としての矜持の違いから対立するピカールとアンリ(グレゴリー・ガドゥボワ)。
妖艶な魅力をはなついい女ポーリーヌ(エマニュエル・セニエ)。
根強いユダヤ人差別(ピカール自身もどちらかという反ユダヤってところが面白い)。
って感じでなかなか見応えあって面白かった。
ピカールとドレフュスの関係性もいいよね。地位も命も危うくなりながら奮闘したピカールと向かい合ったドレフュスとの対話は、ドレフュスが失ったものの大きさと反ユダヤへの終わらない闘いが示唆されていそう。

エンドロール見てやっとロマン・ポランスキーだったのかと知った。
結構な年のはずだけどこんな映画作れてすごいな。

弁護士役の人メルヴィル・プポーだったとは全く気づかなかった。
あと筆跡鑑定人がマチュー・アマルリック。