2024年8月6日火曜日

映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』

2023年 監督:阪元裕吾
製作国:日本
at ギンレイホール




タイトルバックまでのイントロでなんかハマらなかったので嫌な予感はした。
結果、まあまあ面白かった。
1作目の完成度が高すぎるんだよな。

日常のあるある雰囲気やバイオレンス部分が縮小して、主役二人のゆるいやり取りが増えた気がする。
それがなにか上滑りしているような出来上がりだからノレなかったのかな。
まひろが食べ物こぼすシーンがまた見れたのはよかった。

神村ゆうり(丞威)と神村まこと(濱田龍臣)の兄弟は下請けの殺し屋をやっている。
給料も扱いも下の下の二人は、殺し屋協会の正規の殺し屋を殺してそのポストを奪えば自分たちが正規になれる、という噂を本気にしてちさととまひろをターゲットする。
一方当のちさととまひろは金が無く、しかも謹慎処分まで受けてアルバイトで生計を立てる苦しい日々。
この二組の対決がクライマックス。

兄弟は強いのか弱いのかよくわからん。
正規じゃないしすぐやられているしクソ雑魚扱いなのかと思っていたらなぜかめっちゃ強かったりって混乱する。
まあ強くないとラストの戦闘が盛り上がらないっていうのは分かるのだが、強敵に挑みに行くのではなくてクソ雑魚を軽くひねりに行くって雰囲気だったから少し肩透かし。
丞威って人は岩永ジョーイで経歴見るとジャニーズとかダンサーとかアクション俳優とか、ドニー・イェンの映画に出ていたりとかって伝記書けそうなくらいの経歴。
『孤狼の血』の養豚場のあんちゃんか!
濱田龍臣は子役時代のあのおしゃれパーマが嫌いだったけどだいぶ成長してた。

新しい学校のリーダーズがカメオ出演(主題歌歌っているからか)しているのは盛り上がるどころかなんか違和感感じた。

よかったのは前回もいた田坂(水石亜飛夢)を掘り下げたところ。
前回はただのめんどくさいコメディキャラだったからな。
いや、今回もそうかw
後輩?相棒の宮内さん(中井友望)も新規登場してやり取りがなかなか楽しい。

まあいろいろ言っても期待値が高すぎたというだけで全体的にはまあまあ面白かった。
3作目映画とか、テレ東でドラマとかがこれから控えているらしい。

2024年8月5日月曜日

映画『ベイビーわるきゅーれ』

2021年 監督:阪元裕吾
製作国:日本
Amazonプライム




いろいろ謎なまま見始めたらめちゃくちゃ面白かった。
殺し屋やっているJKコンビが卒業後に向けてバイトしたり二人暮らししたりで社会に馴染む努力を始める。
っていう話でほのぼのコメディかと思いきや結構バイオレンス。
そしてバイオレンスなのにコメディが普通に面白く、そしてほのぼのが本当にほのぼのしている。
どの要素も中途半端じゃなくて質が高いから面白い。
アクションなんか何一つ期待していなかったのにすごい本格的でびびる。
深川まひろ役の伊澤彩織は格闘技経験者かなにかかと思ったらスタントパフォーマーらしい。
そうだよね、普通の女優の動きじゃないもん。
日常シーンですらしれっとぬるっとその身体能力の高さを見せつけてくるし。
もう一人の主演杉本ちさと役の髙石あかりはダンスボーカルグループに所属していたりしてその後女優になっている。
この子の方はそれほどアクションシーンないけど銃をかまえた立ち姿はなかなか様になっていてかっこいい。

社会のはみ出し者の若者二人の物語って結構あるよね、傷だらけの天使とか。
それの女性版みたいな感じ。
JK二人ってそういえばアニメだと最近流行ったリコリス・リコイルとかあったな。この映画が先か。

陽キャのちさとと陰キャのまひろ。
まひろが面白い。
もの食べるときに噛むとその反動で中身が飛び出して落ちるシーンは笑いかわいい。
しかも後で繰り返すし。
ぼそぼそ喋って人とコミュニケーション取るのが苦手な子。
ラストで常人離れしたアクションを披露して終わったカタルシスの瞬間に間髪入れずぼそぼそと独り言つぶやきながら歩き回るっていう緩急の付け方の演出凄いよな。

