2010年 監督:ヴォルフガング・ムルンベルガー
製作国:オーストリア
at ギンレイホール
ノンストップアクション映画を見ているようにテンポのいいサスペンス。
1938年、ウィーンで画廊を営むユダヤ人一家カウフマン家では、数百年前にイタリアから盗まれたというミケランジェロの素描を秘蔵していた。
やがて戦争が始まると同時にナチスに奪われた絵は、後にドイツとイタリアの同盟の道具に使用されようとする。
しかし、ナチスが奪ったこの絵は実は画廊の主人が作らせた贋作だった。
本物のありかを吐かせるため、収容所にいたカウフマン家の長男ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)が超重要人物としてベルリンに移送される。
が、移送途中で飛行機がパルチザンにより撃墜され。。
第二次世界大戦、ユダヤ人というキーワードながら、殊更暗くなる要素がなく、むしろユーモアに溢れて笑いすら起こる。
戦争が始まる前、とある諍いで監獄にぶちこまれたヴィクトルが署長をおちょくるくらいの超余裕ぶりを披露しているのを見て、ああ、もうすぐ戦争が始まったらそんな余裕は吹っ飛んで悲惨な現実が待ち受けているというのに、可哀想だなと思っていたらとんでもない。
戦争が始まって状況が一変してもヴィクトルは何も変わらなかった。
破天荒でスリリングなサバイバルは綱渡りの命がけでありながら、必死であればあるほど本人や周りが相対的に滑稽になる。
滑稽になれば余裕も生まれる。まるでゲームを楽しんでいるかのような余裕が。
背景には確実にユダヤ人が被った悲しい歴史があって、直截的ではないけどそれも確かに描かれている。
でも痛快に楽しめるっていうのが不思議。
戦争が始まる前の余裕っぷりを可哀想だなと思ったと書いたけど、むしろ劇的に不幸で暗くなる展開を望んでいたかもしれない。
いい意味で裏切られたな。
ヴィクトル役のモーリッツ・ブライブトロイは濃いというかなんというか印象的な顔している。
見たことあるような無いようなと思って調べたら、『ルナ・パパ』とか『ラン・ローラ・ラン』とか『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』、最近では『ソウル・キッチン』とか、偶然意外と見ていた。
今回の役は顔が強烈だったのでもう覚えた。
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