2025年9月27日土曜日

映画『悪の教典』

2012年 監督:三池崇史
製作国:日本
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体育教師の柴原(山田孝之)は生徒の弱みを握って淫行しているし、釣井(吹越満)という教師は妻を殺害しているようだし、さわやかイケメン人気教師のハスミンこと蓮実(伊藤英明)は廃墟のような平屋に住んでいるし。。
怪しい奴がたくさん。
他にも資産家の息子の教師久米(平岳大)は生徒の前島雅彦(林遣都)と同性愛の関係。
天才らしき早水圭介(染谷将太)は暇つぶしに集団カンニングを行ったり。
なんかもうこれでもかといろんなもの詰め込んでくる。
モンスターペアレント(滝藤賢一)が些事に思えるくらい強烈。
そんな中、とある人物の違和感が段々と異常性として明らかになっていく。

原作より登場人物だいぶ減らしているらしい。
それでも多いんだけど、有名どころ俳優が多いせいか脚本がいいのか意外と混乱しないで見ることができる。

殺人を巧みに隠蔽してきた犯人だが、言い逃れできない状況に対して出した解決策の発想がもう常軌を逸しているよね。
それすらもなんとか切り抜けようと画策しているし。

山田孝之の役がただのクズ教師なわけないだろう、最後めっちゃ活躍すんじゃないか、という期待とはちょっと違ったけど、きりっとした顔の「美彌」の一言で山田孝之の経歴の中で屈指の名シーンの一つになっているからさすがだ。

吹越満の電車のシーンがなかなかよかった。
あんなにカーブする地点をわざと選んだのかな。

いろんな若手俳優が出ていて、上にあげていない人だと、
二階堂ふみ、ツインテール松岡茉優、伊藤沙莉、岸井ゆきの(どこにいたか分からず)

なかなか面白かった。

2025年9月22日月曜日

映画『夕方のおともだち』

2020年 監督:廣木隆一
製作国:日本
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「こんな田舎にはもったいないぐらいのM」と評される天才的なハードMであるヨシダヨシオ(村上淳)は最近スランプに陥っている。
以前のように火花が飛び散るような快楽が無く、段々と醒めてきてしまうのだった。
スランプの原因はおそらく、この道に入るきっかけとなったユキ子女王様(Azumi)を忘れられないからだろう。
ユキ子女王様は4年前に突然姿を消してしまったのだった。
今のミホ女王様(菜葉菜)に不満があるわけではないが、調子が出ないせいでなんかぎくしゃく。
弁明のために店外で会っているうちになんか奇妙に仲良くなっていく。
そんな時ヨシオは最近町でユキ子を見かけたという噂を耳にする。。

最初なんかボールギャグ加えた冴えないおっさんが出てきて、主演の村淳はいつ出てくるのかと思っていたらそのおっさんが村淳だった。
おそらくだけど、役のヨシダヨシオって30前後くらいの設定なんじゃないかな。
村淳も若いとはいえ20代くらいの女子社員に好意を寄せられたり、30そこそこくらいの店長に年下に接するみたいな扱いされたりっていうのは違和感あった。

あ、菜葉菜って20代くらいかと思っていたけど当時30後半くらいだったっぽい。
女性で実年齢より若く見える人って凄いな。

ストーリーはよくわからなくもあったが、「自傷行為は自分の心の歪みを癒す自己治療のプロセス」って劇中で言っていたのが全てかな。
ヨシオもユキ子女王様も子供のころや過去現在に受けた傷が癒えずにもがき彷徨っている。
ってことなんだろうけどよくわからず。各登場人物の掘り下げがもう少し欲しいところ。

店が並ぶ道を二人が歩いているシーンのドリーがなかなか良かった。
しかも話がめっちゃ盛り上がった最高点で「じゃあ僕あっちなんで」とスタスタ帰っていくヨシオが楽しい。
何度も出る坂道のシーンもいい。ヨシオを手伝うか逡巡しながらも通り過ぎるおばさんとか、寝たきりの母親(烏丸せつこ!)をちょっと殺そうとしてみたりとか。

全体的にコメディ調で深刻にもなりすぎずテンポもいいから見やすかった。

風俗やキャバクラ等の夜の世界で一目置かれる客っていうのは金払いのいい客の一択だと思うのだが、そのサービス内容に特化した天才すぎて客なのに一目置かれるっていうのが受ける。

市長選候補のうらがね舞太郎(田口トモロヲ)って絶妙な名前。
劇中でも「うらがね舞太郎ってw」って突っ込んでいるから劇中内のリアル候補名でそれをやっているという。

原作は山本直樹の同名漫画で、短編集の一遍なのかな。ネットで試し読みしたら全く違う話だったし。
キャロルキングの名曲『You've Got a Friend』をもじったらしいダディ竹千代&東京おとぼけCATSの曲『夕方フレンド』からタイトルをパクったらしい。

「よく、このベンチの下あたりに裸で放置されたもんです」
「一度は真冬に夜中中放置されて死にかかったこともありましたね」
「夜が明けて凍え切って意識が朦朧とした僕の目の前に現れたあなたは、ご褒美におしっこをかけてくれた」
「あの時注がれたおしっこの熱さは、僕は、今でも思い出します」
wwwww
ロングショットの長回しでいいシーンだった。

