2022年1月30日日曜日

映画『アナザーラウンド』

2020年 監督:トマス・ヴィンターベア
製作国:デンマーク / スウェーデン / オランダ
at ギンレイホール




「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が上がる」らしい。
冴えない4人の高校教師が実験と称して実証を始める。仕事中に酒を飲むということ。
お気楽ておバカなコメディを期待しているとしたら少し色合いが異なる。
コメディではあるが印象としてはほろ苦い人生讃歌だから。

主演のマッツ・ミケルセンを見ているとクリストファー・ウォーケンは元気かなって思った。なんか雰囲気似ているから。
マッツ・ミケルセンはサイコパス演じたら怖そう。
実際この映画でも結構なんか裏あるんじゃないかと思ってびくびくしたわ。
不敵な笑みがまじ怖い。
お、以前見た『偽りなき者』もこの監督とマッツ・ミケルセンのコンビだったのか。

ダンスシーンはもっとじっくり見たかったな。あれだけ溜めに溜められたら期待値も上がる。

映画『明日に向かって笑え!』

2019年 監督:セバスティアン・ボレンステイン
製作国:アルゼンチン
at ギンレイホール




2001年のアルゼンチンの田舎町。
不況にあえぐ打開策として農協を設立しようとして村人から資金を集めるんだけど、集めた資金を銀行に預けた途端に金融危機で預金封鎖。
なんやかんやあって、この金融危機に乗じて金を横取りした悪徳弁護士がいることがわかってこいつから金を奪還する大作戦が始まる。

おバカキャラの兄弟二人が優しいいい笑顔するんだよな。
川辺に住む見るからにやばそうなおっちゃんもそうだけど、人間少しぶっ飛んでいる方が幸せそう。

まあまあ面白かった。

あの親子フェルミン・ペルラッシ(リカルド・ダリン)とロドリゴ・ペルラッシ(チノ・ダリン)は本物の親子らしいね。

2022年1月15日土曜日

映画『ブータン 山の教室』

2019年 監督:パオ・チョニン・ドルジ
製作国:ブータン
at ギンレイホール




ブータン映画って初めて見たかも。
都会っぽいところで暮らす若い教師(教師見習い?)のウゲン(シェラップ・ドルジ)は、教師なんかやめてミュージシャンになることを夢見ている。
しかしなんやかんやで冬までの期限付きでブータンで最も僻地になる村、ルナナの学校に赴任することになる。

ヒマラヤ山脈にある標高4,800メートルもの高地。
もっと景色をいっぱい見たかったな。

ルナナの人たちが皆いい人すぎる。
悪意というものが存在しない世界。
幸福度No.1へのアンチテーゼとしてか、飲んだくれの親父がいたりもするけど、攻撃性は無いしな。

なかやまきんに君に似た主人公がどうも魅力的じゃないんだよな。
現代の若者っていうことでわざとそういう描写にして、ルナナに来て変わっていくってことなんだけど、変わってもそんなに印象変わらない。。

クラス委員のペム・ザムちゃんが実際にペム・ザムちゃんで実際にルナナに住んでいて実際に家庭崩壊しているらしい。
ペム・ザムちゃんには幸せになってほしい。

こういう田舎の学校もの映画っていつも文部科学省のなんかが付くよね。
まともに勉強できない環境では勉強したい子どもたちで溢れている。
先進国では勉強したくない子どもたちで溢れている。
勉強できるって素晴らしいことだ。
とはいえこれを見た日本の子供が勉強に対して意欲が湧いたとしても一月も持たなさそう。
そもそも勉強が嫌いな理由の大半は教師や授業内容にある気がするし。
思えば我々は最低でも9年は勉強しているんだよな。たかだか数ヶ月じゃ圧倒的に足りない。

以下ネタバレ


ルナナに永住っていうのも違う気がするけど、オーストラリアでミュージシャンっていうのもなんだかな。
あのペム・ザムちゃんの願いを断ってまでやることか。
都会で教師ならいいとか言うと職業差別になるけど、この主人公にいい印象が無いからか、君はルナナに人生捧げたほうが人様の役に立てるんじゃないかと上から目線で思ってしまった。

外国から文化が押し寄せて、伝統文化とかの独自性が失われつつある現代のブータンを描いている作品でもあるらしい。
主人公のように外国へ出ていく若者も多くなっているとのこと。
最後の歌は、外国一辺倒でなくウゲンの心にしっかりとルナナ(伝統)が刻まれているっていう描写とするとテーマとしては合っているのか。

映画『トムボーイ』

2011年 監督:セリーヌ・シアマ
製作国:フランス
at ギンレイホール




夏休み中に家族で新しい街に引っ越してきた10歳のロール(ゾエ・エラン)。
新しい街の子どもたちの輪の中にも次第に溶け込んでいく。
ただし女の子ロールでなくミカエルという名の男の子として。。

