2021年5月22日土曜日

映画『燃ゆる女の肖像』

2019年 監督:セリーヌ・シアマ
製作国:フランス
at ギンレイホール




舞台は18世紀フランスのブルターニュの孤島。
伯爵夫人は娘エロイーズ(アデル・エネル)の縁談用の肖像画を画家に描かせたかったが、結婚を望まぬエロイーズは拒み続けていた。
そこにやってきた画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)。
画家であることを隠し、散歩仲間としてエロイーズに近づき、密かに肖像画を仕上げていく。

なんかびっくりするくらい面白かった。
恋愛映画の最高傑作で映画としても名作。

我が強そうだけど凛とした美しさのマリアンヌと、美しく気高く聡明だけど幼い可愛らしさも垣間見えるエロイーズ。
この二人のショットだけで4時間はいけるよな。
暖炉の前で三角座りしているマリアンヌの体のラインなんか芸術的すぎる。

祭りのシーンが一番不思議で面白かった。
燃えているのに全く動じないエロイーズの異様な美しさとその後のコメディのような倒れ込みまでが、一種の洗練された様式美のようだった。

伯爵夫人を演じたヴァレリア・ゴリノがなんか貧相な感じだったけど、それも二人を際立たせる要素になっている。
別れのシーンのなぜ私にハグするの?と戸惑う感じがうまい。
というかもう存在自体がただのだしだよな。

映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』

2018年 監督:アレクシス・ミシャリク
製作国:フランス
at ギンレイホール




『シラノ・ド・ベルジュラック』の誕生秘話、初演舞台の裏側を描いたコメディー。
なんかこれが事実なら全てが奇跡よね。
失敗する要素しか見当たらないのにさ。
なかなかおもしろくはあったが少し長い。
それにびっくりするくらい何も書きたいことがない。。

コスタン役の人は最初冴えないおっさんにしか見えなくて人気俳優役とは思えなかったけど、なんかだんだんと貫禄みたいなものを感じてしっくりきた。
オリヴィエ・グルメ。
この人は『息子のまなざし』の人か。

2021年5月8日土曜日

映画『37セカンズ』

2019年 監督:HIKARI
製作国:日本 / アメリカ
at ギンレイホール




この予告編見て泣いて、本編見たときは泣かなくて、今再度予告編見たらまた泣いた。
本編がつまらなかったとかではなくて、むしろ予想以上に面白かった。

身体に障害をかかえる23歳の貴田ユマ(佳山明)は車いす生活をしている。
家には流れるように世話してくれる母親が一人いる。
ユマ自身は世話されるだけではなくて、友達の漫画家のアシスタントとして働いている。
アシスタントというか実は、、
過保護すぎる気もする母親と、自分の現状に抗いたくなったユマは一歩先へと踏み出していく。

予告編にもあるけど「そんなことあるわけないじゃん」っていうセリフ回しは映画史上に残るよなぁ。

演じた佳山明は実際に障害をかかえる子でオーディションで選ばれたらしい。
最初の方にある二人のフルヌードの必要性が初めいまいち分からなかったけど、これはありのままをすべて出す本気度の現れであったのかもしれない。
それに風呂に入るまでの流れるような二人の作業が非常に美しくもあった。

最後の方すごいよな。
母の愛には弱いので泣きそうだったけど、女優さんが人ってそんなに涙出るのってくらい涙ぼろぼろ流しているのが圧巻すぎて、こちらが泣いている場合じゃなかった。感心してしまって。

無名俳優で構成されているかと思ったら結構いろんな人が出ている。
大東駿介とか渡辺真起子とか板谷由夏とか。
尾美としのりは最初誰だかわからなかった。
母親役の神野三鈴も出演作見ると結構あるから有名なのかな。『このマンガがすごい!』の10話で見たことがあるっぽい。

あと小麦色の肌で現地に嫌に馴染んでいた子は無名の子かと思ったら結構活躍していそうな感じだった。芋生悠って子。

映画『朝が来る』

2020年 監督:河瀬直美
製作国:日本
at ギンレイホール




養子縁組をした夫婦と、養子に出した母親の物語。
途中何度か「長いなぁ」と我に返りつつ、主人公が切り替わったときにはまだ長く続くのか、なんて思ったりもしたが、全体的にはまあ楽しめたと思う。
139分。
端折るとことは端折ってもう少しコンパクトであってほしかった気もする。

出演している女優さんが皆素晴らしいのね。
永作博美って今まであまり意識していなかったけど、表情の細かい機微に吸い込まれる。

あと浅田美代子。
まさに役そのもののオーラをまとっていて、なにこの雰囲気の凄さは。
もう大女優の域だよ、この人。
バラエティとかでのぽんこつぶりとのギャップがすごい。

そして蒔田彩珠。
この子見たことあると思って、鑑賞中ずっと記憶を探っていて、女王の教室に出ていた子(福田麻由子)に似ているけど年が違うし。。
帰って調べたら『ゴーイング マイ ホーム』から始まり是枝作品の常連みたいね。
この子はだいぶ不思議な印象の子で、可愛いのか可愛くないのかよくわからないくらいに七変化する。
次の朝ドラ(おかえりモネ)にも出るみたいで楽しみ。