2010年6月27日日曜日

映画『ニューヨーク、アイラブユー』

2008年 監督:チアン・ウェン,ミーラー・ナーイル,岩井俊二,イヴァン・アタル,ブレット・ラトナー,アレン・ヒューズ,シェカール・カプール,ナタリー・ポートマン,ファティ・アキン,ジョシュア・マーストンランディ・バルスマイヤー
at ギンレイホール


ニューヨーク, アイラブユー [DVD]

10人の監督がニューヨークを舞台に撮ったオムニバス。
オムニバスならオムニバスで一個一個完全に区切ってくれればいいものを、分割したり中途半端につながりがあって群像劇っぽくなっているから困る。
短編はやっと馴染んできたところで終わってしまうから苦手だし、群像劇は登場人物が多くて苦手だし、ってことでその両方を合わせたような映画が僕にとって苦しくないわけが無い。
たくさん出てくる登場人物を一人一人覚えられないから少しでも似た顔の人が出てくると混乱してわけが分からなくなる。

とはいえ、エピソードの一つ一つはなかなか面白い。
中でも他に比べると少し異色でもあった「シェーカル・カプール監督のアッパー・イースト・サイド」のオペラ歌手とホテルボーイの物語がよかったな。優しさと悲しみに満ちた人生が柔らかい光の中で幻想的に濃縮されていて。
あとは「ファティ・アキン監督のチャイナタウン」。スー・チーは前は可愛くもなんともなかったのにいつの間にか色っぽくなったなぁ。

岩井俊二も監督の一人に名を連ねている。「岩井俊二監督のアッパー・ウェスト・サイド」。
小汚い格好しているけどイケメンすぎるオーランド・ブルームの前に現れた女性がドストエフスキーのぶ厚い本で顔を隠していて顔が見えない。
しかし本をすっとどけるとくりくりお目めででこっぱちの可愛らしい顔が微笑んでいる。
ああ、岩井俊二だねぇ。
そしてこの女性はなんとクリスティナ・リッチ。
痩せていて顔も変わっているから全然気づかなかった。

ナタリー・ポートマンも監督、そして女優として参加している。
スキンヘッドは感動すら覚える美しさ。

映画『抱擁のかけら』

2009年 監督:ペドロ・アルモドバル
at ギンレイホール


抱擁のかけら [DVD]

『ライブ・フレッシュ』や『オール・アバウト・マイ・マザ』でペネロペ・クルスを見たときは綺麗な人だなと思ったものの、最近はどうも苦手なんだな。
そのペネロペ主演の狂おしい愛憎劇。

タイトルにもある通り「抱擁」がところどころで悲しくて純粋なアクセントになっている。

様々な登場人物の想いが複雑に絡み合って生み出される重層的な悲喜劇はアルモドバルっぽい。
ただ、アルモドバルってことでいつも期待値が高くなってしまうので、いまいち感が少し漂うのだけど映画自体はそこらの作品より楽しめます。

2010年6月22日火曜日

小橋

小橋健太が結婚した。
何日か前にGoogleの急上昇ワードに小橋健太がランクインしていて、まさか三沢のように・・・とどきどきしながら検索してみると、特に何も引っかからない。
なんだったんだろうと思っていたのだけど、急上昇ワードに上がったのは「踊る!さんま御殿!!」に出ていたからだったらしい。結婚のニュース記事見ていて判明した。

お相手は演歌歌手のみずき舞。
知らんなぁ。
30代くらいまでの演歌歌手は一通り抑えていたと思っていたけどテレビにはほとんど出ていないのかな。
それにしてもテレビにも出ずに活動している演歌歌手は一体どれほどいるのだろう。ラジオ?
有線の演歌チャンネルとか聞いていても8割方聴いたこと無い曲だしなぁ。

僕の秘蔵の歌番組DVDコレクションは1枚作るごとにエクセルに曲タイトルと歌手を記入しているので、そのエクセルを検索してみると1件引っかかった。

夢ゆらら みずき舞 NHK歌謡コンサート 2005/04/26

2005年か、全然記憶に無い。
今度再生してみるか。

ちなみに今Googleの急上昇ワードを見るとトップ20内に名前無し。

2010年6月13日日曜日

映画『ずっとあなたを愛してる』

2008年 監督:フィリップ・クローデル
at ギンレイホール


ずっとあなたを愛してる [DVD]

