2011年7月24日日曜日

映画『SOMEWHERE』

2010年 監督:ソフィア・コッポラ
at ギンレイホール


SOMEWHERE [DVD]

あれっ、天使がいるよ。
娘役の子がやばいね。
中性的(子供なので)で神秘的な可愛さ。
こんな子が娘だったら毎日定時で帰る。
どこで見つけたんだろうと思ったらダコタ・ファニングの妹で既に何本も映画に出ていた。

スティーヴン・ドーフが演じる映画スターがセレブで自堕落で空虚な生活を送っているところに、前妻の娘のクレオ(エル・ファニング)がやってくる。
父と娘の本来普通にあるべきだった日常が、愛しさを滲ませながら淡々と描かれていく。
娘役が破壊力抜群だからな。父の心境が変化しないわけが無い。

淡々とっていうのが本当淡々となので途中うとうとしてしまった。
それもあってか、プールサイドで日向ぼっこする二人のシーンがラストシーンの気配を色濃く漂わせたとき、同時にもたげた「ここで終わるとはなかなかいい映画だったかもしれない」という感想と微妙な興奮が数秒後にはプールサイドのシーンと共にあっという間に過去に置き去りにされていく悲しさ。
別離があって「俺は空っぽの人間だ」と言わしめ、だだっ広い荒野を黒のフェラーリがむなしい爆音と共に行く当ても無く周回し続ける冒頭のシーンがラストシーンへと繋がって行くのだけど、なんかそんなストーリー上まとめなくてもいいじゃん。今更。ぶひ。

つまらなくはなかったけど滅茶苦茶面白いというわけでもなく、ただエル・ファニングが順調にいい女へと成長してくれることを祈りたい。

映画『アメイジング・グレイス』

2006年 監督:マイケル・アプテッド
at ギンレイホール


アメイジング・グレイス [DVD]

長いなぁと思ったけど118分なんだな。
18世紀のイギリスで、奴隷制度の廃止に一生をささげた青年政治家のお話。

事前に見た予告編の印象では、まずストーリーとして、正義漢の青年が堕落した政治家という分かりやすい悪を相手に奮闘し、時折挫折しながらも最後には栄光の勝利を勝ち取る、っていう期待感のあまり湧かない話っぽくて、さらには
「首相として忠告する」「友としては?」「思う存分やれ ( -_-)フッ」
っていうセリフを聞いたら、もうとんでもなくつまらない映画なんじゃないかと思えてくる。
それでも期待感を維持したのは、予告編で本田美奈子が歌う「Amazing Grace」が流れて、久しぶりに聞いた歌声と歌唱に我を忘れて引き込まれたから。

イギリス映画で本田美奈子の歌が使われるなんて、この監督は結構やるなぁ。
本編のどこで流れても号泣する準備はできでるぜ。
と思って本編に望んだのに、本田美奈子の歌、流れないじゃん。。。
日本の予告編にだけ使われていたらしい。
がっくりきたショックで映画の内容は忘れた。
アルバート・フィニーとかマイケル・ガンボンが出演していた。

2011年7月10日日曜日

映画『ソウル・キッチン』

2009年 監督:ファティ・アキン
at ギンレイホール




勝手にロシア映画だと思っていたけど、ドイツ映画だったらしい。
ノリが良くて、久しぶりに力に溢れた映画を見た気がする。

ギリシャ系移民のジノス(アダム・ボウスドウコス)はハンブルクでレストランのオーナーシェフをしていた。
レストランといっても常連客頼みの大して美味しくない庶民派レストランで、税務署からは滞納分の督促を迫られている状態。
私生活でも彼女が仕事で上海に行ってしまい、その上自分はヘルニアを患ってしまう。
さらには仮出所したギャンブル好きの兄イリアス(モーリッツ・ブライブトロイ)を従業員として雇う羽目になるわ、スカウトしたシェフのせいで頼みの常連客までいなくなるわで、破滅への下降線を辿っていく。
絶望の一歩手前なんだけど、どこか飄々とした明るさと笑いで展開していくから楽しい。
絶望せずに生きる力さえ持っていればなんとかなるんじゃね?
っていうコメディタッチによるあっけらかんとした思想(本人達はいたって真面目だけど)がその通り「なんとかなる」ような、そう簡単にはいかずにさらにひどい状況になるような。
絶望と幸せの浮き沈みは全て笑いっていう生きる力で並列化されて、生きてさえいれば全ては些末な出来事に思えてくる。

兄役のモーリッツ・ブライブトロイはフィルモグラフィを見ると『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 』『ラン・ローラ・ラン 』『ルナ・パパ』『es [エス]』等々、有名どころが出てくるから結構メジャーな俳優さんっぽい。

映画『わたしを離さないで』

2010年 監督:マーク・ロマネク
at ギンレイホール


わたしを離さないで [DVD]

キーラ・ナイトレイよりキャリー・マリガンが好きだ!

