2011年 監督:ナンニ・モレッティ
製作国:イタリア
at ギンレイホール
久しぶりすぎて忘れていたけど、20分くらい観てやっと思い出した。
このシーンのすっ飛ばし方、おしゃべりな登場人物、ストーリー展開の無さ。
ナンニ・モレッティだね。
ローマ法王が逝去。
世界中から枢機卿が集まり次期教皇を決めるコンクラーヴェが執り行われる。
気づいたら選ばれてしまったという感じで本命達を押しのけて新法王に選ばれたのはメルヴィル(ミシェル・ピッコリ)。
しかしこのメルヴィル、大勢の信者達の前での初演説の直前にプレッシャーから逃げ出してしまう。
カトリックのお偉いさん達を普通の悩めるおっさん達にまで引き下げた。
といってももともと信者でもない人たちにとっては彼らを殊更神格視しているわけでもないので、厳かな雰囲気で始まった後のギャップを見ても違和感は無いのだけど、そこはナンニ・モレッティ。
そもそも普通のおっさんといっても何も下品なおっさんにまで貶めているわけでもなく、ある程度の威厳は保ちつつ新たな解釈や視点をブラックユーモア風に盛り込んでいく。
法王選挙で誰もが「私が選ばれませんように」と切に願っていたり、枢機卿達が睡眠薬漬けだったり。
ほぼぶつ切りエピソードでなんとなく全体が紡ぎだされるナンニ・モレッティスタイルが描き出すのは、人間の優しさ、苦しさ、喜び、悲しみ、っていう等身大の人間達で、今回のこの映画ではそれをローマ法王や枢機卿達に対してやってしまった、ってところがまず面白い。
そしてナンニ・モレッティの映画には爆笑するほどの笑いも、ストーリー上盛り上がるポイントもあまりなく、テンションはほぼローレベルのまま気づいたらエンドロールを迎えるのになぜだかじんわり登場人物達が染み込んでくる、っていう不思議な面白さも健在だ。
最後のメルヴィルの吹っ切れた表情は爽やかだけど、崩れ落ちるように悲しむ信者との対比はなかなか印象深い。
ヴァチカンからクレームがきそうな感じだけど、特に何の干渉もなかったって公式ページに書いてある。
確かに別に教会を批判しているわけじゃないけどさ。権威が。。
主演はミシェル・ピッコリ。
ミシェル・ピッコリ?
ずっと日本語表記はミシェル・ピコリだと思っていた。
2013年5月19日日曜日
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