2013年5月19日日曜日

映画『アルバート氏の人生』

2011年 監督:ロドリゴ・ガルシア
製作国:アイルランド
at ギンレイホール




なによりも気になるのはペイジ役の役者は本当に女性なのかということだ。
高身長でがたいもよくイケメン風の顔立ち。
女性と言われれば確かに女性っぽい柔和な顔立ちに見えなくも無いが、女性の服を着たシーンは男が無理に女装しているようにしか見えなかった。
ジャネット・マクティア。
女性でした。失礼しました。
出演作見ると『ローズ・イン・タイドランド』で見てるな。

19世紀のアイルランドで、一人で生きていくために40年以上も男として生きていた女性の物語。

主演グレン・クローズ。
演技がうまいからかなんなのか、見てるだけで悲しくなってくる。
悲しいというか痛々しい、か。

『キッズ・オールライト』『永遠の僕たち』のミア・ワシコウスカも出ている。かわいい。

映画『ローマ法王の休日』

2011年 監督:ナンニ・モレッティ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




久しぶりすぎて忘れていたけど、20分くらい観てやっと思い出した。
このシーンのすっ飛ばし方、おしゃべりな登場人物、ストーリー展開の無さ。
ナンニ・モレッティだね。

ローマ法王が逝去。
世界中から枢機卿が集まり次期教皇を決めるコンクラーヴェが執り行われる。
気づいたら選ばれてしまったという感じで本命達を押しのけて新法王に選ばれたのはメルヴィル(ミシェル・ピッコリ)。
しかしこのメルヴィル、大勢の信者達の前での初演説の直前にプレッシャーから逃げ出してしまう。

カトリックのお偉いさん達を普通の悩めるおっさん達にまで引き下げた。
といってももともと信者でもない人たちにとっては彼らを殊更神格視しているわけでもないので、厳かな雰囲気で始まった後のギャップを見ても違和感は無いのだけど、そこはナンニ・モレッティ。
そもそも普通のおっさんといっても何も下品なおっさんにまで貶めているわけでもなく、ある程度の威厳は保ちつつ新たな解釈や視点をブラックユーモア風に盛り込んでいく。
法王選挙で誰もが「私が選ばれませんように」と切に願っていたり、枢機卿達が睡眠薬漬けだったり。
ほぼぶつ切りエピソードでなんとなく全体が紡ぎだされるナンニ・モレッティスタイルが描き出すのは、人間の優しさ、苦しさ、喜び、悲しみ、っていう等身大の人間達で、今回のこの映画ではそれをローマ法王や枢機卿達に対してやってしまった、ってところがまず面白い。
そしてナンニ・モレッティの映画には爆笑するほどの笑いも、ストーリー上盛り上がるポイントもあまりなく、テンションはほぼローレベルのまま気づいたらエンドロールを迎えるのになぜだかじんわり登場人物達が染み込んでくる、っていう不思議な面白さも健在だ。
最後のメルヴィルの吹っ切れた表情は爽やかだけど、崩れ落ちるように悲しむ信者との対比はなかなか印象深い。

ヴァチカンからクレームがきそうな感じだけど、特に何の干渉もなかったって公式ページに書いてある。
確かに別に教会を批判しているわけじゃないけどさ。権威が。。

主演はミシェル・ピッコリ。
ミシェル・ピッコリ?
ずっと日本語表記はミシェル・ピコリだと思っていた。

2013年5月6日月曜日

映画『別離』

2011年 監督:アスガー・ファルハディ
製作国:イラン
at ギンレイホール




最初の方で少し寝てしまったのをすごく後悔した。
事件が起ってからは少しも目が離せないほど面白い。
当事者達だけじゃなくて周りの家族の心情まで丹念に描かれていて、特に11歳の娘テルメーの苦しさ、悲しさ、優しさには心が痛くなる。
(テルメーが主役みたいなもんだ)
悪い人なんて一人もいない。
ラジエーのどうしようもない夫ですら信心深く妻想いの男だし。
いい人たちだらけなのに、それがなんでこんなことになっちゃったんだろうねぇ。

監督のアスガー・ファルハディは調べてみると『彼女が消えた浜辺』の人だった。
ああ、納得。
こういう日常のサスペンスを描かせたら右に出るものはいないってくらい上り詰めてほしいな。

映画『桃(タオ)さんのしあわせ』

2011年 監督:アン・ホイ
製作国:中国/香港
at ギンレイホール




最初の方久しぶりすぎて気づかなかったけど、なんか見たことあると思った主人公はアンディ・ラウだった。

少女の頃から60年間もの間メイドとして仕えていた桃(タオ)さんの物語。
そこにいるのが当たり前、世話してくれるのが当たり前のタオさん(ディニー・イップ)が、ある日脳卒中で倒れてしまう。
タオさんの大切さにいまさら気づいたロジャー(アンディ・ラウ)は、メイドを辞めて老人ホームに入ったタオさんを献身的に世話するのだった。

っていう概要だけ見ると、なんてことない話に思えるけど、登場人物達の名演も相俟ってタオさんに笑みが戻っていく過程や周囲の人物達の人物像の変化など、そういう些細な変化の一つ一つに悲しみや優しさが詰まっていて面白かった。

老人ホームって不思議なところだな。
入居の初めはこんな寂しく無機的なところで人生を終えるのかっていうなんともいえない悲しさがあるけど、仲間や知り合いが一人また一人と増えていくと、ここが第二の温かいホームになる。

プロデューサーのロジャー・リーの実体験にもとづく話らしく、この企画に賛同したアンディ・ラウはノーギャラで出演したらしい。
っていうことよりもアンディ・ラウがいつのまにか50歳過ぎているってことに驚きだ。

香港映画人がたくさん出ている。
アンソニー・ウォン、そしてサモ・ハン・キンポーにツイ・ハーク。
後、調べてみると顔は知らないけどレイモンド・チョウ(ゴールデン・ハーベスト会長)も出ていたらしい。
後、『五福星』とかに出演していたジョン・シャム!