2020年1月26日日曜日

映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

2018年 監督:ボー・バーナム
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




友達がいなく学校ではぼっちのケイラ(エルシー・フィッシャー)が中学卒業を前に自分を変えようと頑張る話。
人の輪に入れない少女を傍から眺める(応援する)ときの痛々しさがなんともいえない。
予告編見たとき、学校では無口だけどSNSではカリスマ的人気でそんなケイラが学校でもスターになっていくような話かと想像していたけど、SNS人気なんか毛ほども無く、現実でもネットでも孤独なケイラだった。
ドラマティックな夢物語じゃなくて等身大の少女(とそれを見守るシングルファザー)の悩みと喜びが描かれる。

音楽の音量がデカくて、音楽うるさい系映画かと思ったけど、エイデンの登場シーンのスローモーションと音楽によるださかっこよさはなかなか良かった。
しかもだよ、プールでの再登場シーンでまた同じ音楽がエイデンのテーマ音楽かのように流れるのね。
2回目はさすがに笑う。確信犯だよね。
ケイラのフィルターのかかった目で見たエイデンという意図があるのだろうな。
そういう意味でケイラのわずかな成長とともに3回目はなかった。

2020年1月12日日曜日

映画『新聞記者』

2019年 監督:藤井道人
製作国:日本
at ギンレイホール




「あなたはこの映画を信じられるか」
って予告編が言っているけど、なかなか信じがたいよね。
世の中には本人達は真面目に作っているのにいろいろおかしすぎてB級映画認定されるものもあるけど、これってどっちなんだ。
真面目に作ったのか、それとも真面目に見せかけたコメディ映画として作ったのか。

まず、内閣情報調査室の青みがかったありえないくらい薄暗いフロア見たとき笑いそうになった。
国のため、と不正を働く本拠地がこの描写って、ギャグでしょ。違うの?どっちなの?
この薄暗い部屋で職員達がせっせとtwitterでコメント拡散して情報操作しようとしているのも笑える。さすが悪の組織。
あと、松坂桃李とW主演のシム・ウンギョンは一応帰国子女の設定で日本語がたどたどしいということになっているけど、演技力があるせいか逆にそのたどたどしい日本語が大根役者以上の棒読みに聞こえる。
これも何度かギャグなんだろうかと悩んだ。
田中哲司のノリノリの悪役も、ちょっと笑わせようとして悪ノリしてるんじゃないかと思ったけど、どうなんだろう。
さらにはストーリーも大分実際の事件に即した話も出てきて本格的ながら、主題となる事件のあまりに現実離れした話にはギャグかと思う。
あと松坂演じる杉原の妻(本田翼)があまりに夫への理解がありすぎる。
夫は頑張っているんだから帰りが遅くてもしょうがないよね。頑張っているんだから破水して助けを求めて電話しても出なくてもしょうがないよね。出産に立ち会えなくてもしょうがないよね。
。。。昭和か!

これらを本当にこれでいいと真面目に作ったのか、俄に信じがたいながら、数年後にはB級映画扱いされていることは間違いなさそうだ。
というのが見たあとの感想だけど、公式ページ見ると松江哲明とか是枝裕和までもがコメント寄せている。。。
あとネットで検索するとストーリー的に賛否両論あるみたいだけど絶賛する人は怖いくらい絶賛している。

どうせフィクションでエンタメにするなら杉原とシム・ウンギョン演じる吉岡を不倫関係にして、よくできた妻を発狂させるくらいのことをしてくれないと人間味を感じないんだよね。
登場人物がどいつもこいつもステレオタイプで薄っぺらくてギャグかと思ったよ。
あとエンドロールで西田尚美って出て、どこに出ていたのかと思ったら神崎の奥さんが西田尚美だった。
西田尚美ですら脇役の無名女優と勘違いさせるなんて、恐るべし。

映画『よこがお』

2019年 監督:深田晃司
製作国:日本
at ギンレイホール




冒頭の美容室のドアを開ける音が大きいのに始まり、結構音をよく拾う。
そういう映画は好きなはずだけど、見終わってみるとあまり音についての印象が薄いなぁ。

訪問看護師として優秀な白川市子(筒井真理子)は信頼も篤く、訪問先の大石家では長女の基子(市川実日子)に勉強を教えてあげるほどだった。
しかしある日、大石家の次女で眉毛が凛々しい次女のサキ(小川未祐)の誘拐事件が発生し、そこから全てが崩れ始める。

今検索していてそうだったんだと気づいたけど、市子と美容師(池松壮亮)とのシーンは時間軸では未来のシーンだったんだね。
なんか市子の住んでる部屋が変だなとは思っていたんだ。

ジャージ姿の市川実日子がかわいい。
役どころが中学生みたいな恋愛でかわいい。
市子が見ているとも知らずに横断歩道でせっせと物を拾い集めている横顔の生きている感じが美しい。
で、そういえば結構前から活躍しているし今いくつくらいなんだっけと調べたらもう41歳か。
妹役の子の母親でもいい年齢なのに姉役でも全く違和感無かった。

筒井真理子はなんかおっとりした中で鬼気迫るものがある。
ヌードも攻めるよなぁ。

池松壮亮って昔から苦手でその原因やきっかけも思い出せないのだが、この映画では役柄によく合っていた。
ぼそぼそ喋って何考えているかよくわからなくて退廃的な雰囲気が。

深田晃司監督は『淵に立つ』の人か。