2010年3月14日日曜日

映画『レスラー』

2008年 監督:ダーレン・アロノフスキー
at ギンレイホール


レスラー スペシャル・エディション [DVD]

全盛期を過ぎたプロレスラーランディをミッキー・ロークが演じる。
ドキュメンタリータッチに描かれるランディの生活は貧しいものだった。
平日は主にスーパーで働き、週末は各地の小さな会場でのプロレス巡業に出かける。
家族は離散し、孤独な一人暮らし。
家賃すらまともに払えない状態。
それでも過去の栄光とはいえ人気は高いので、プロレス会場では大コールが起きたりする。
華やかな舞台と地味な生活のギャップが生々しい。

落ち目のせいなのかハードコアの試合までこなす。
有刺鉄線は食い込むわホチキスみたいなものを何発も体に埋め込まれるわで大ダメージなんだけど、そんな試合をしなければいけないこと自体はなんとも思っていない。
痛みよりも観客が喜んでくれれば何より嬉しい。

「苦痛なのは外の現実だよ」とわがままな子供のように寂しげに微笑むミッキー・ロークにやられる。
ミッキー・ロークです。
80年代に一躍トップ俳優に躍り出たものの共演者や監督との確執を繰り返し、ギャングとのつながりなど、次第にマスコミのバッシングの対象となり俳優業から遠ざかっていく。
そして元々アマチュアボクサーでもあったロークは90年代にはプロボクサーに転向。
92年に両国で行われた試合では1RKO勝ちするものの、フィニッシュブローは猫パンチと揶揄され、比較的温かい声援を送っていた日本のファンも遠ざかっていく。
とはいえロークはかなりボクシングに打ち込んでいたらしく、鼻や頬の骨折から脳の損傷までかなりのダメージを負う。
約4年間ボクサーをやったあとにカムバックするがボクサー時代の後遺症による整形→顔面崩壊や離婚騒動や暴力事件等々ゴシップニュースでしか話題に上らなくなる。
かなり荒んだ生活をしていたらしい。
「80年代最高、90年代最低」です。
(と、とっくに引退した役者だと思い込んでいたくらいの知識しかなかったので調べてみた。)

この映画はスタジオ側はニコラス・ケイジを主演にと考えていたらしいが、監督のダーレン・アロノフスキーはミッキー・ロークを起用。
集客力のあるケイジを起用しなかったせいで制作費が大幅にカットされたらしい。
そこまで期待されたらその期待に応えなきゃ男じゃありません。ミッキーは全てを賭けてこの映画の撮影に臨む。
主人公ランディとミッキー・ロークという男の人生が重なるところがあるのでなかなか感慨深い。

試合のシーンはあまり多くないけど、なかなか様になっている。相当頑張ったんだろうな。
トップロープからダイブするスローモーションのシーンを予告編で見て楽しみにしていたのだけど、思いのほか感動的で泣きそうになる。
予告編だと思っていたけど公式ページで予告編を見るとそんなシーンないから、シネマ通信で見たのかなぁ。

ランディがギャラを貰ったときにいつも通うショーパブのストリップダンサー役にマリサ・トメイ。
50近いのにあの肉体はびっくり。
ランディの娘ステファニー役にエヴァン・レイチェル・ウッド。
この不細工加減がドキュメンタリーっぽさを出していていいと思っていたけど、エヴァン・レイチェル・ウッドは子役出身で今期待の若手女優らしい。
それにしてもこのステファニーという役は、わがままというか甘えん坊というか、いらっとくる。

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