田園地帯に外界から隔離された寄宿舎があった。
ここではたくさんの子供達が暮らしていたが、彼らの運命は生まれたときから決められていて、18歳になったら"提供"が始まり、通常3回程度の"提供"の末、"終了"を迎える。
舞台は70年代くらいから始まるので、ノンフィクションに思えて一瞬戸惑ったが、技術的にも倫理的にもありえないのでフィクションなのだろう。
原作はカズオ・イシグロの同名小説で、ブッカー賞最終候補作らしい。

この子供達の自分の運命を受け入れる物分りの良さは一体何なんだろう。
誰も抵抗しない不思議。
他にもトミーの選んだ彼女とか不明な点は多々あれど、恋愛映画として見れば面白い。
短い命と決まっているからこそ、感情に重みが出てくる。
どうせ短いんだからと感情のままに生きれば後に押しのけた物の反動の痛みに苦しみ、抑制すれば消えない感情の奔流に苦しむ。
短い命をめいいっぱい生きようとしても一人で生きているわけではないから思い通り行くものでもない。
いろいろテーマがありそうだが、それらの要素を簡単にふまえつつ上手くまとめて恋愛映画に収束している感じ。

見終わった後カップルが感想言っているのを(聞こえてしまうので)聞くともなしに聞いていると、女性の方は原作を読んでいるらしく、原作だとこうだったけど映画でははしょられている等々文句を言っていて、男性の方は原作は未読のようだが最後30分前くらいのあのシーンでなんかもう冷めちゃったとかなんとか言っていた。
僕はそれなりに普通に見ていたけど、見る人が見たら不満な点がいろいろあるらしい。

とりあえずキャリー・マリガンがいい。
あと寄宿舎の校長先生がシャーロット・ランプリングなのね。
シャーロット・ランプリングの冷酷なのか温もりがあるのか分からない底の見えない深い目が存在感抜群だった。

2011年7月4日月曜日

7月INFO

7月5日(火) 午後1:00~2:46  BSプレミアム
フロント・ページ 1974年・アメリカ
〔監督・脚本〕ビリー・ワイルダー
7月6日(水) 午後1:00~2:38  BSプレミアム
Gガール 破壊的な彼女 2006年・アメリカ
〔監督〕アイバン・ライトマン
「超人的なパワーを誇るスーパー・ヒロイン“Gガール”と、しがない会社員男性との恋愛騒動を描いたロマンチック・コメディー」でユマ・サーマン主演。
7月7日(木) 午後1:00~2:41  BSプレミアム
団塊ボーイズ 2007年・アメリカ
〔監督〕ウォルト・ベッカー
〔出演〕ジョン・トラボルタ、ティム・アレン、マーティン・ローレンス、ウィリアム・H・メイシー、ピーター・フォンダ
痛快コメディらしい。団塊ボーイズ。
7月10日(日) 午後10:02~11:52  BSプレミアム
乳母車 1956年・日本
〔監督〕田坂具隆
昔フィルムセンターで見て面白かった記憶がある。裕次郎主演。
7月11日(月) 午後10:00~午前0:12  BSプレミアム
チャイナタウン 1974年・アメリカ
〔監督〕ロマン・ポランスキー
めずらしくポランスキー映画がぽつんと。
7月12日(火) 午後10:00~11:22  BSプレミアム
ロープ 1948年・アメリカ
〔監督〕アルフレッド・ヒッチコック
ヒッチコック特集でもないのにレアなものをやりよる。
7月17日(日) 午後10:02~11:40  BSプレミアム
雨月物語 1953年・日本
〔監督〕溝口健二
ブルーレイに焼いておきたい。
7月21日(木) 午後1:00~2:47  BSプレミアム
恋愛睡眠のすすめ 2006年・フランス/イタリア
〔監督・脚本〕ミシェル・ゴンドリー
〔出演〕ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール
映画自体はくそつまらなさそうなんだけど、この配役だけが興味をそそる。
7月25日(月) 午後10:00~11:44  BSプレミアム
カサブランカ 1942年・アメリカ
〔監督〕マイケル・カーティス
7月27日(水) 午後10:00~11:55  BSプレミアム
ガス燈 1944年・アメリカ
〔監督〕ジョージ・キューカー
7月31日(日) 午後10:02~午前0:24  BSプレミアム
誰も知らない 2004年・日本 
〔製作・監督・脚本〕是枝裕和
おお、見てなかったから嬉しい。