繊細な作品だなぁ。
しかもそれを出演者がほぼ子どもたちだけやっているってところが凄い。
特にロールを演じたゾエ・エランがいい。どちらかというと表情豊かな方ではないけど、無邪気さと葛藤不安の行き来はなかなか引き込まれる。
ゾエ・エランは本物の女の子なのね。
体つきは男の子で違和感ないからどっちだろうと思っていた。
撮影がもう数ヶ月遅かったら体つきも変わっていたんだろうな。そういう意味では奇跡。

子役嫌いだけど、こういう子どもたちに演技させるというか無邪気に遊ばせているっていう感じの映画なら好き。
妹ジャンヌ(マロン・レヴァナ)なんか特に無邪気で可愛らしい。

製作年2011年は表記ミスじゃなくて10年前の作品がやっと日本で公開されたっていうこと。
監督は『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマで、セリーヌ・シアマの長編2作目にあたる。
『燃ゆる女の肖像』のヒットによって発掘されたとかじゃなくて、この映画は本国フランスで劇場公開時に大ヒットしていたらしい。

以下ネタバレ

途中で中だるみはしていたけど、ラストがすべてもっていったな。
ラストが笑顔で終わる映画って『雨上がりの駅で』以来大好きなんだよね。

2022年1月4日火曜日

映画『街の上で』

2019年 監督:今泉力哉
製作国:日本
at ギンレイホール




やば、今年一番の名作かも。
下北沢が舞台で、古着屋で働く荒川青(若葉竜也)自身とその周りの人々のそれぞれの恋愛模様が描かれる。
群像劇とまではいかなくて主役はあくまで青なんだけど、周りのエピーソードもなかなか濃密で楽しい。
「この人達はどういう人たちでどういう関係なんだろう」っていうわくわくを簡潔なセリフやシーンで小出しに表していくのがうますぎる。
簡潔さもあればじっくりな長回しもあって、初対面の男女が部屋の中で机挟んで会話しているシーンなんか長いのに1秒も飽きなかった。
会話の緊張感とかぎこちなさとか不思議なシチュエーションとか全てが絶妙で役者も監督もすごいや。

全体のストーリー構成もなかなか不思議。
起承転結のわかりやすい構成ではなくて、終始にやにやしていたらいきなりクライマックスっぽい大爆笑の山場に遭遇する感じ。

なんか常識に囚われていないところが若い才能って気がして今泉力哉監督は20代くらいかと思ったけど、そこそこキャリアのある方だったのね。
他の作品も観てみたい。

主人公青をとりまく女性は以下の4人
・川瀬雪(穂志もえか):元カノ
・田辺冬子(古川琴音):馴染みの古書店店員
・高橋町子(萩原みのり):卒業制作で映画を撮る美大生
・城定イハ(中田青渚):その衣装スタッフ

町子だけは少し印象悪い感じで残念かも。
ビーバーみたいで可愛らしい中田青渚が演じた城定イハがミステリアスでいてなんか頼りがいもあってよかったな。

あと朝ドラ俳優成田凌が朝ドラ俳優役として出演している。

映画『浜の朝日の嘘つきどもと』

2021年 監督:タナダユキ
製作国:日本
at ギンレイホール




福島県南相馬にある映画館「朝日座」の支配人森田保造(柳家喬太郎)は経営難から100年続いた映画館を閉めることを決意する。
しかしそにに一人の女性(高畑充希)がやってきて映画館を継続するように説得を始める。
このちょっと口の悪い初対面の女の子と喧嘩しながらもその熱意と行動力に動かされて保造も継続に光を見出していくのだが、、

単純な好みだけど高畑充希があまり好きじゃないというのと、芸人さん(大久保佳代子)が重要そうな役で出ているっていうのであんまり期待していなかったけど、結構面白かった。

高畑充希は朝ドラ『とと姉ちゃん』で食傷気味になって以来避けがちだった。
久しぶりに見ると普通に見ることができる。(なんか失礼なことばかり言っている気がする。。)
演技の上手い下手はよくわからないけど、学生時代の野暮ったい感じと社会人以降の化粧ばっちりの輝いた表情のギャップが面白く、美人顔じゃないのに時折すごく美しかったりする。
役柄としては学生時代と社会人で性格が180度変わっているのが(原因は不明)面白い。

大久保さんは最初こそ違和感あったけどすぐ慣れた。むしろ役にはまっているし。
芸人で役者をやる人は多いけど、どうもコント見ているような変な感じになるんだよな。最初は。
劇団ひとりなんかはくさい演技を笑いにしているような人だけど、いつだったか朝ドラ出ていたときは慣れて結構普通に見ていたっけな。
演技力が一定水準以上ある人ばかりだから慣れれば普通。
ただ、芸人さんで役者としてすごいと思うのはビートたけしくらいしか思い浮かばないけど。

竹原ピストルがエキストラみたいなちょい役で出ていてなにこれって思ったら、ドラマ版っていうのがあってドラマ版の主役が竹原ピストルなのね。
ドラマが先でこの映画版はその前日譚。
なにこれめっちゃ見たい。