2015年6月28日日曜日

映画『薄氷の殺人』

2014年 監督:ディアオ・イーナン
製作国:中国/香港
at ギンレイホール




ひんやりとした空気感の映像に差し込む電飾のほのかで刺激的な明かり。
人物や物のちょっとした動きが映像をひきしめ変化させ、飽きることなく永遠に魅了していく。
音の使い方も効果的で、いらだたしげに転がり続けるビンの音とか、趣味の悪い色合いの空間で静寂を突如突き破る無慈悲な銃声とか、もう映像に真っ向から対決するくらいの勢いで主張してくる音の使い方って本当大好き。
※ただ、雪を踏む音は個人的に苦手なのであまり聞きたい音では無い(きゅきゅっと気が引き締まるのでそれなりにアクセントにはなったけど)

めちゃくちゃ面白かったわ。
ストーリーも面白かったし。
「長いトンネルを抜けると雪国であった」シーンでは親切なおっちゃん、と思いきや自分のぼろいカブを置き土産に人のバイクを勝手に乗っていってしまうというギャグシーンなんかもある。
カブの持ち主調べればすぐばれそうな気もするけどそこは中国。
屋外スケート場で借りたスケート靴のままスケート場の外までしれっと滑り続けていってしまう自由な神経も中国。

配役は皆、ストーリーにも映像の雰囲気にもびっくりするくらいマッチしている。
主演のリャオ・ファンのちょっと駄目人間ぽいところも見える渋いかっこよさ。
グイ・ルンメイの影のある寡黙な美しさ。
クリーニング店店主役ワン・ジンチュンの善人でも悪人でもないごく一般的な「人間」っていういやらしさ。

調べてみたら主演女優のグイ・ルンメイは『藍色夏恋』(2002)の子だ。少し大人っぽくなったけど全然変わらん。


それにしてもすごい監督が出てきたもんだ。
まだ三作目で、しかも結構な寡作。
次回作はいつになるんだろう。

あと、タイトルは「白昼の花火」の方がよかったんじゃないかな。
ラストは圧巻で泣きそうになった。

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