2003年 監督:イレーシュ・サボー,シャーンドル・カルドシュ
at ギンレイホール
ハンガリー映画で舞台は1956年。
貧しい労働者のベーラはサッカーくじで大穴を当て、給料百年分に相当する金を手にする。
しかし銀行に預けに行く道すがら、ハンガリー動乱に巻き込まれ、大金をとりあえず家に持ち帰るのであった。
ユーモアに溢れるのだけど、全編にただようのは物悲しさ。
サッカーくじで大金を当てた男のドタバタ喜劇かと思いきや、大金を当てたってところはそんなに重要な要素ではないように思える。
もちろん大金があるからレストランを借り切って朝まで騒ぐことができたわけだし、金をそういう用途に使用するようになった心境の変化とかも重要なんだけど、それでもこの映画の尋常じゃない儚さ切なさを描くためのほんの一要素にしか過ぎない。
人の命はあっけない。世界は変わり続け、幸せな瞬間が永遠に続くわけではないが、夢や希望は捨てずに今この時を一所懸命生き抜こうというメッセージ。
だけど夢や希望もあっけなく死んだ瞬間に消え去るのだけどね。
下宿人のセクシーねえちゃんロージカと主人公のベーラの関係が面白い。
初めはエロい目線でしかロージカを見ていなかったのだけど、最後の方の暗い部屋で二人が寄り添っている姿のなんと美しいことか。
レストランにふと現れてヴァイオリンを奏でた後寂しげな表情のまま無言で去っていく女性兵士も印象深い。
ラストシーンの無常感と余韻も秀逸です。
そういえば今日ギンレイに入館するために並んでいるとき、見終わってぞろぞろ出てきてすれ違っていく人達の中から「よくわからなかったね」という声が聞こえた。
今日のプログラムの『ミレニアム』はそんなにややこしいミステリー映画なのか、と思っていたけど、よくよく考えるとすれ違った人達はこの『ウィニングチケット』をちょうど見終わった人達だ。
確かによく分からないといえばよく分からないかもしれない。
喜劇なのか悲劇なのか明るいのか暗いのか希望に溢れているのか絶望なのか・・
でも面白かった。
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