2025年9月14日日曜日

映画『日本沈没』

1973年 監督:森谷司郎
製作国:日本
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なんか日本沈没した後にわずかに残った島々で原始的に生き抜く人々が裏切りや略奪等のいがみあいしているような無人島漂流ものみたいな映画かと勝手に思っていたら全然違った。
なかなか沈没しないし。
というか沈没するかもという科学的予測を受けて、研究者達や政府はどう動くべきか?日本をなくした日本民族とは?という葛藤や情熱が重厚な人間ドラマになっている。
リアリティが高くて、シンゴジラなんかチープな茶番劇に見えてくる。

昭和の男たちのかっこよさよ。
葉巻をくゆらせながら家の廊下を歩く丹波哲郎のダンディーさ!
変人だがその信念の強さと意思の固さがかっこいい男小林桂樹!
どれだけ心配したんだという理由だけでぼこぼこにぶん殴る熱い男夏八木勲!
たたずまいだけでダンディーすぎる二谷英明!
どんなじじいよりじじいらしい島田正吾!
仕事終わりに部下を高級外車に乗せて女のいる葉山の別荘に送り届ける理想の上司神山繁!
そして藤岡弘ね。この顔の濃さが許されるのは昭和だけだよな。
最初肉体労働の日雇いバイトの役柄かと思ったら潜水艇の操舵士とかいう頭悪いとできなさそうな職業で驚く。
いや、Gパンデニムシャツって恰好がラフすぎないかw
ちょっと配役ミスってんじゃないかと思いながらも、恋人みたいな女性を助けに火山灰の降り注ぐ中人々と逆行して突き進む姿は藤岡弘じゃなきゃダメだわと思う。

潜水艇のシーンは凄くよかった。
あの静けさや緊張感がたまらない。
あと、映画の始まり部分で音楽の一部かと思いきや新幹線の警笛の音っていうのは面白いつなぎだった。
名シーンは前半に集中している気がする。

特撮も当時にしては凄いんじゃないだろうか。
金もかかっていそう。
精巧に作られたミニチュアが惜しげもなく破壊されたり燃えたりする。
ちゃっちいといえばちゃっちくもあるけど、実写と織り交ぜながらの阿鼻叫喚は結構迫力ある。実際こんなんなったら泣くわ。

小松左京のベストセラーの映画化で、脚本は橋本忍。
キャストも豪華だしそりゃあ大ヒットするな。
面白かった。

2006年にリメイクされている。
ちょっと興味はあるけど監督とかキャスト見ているとなんか微妙だな。草彅君は好きだけど藤岡弘の印象が強すぎる。

なんか他にもアニメとかテレビドラマにもなっているみたい。
アニメの方は予告編見ると一般家族が主人公みたいで、原作の原型をとどめていない感じ。
ドラマは2021年のTBS日曜劇場で、ダイジェストを少し見た印象だとこちらも結構オリジナル脚本。それにしてもドラマだからか映像も役者も演技もなんだかペナッペナに見えた。
・・・おお、なんか昭和の熱さや重厚さダンディーさにかなり毒された気がする。。

2025年9月7日日曜日

映画『帝都物語』

1988年 監督:実相寺昭雄
製作国:日本
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製作費10億円かつストーリーも上映時間も出演者もスタッフも全てが壮大なB級映画。
我をあがめよ!ズバッ!ドゴーン!

ストーリーはもうさっぱり分からない。
登場人物はいっぱい出てくるけどこの人何者?って人が多すぎる。
声も聴きとりづらくてもう10分くらいで流れを追うのは諦めた。

明治大正昭和と駆け抜ける壮大さで、何よりセットの再現が凄いのよ。
日本の近代風俗史としても面白い。

特撮で出てくる異形の者はレイ・ハリーハウゼンみたいなストップモーションで、悪魔みたいな姿のやつもいるしかなり西洋風。
そういうごった煮感が面白い。
クリーチャーのデザインはエイリアンのH・R・ギーガーらしいね。

超常の力を持つもの達の戦いと、それとは関係しているようで関係ない地下鉄事業や東京の都市開発構想とかが並行して描かれ、実在の人物も数多く登場する。
荒俣宏のデビュー作でベストセラーだから、ストーリーを楽しみたかったら原作読んだ方がよさそう。
それにしても「超常の力を持つもの達の戦い」って書くと語弊があるか。白熱の超能力バトルみたいなものがあるわけじゃないから。
なんか気づいたら勝ってる、みたいな。
ストーリーだけでなく、戦いもまた何やっているのかよく分からないのであった。
ただ、使い魔護法童子との闘いで原田美枝子の髪がほどけた瞬間、恐ろしく美しかったので映画史に残るバトルシーンではある。
最終兵器的な石田純一演じる辰宮洋一郎は特に見どころもなく、なんだったんだろう。
そういえば石田純一って俳優だったんだよな。かっこいい。
登場シーンで佐野史郎と会話している時の細かな表情とか自然でいい役者さんだと思った。

「學天則」を作った西村真琴を演じた西村晃は西村真琴の息子らしい。粋な配役だ。
豪華すぎる登場人物は一人ひとり書いていると相当な数になるので、全然気づかなかった人だけ書くと、
中村嘉葎雄、冒頭数秒しか出ていないよね。全然気づかず。かつ役どころは森鷗外、なんて何の説明もなく分からんわ。
島田正吾、あのよぼよぼの爺さん島田正吾だったのか。若い時の映像でしか知らないから気づかず。
いとうせいこう、天才然とした坊ちゃんカットの男、なんかどこかで見たことある嫌な感じの顔だなと思った。
桂三枝、風水師の男、気づけば確かに桂三枝だ!結構いい役もらってやがる。