日常シーンは冒頭のバイト面接がまずはまる。
店長役にラバーズの大水洋介使うところなんかぴったり。
あと、ちさとのバイト先が秀逸だった。
こういう人いるわ。
キレないでちょこまかと対応しているところがもう十分大人。
そして認められるほっこりエピソードのあとの爆発は笑える。

座った状態のまことがちさとに引っ張ってと両手を差し伸べるシーンの冒頭とラストの繰り返しは地味にぐっとくる。

やくざ親子のメイド喫茶シーンも面白かったな。
あのメイドの子は物怖じせずよく突入したもんだ。
ここはいきなりの展開でなく「あ、やばそう」っていう笑い顔のどアップを間に挟んでいて、いきなりブチ切れてほしいところだけどワンクッション置くのもそれはそれで面白い。
この親分がやばいやつっていうのはおつり200万円のおっさんとのやりとりで既に証明されているからな。
おつり200万のおっさんシーンも日常のあるあるとバイオレンスが高度に噛み合ってすごいシーンだった。
おっさんの取り繕う演技が秀逸。
仁科貴、川谷拓三の息子か。

親分の娘役の子を演じた秋谷百音は表情豊かでなかなかいい女優さんだった。これから活躍しそう。
ソロ活女子のススメ2の2話サバゲー回に出ているみたいで見返すとたしかにこの子だ。普通に見える。

ストーリー自体は漫画っぽいので漫画が原作かと思いきや、監督のオリジナル脚本っぽい。
漫画のようなストーリーの中で是枝監督並みの日常シーンや超本格アクションやちゃんと笑えるコメディをしれっと仕込むんだからとんでもない監督がいたもんだ。
面白かった。続編もあるみたいなので見てみよう。

2024年6月29日土曜日

映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

2014年 監督:ジョン・ファヴロー
製作国:アメリカ
Amazonプライム




一流レストランの総料理長のカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、人気ブロガーである評論家と対立したことを契機にどん底に滑り落ちる。
で、フードトラック始めました。アメリカ横断。

ロードムービーかと思っていたらなかなか出発しない。
後半少し旅したって程度だったものの、全体的には飽きずに見ることができる。
こういうのギンレイホールで上映してそうだが見た記憶ないからやってないはず。

料理人の所作って美しいよね。
冒頭で料理シーンをじっくり見せてくれるからそれでだいぶ引き込まれる。
主演(監督脚本も)のジョン・ファヴローは料理経験が豊富なんだろうか。なかなかの包丁さばき。
料理人とかこういう手に職を持っている系の職業って、その技術でどこ行っても食べていけそうでいいよな。

2014年頃ってtwitterが急速に広がっていた時期か。
あの評論家はカールのファンだし、カールに発破をかける意図もあったのだろう。
定番も大事だがカールの本領が発揮されていない。
そしてブロガーとして読み手を楽しませるためにちょっとした皮肉を混ぜ込んだり。
SNSに慣れていなく煽り耐性0のカールはブチ切れる。
こういうズレの微妙さが面白い。
ただ、後のシーンで、写真を要求する厚かましい警官に文句も言わずに対応したのは成長なのかなんなのか。時代に迎合するのはつまらないぜ。

登場人物の関係性とかをほどよく小出しに見せていく脚本はなかなか上手い。
ああ、離婚していたのかとか、リーバって何者よ?とか。
リーバのくだりはスカーレット・ヨハンソンだと?ダスティン・ホフマンだと?っていう畳み掛けまでしてくるし。
あと、名前だけ出ていた元夫がロバート・ダウニー・Jr。

不満なところを挙げれば、やっぱりがっつりロードムービーを見たかった。
旅を通じて親子の絆がとかまあいろいろあるものの少し物足りない。
それにしてもこの10歳くらいの息子のパパ大好きっぷりはアメリカじゃ普通なんだろうか。息子は最初から心開いているから楽勝なんだよね。
それと、ロードムービーの始まりと、天才カールの本領が発揮されるのが重なるはずが、フードトラックの料理がキューバのソウルフードって、、なんかもう料理のジャンルが違うじゃん。
それが「激ウマ」だとしてもカールの培ってきた技術や才能が十分に発揮されているように思えず少し消化不良だった。