BS2 録画


岩井俊二は前に一作、なんだっけな、『PicNic』かなんか見て、やっばー、このオタク世界に全然ついていけない、っつって。
それから岩井俊二は一切見ていない、っつって。
のだけど『花とアリス』はそういえば蒼井優がバレエを踊っているとかいう情報を聞いたような気するな、っつって。
見てみる。
むーん。この映画で坂本真が語尾に「っつって」と必ずつけるのね。段々うざくなってくるのだけど、たまに使ってみると結構楽しいかも。
で、この映画、やっばー。蒼井優がよすぎる。
ちょっとした表情のかわいらしいこと。
鼻を両手の人差し指ではさんで鼻声で「ごめんなさい」と言っても蒼井優ならOK。
そして鈴木杏と蒼井優の掛け合いも奇跡的な絶妙さで面白いしな。
アリス(蒼井優)とハナ(鈴木杏)は親友で一緒の高校に進学する。
ハナは中学時代に駅のホームで見かけてあこがれていた先輩のいる落語研究会に入部。
先輩の下校を尾行しているところで先輩がシャッターに頭をぶつけて気絶。
なんだかんだでハナは先輩を記憶喪失扱いしてちゃっかり彼女の位置に収まる。
自分の名前も覚えているし最近の事も覚えているのに、彼女のことだけは忘れてしまったという記憶喪失。
んな馬鹿なと思ってもこの先輩はぼーっとした変なやつなので、騙されてもなんか納得。
コメディだよね。
嘘がばれそうになったため、ハナはさらに嘘を重ねて親友のアリスを元カノに仕立て上げる。
元カノの事まで忘れたのか!
先輩は過去の記憶を思い出そうとアリスとデートを重ねる。
まあ、三角関係。
ストーリーの主軸はこの三角関係なんだけど、話は結構大きく広がる。
まず主役二人の背景の描き方が上手い。
アリスは母子家庭で母親(相田翔子)は新しい彼氏とデートばかりしている。
家の中は臭くない程度に乱雑。家事をしていないらしい。
そんな家庭だがアリスは奔放で明るい。
本当の父親ともよく会う。というか父親が大好きらしい。
ハナの頼みに付き合って先輩に元カノのふりして接するが、アリスは先輩とのありもしない過去の記憶たどりデートを、父親との懐かしい過去の記憶たどりに常に置き換える。
これが最後の方でトランプのハートのエースとして油断すると泣きそうになるくらいのいい話になるんだな。
明るいアリスに対して、暗くはないがどこか狂気を秘めたハナ。
臆病なのか大胆なのかわからない。
憧れの先輩の彼女になる手腕はコメディの世界だったけど、ハナの嘘は夢野久作の『少女地獄 何でもない』の世界だった。
激しい嫉妬とまくしたてる嘘の狂気。
嘘を重ねて自分の首を絞めていき、「先輩が私のことを好きなったという事実は・・・ありません」という悲惨な言葉をはく羽目に陥る。
でもいいシーンだけどね。
ハナの背景はいまいち描かれないのだけど、ラストの方で思いがけない形でハナの過去とアリスとの関係が明かされる。
ああ、これで十分です。
そして過去と擬似過去の現在が交錯する中で未来の線も折り重ねてくる。
アリスはスカウトされて芸能事務所に入っていろんなオーディションに出るのね。
奔放なアリスも社会に出ればおとなしい女子高生。このギャップ。
社会には一癖も二癖もある連中が待ち受けてるし。ルー大芝とかアブちゃんとか。
つっこみどころはとりあえず置いておこう。トランプのカードが10年近くも浜辺に落ちているわけねーだろ、とか。
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