2009年11月1日日曜日

映画『京義線(キョンイセン)』

2007年 監督:パク・フンシク
BS2 録画


これはまた静かな映画だな。
ロードムービーかと思っていたけど旅部分は全体の2割程度くらいしかない。
何か人生に絶望したように生気のない男と女がそれぞれイムジンガン行きの京義線に乗り合わせる。
そこから話は1ヶ月前に遡り、二人が京義線に乗るまでの経緯が描かれる。

父子家庭で育ち、地下鉄の運転手として働くマンス(キム・ガンウ)。
不規則な勤務時間に疲れながらも真面目に勤めあげていた。
質素な暮らしと真面目さで、誠実を絵に描いたような青年。
運転席から見えるのはいつも変わらない地下鉄のトンネルの風景。
しかし月に1回、「泉」という雑誌の発売日にその雑誌と間食を差し入れてくれる女性がいて、マンスは彼女と会うのを楽しみにしていた。
会うといっても名前も知らないし、勤務中なので一言二言しか喋れないのだが。

誠実なマンスとは対照的なのがハンナ(ソン・テヨン)。
彼女は大学でドイツ文学の非常勤講師をしている。
ドイツ留学時代の先輩で今は同じ大学で教授をしている男と不倫関係にある。
良家のお嬢さんらしく、わがままな面もちらほら。
今の不倫関係と自分の将来に不安を感じている。

ストーリーとしてはマンスが気になってしょうがない。
誠実の塊のマンスに一体何があって京義線に乗ることになったのか。
変わり映えの無い地下鉄の勤務風景の一つ一つに緊張感が漂う。
そして人物の見た目的に気になってしょうがないのがハンナ。
ソン・テヨンという女優さんなんだけど、物凄く綺麗な人。
透明感のある顔にびっくりするくらいスレンダーなプロポーション。
綺麗な人といえばマンスに差し入れする女性も綺麗。含みのある微笑が可愛らしい。

ストーリーは大きな起伏もなく淡々と進むのだけど、冒頭の地下鉄の運転席から見たくねり曲がるトンネルの風景でもうこの映画が好きになる。
差し入れの女性は一体何だったのかとか不明な点は残るものの、何より映像だけでかなり魅了される。
ラストの光なんて温かくて力強くて泣きそうになる。

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こないだ見たベトナム映画『1735Km』とこれをロードムービー繋がりとしてDVDに焼こうしたんだけど何を間違えたか『1735Km』とまだ見ていない『My Son あふれる想い』を焼いてしまった。
『1735Km』とセットにしてロードムービーでもこんなに違うもんだよということを1枚のDVDで表す目論見だったのにぃ。
しょうがないから昔見た『モンゴリアン・ピンポン』とアジアフィルムフェスティバル繋がりとして焼くか。

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