どこかの空港のベンチに物凄い彫りの深い二重まぶたのおばさんが呆けた顔して座っているのが映し出される。
またおばさんか!
そのおばさんの所に比較的すっきりした顔立ちのショートカットの女性がやってくる。
おばさんの妹らしい。

おばさんの方ジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)は刑務所から出所してきたばかりだった。
刑務所に入った理由は息子殺し。15年。
妹レア(エルザ・ジルベルスタイン)は大学の講師で結婚もしている。
レアには幼い娘が二人いるのだけど、娘はフランス人の両親なのに強烈にアジア顔となっている。
どうも二人ともベトナムからの養子らしい。
長女プチ・リスと次女アメリア。
出所したジュリエットは妹のこの家庭にしばらくお邪魔することになってこの地までやってきた。
だけどジュリエットの心は閉ざされていて、妹家族とも距離を置いている。
妹の方は大好きだった姉との空白の期間を埋めようと必死に頑張る。

中盤眠くなって少し寝る。
ちょっともったいなかったかな。なかなかいい映画だったので。

ジュリエットは悪い人じゃなさそうだけど、息子殺しの真相は最後まで明かされないし、初日に少女 プチ・リスにきれたりして情緒不安定なのかなとも思う。
だからプチ・リスに気に入られて二人で仲良く遊んでいても、もしかしてとんでもない事件に発展するのではないかという不安感も付きまとう。

さりげなく存在感を出す脇役達もいいねぇ。

ジュリエットは美人という設定らしい。
たまに美人に見えなくは無いが、うーむ。
欧米人の美的感覚との乖離を感じるよくある瞬間。

映画『フローズン・リバー』

2008年 監督:コートニー・ハント
at ギンレイホール


前回のギンレイのプログラムを見逃したので予告編を見ておらず、どんな映画かも知らずに見始める。
フローズン・リバーか。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
川が凍るって時が止まる、未来の見えない閉塞、とかそんな映画なのかねぇ等と想像しながら。

バスローブのようなものから老女の足が覗いている。
カメラが上がると続いて老女の手が映る。
さらに上がるとパーマのかかった長い茶色の髪の先端が見える。
あれっ、若いの?
さらに上がると女の顔が映るのだけど、ああ、やっぱり老女だ。
と思ったら5,6歳くらいの子供にママと呼ばれている。えっ。
着替えるために下着姿になったのを見ると、刺青が目立つその肌の感じはどうも40半ばくらいっぽい。
そんな年齢のわりに大変老け込んで見えるおばさんが主人公。

で、主役がもう一人いて、こっちの方は逆に小学生の太った男の子だと思っていたら実は30前くらいの女性だったという驚きの風貌。

華やかさのかけらもない二人の女性の映画で一体何を楽しめばいいんだと思ったのも一瞬で、意外となかなか面白い映画だった。
貧困と差別の中で自分を、家族を守ることに必死な二人の物語。
2008年サンダンス映画祭のグランプリらしい。

2010年6月8日火曜日

映画『明日、陽はふたたび』

2000年 監督:フランチェスカ・アルキブジ
BS2 録画


明日、陽はふたたび

冒頭、夜中、地震が起きたらしい。
それも建物が崩壊するほどの大地震。
パニックになりながら広場に逃げ延びた住民達は、追い討ちをかけるように消えた電気に一斉に悲鳴を上げる。
ばらばらだった悲鳴が一体になった後の暗闇と静寂。
暗闇の中で「それから数年後」というのをなぜか切に希求したものの、まだまだ地震の夜は続いている。
これはなかなか先は長いぞという予感。

舞台は1997年9月のイタリア中部カッキアーノ。
この地震は実際に起きたアッシジの大地震。

大きな展開も無く、なんでこんなかったるい映画見てるんだろうと思いながらもなぜか再生を停止する気は起きずに見続ける。
いやぁー、停止しないでよかったな。
ラストは涙出るし。
清々しい気持ちになった後の、少女のあのなんともいえない表情、希望と絶望の裏表の中で切ないようでいて生命の力強さで満たされているようなあの表情がとても印象深い。

かったるい理由は群像劇だからだろう。
登場人物は多い。
町の助役夫妻とその二人の息子。
いつも一緒の仲良し女の子。
ゲイと精神に少し障害をきたした母親。
教会のフレスコ画修復に来たイギリス人とその妻。
小学生の女性教師。
等々。
地震により関係が崩れたり再構築されたり新たにつながりができたり。
登場人物覚えた後に見る2回目が一番面白いかも。
人間っておもしろいなぁと思うくらい様々な在り方が描かれているから。