2009年7月20日月曜日

映画『チェンジリング』

2008年 監督:クリント・イーストウッド
at ギンレイホール


チェンジリング [DVD]

142分あるんだけど間延びもせず最後までテンション高く観ることができる。
化粧が濃くて口紅が別の生き物かのように気持ち悪く真っ赤なこの主演女優はいったい誰だろうと思っていたらアンジェリーナ・ジョリー。

舞台は1928年のロサンゼルス。
女手一つで9歳の息子を育てるクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)。
ある休日、息子を家に残して出勤したクリスティンは帰宅後、息子がどこにもいないことに気づいて取り乱す。
突然消えた息子。
5ヵ月後、息子はロス市警によって発見される。
腐敗しきって信頼が地に落ちているロス市警はこの手柄を絶好のプロパガンダとして、たくさんの報道陣の前で感動の親子対面を大仰に演出した。
いよいよ親子対面。
しかし現れた子供は自分の息子とは似ても似つかない全くの別人だった。
「子供の成長は早い」などとJ・J・ジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)に言いくるめられたクリスティンは、渋々この見知らぬ子供を家に連れ帰る。
無力なクリスティンとロス市警との戦いが始まる。

いやー、しっかし面白いなぁ。
長い映画は疲れるから嫌いなんだけど、魅力的な役者や展開でぐいぐい引き込んでいく。
それぞれがそれぞれの思惑で動くのだけど、クリスティンだけがシンプルにただ息子を見つけ出すことだけを目的としている。
そのシンプルで根源的な母の強い願いは、大人から子供まで、権力を持った傲慢から無邪気な夢まで、様々な人間の思惑で阻まれる。
特にジョーンズ警部が凄い。
映画史上最も憎らしい人物なんじゃないかと思うくらい憎たらしい。

そういえば精神病棟の下りは、どこまで当時の実体にそぐうのかは知らないけど、夢野久作の『ドグラマグラ』における「キチガイ地獄外道祭文」のような病院地獄そのもだったので恐ろしい。

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