2023年9月24日日曜日

映画『宵待草』

1974年 監督:神代辰巳
製作国:日本
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冒頭から床。
でも女性がさわさわするたびに男は「いてっ!」「いてっ!」とか言っている。おどけた伴奏まで付くし。
なにこれ、コメディ?
遊郭の朝5時。男は苛立ちながら慌てて出ていき、憲兵を襲う。えっ。。
ぶれっぶれっに揺れて酔いそうになるカメラ、刀がぶつかり合うキュぃーんっていうコントみたいな音、、なんか開始5分で大混乱だよ。

これは、実は傑作なのか、よく分からないけどかなり面白かった。
ストーリーは先があまりにも読めなさすぎる。
3,4本くらいの違う映画をつなぎ合わせて1本にしたのかと思うくらい。
コメディなのかシリアスなのかミュージカルなのかアメリカンニューシネマなのかwww

代議士の息子のぼんぼん国彦(高岡健二)は、やろうとすると頭が痛くなってできないという奇病を抱えていた。
いや、そこはあまり重要じゃないか。
国彦はノンポリだが、革命を起こそうとしているアナーキー集団に所属している。
あ、時は大正ね。
温泉宿で知り合った男が唐突にいなくなったり、なんやかんやで国彦と平田玄二(夏八木勲)と北条寺しの(高橋洋子)の逃避行ロードムービーが始まって映画撮影に参加したり気球に乗ったり3連串刺ししたり玄二の父(殿山泰司)が毒おにぎり食ったりでんぐり返ししたり。

コメディとシリアスのどっちともつかない狭間っていうのが結構怖い。
いつの間にか電車を降りた団員が吊り橋をえっほえっほと走っているのは追手が迫る恐怖というか走る姿が可愛らしいし、その後の気球を降りる平田たちを笑い声あふれる和気あいあいとした雰囲気で手伝うところとか、ハテナマークと共に不気味な恐怖がある。
萎んだ気球が覆いかぶさってくるのは演出通りなのかな。
3連串刺しとかギャグだよね。
気球の操縦士はこつ然消えたけど何処行った??怖い。

名シーンも多い。
雪解けのぐじょぐじょの未舗装道路を走る自転車を馬で追っかけるのはいいし、死者の前で大衆演劇みたいな舞踊シーン(巧みに避ける国彦)とか、後ろから迫りくる蒸気機関車をさして気にもせずに避けたり、汽車に乗った「しの」が降りるところが映っていなかったり、海沿いっぽい所にある竹柵に寄りかかっている二人がカメラが引くとすごい岸壁だったり等々。

脚本は長谷川和彦なのね。
監督作2作しかないけど二本とも傑作だったし長谷川和彦ファンなら脚本作も全部抑えていそう。(私は知らなかった)
このページみると結構演出で変えているみたいね。
音楽は細野晴臣。
牧歌的な曲が多い。
アップテンポ船頭小唄とか大正歌謡とか、常に口ずさむやつがいいんだけどその辺は神代辰巳の演出であって細野晴臣は関わっていないんだろうな。

そういえば国彦(高岡健二)が痛みで頭を掻きむしる姿が一瞬宮本浩次に見えたw

北条寺しの役の高橋洋子は可愛らしい顔立ちで、時々凄い美人でもある。
高橋洋子、書いた小説は芥川賞候補になって映画監督もやっている。めっちゃ多才。
NHK朝ドラのヒロインもやっていて、平均視聴率46.1%。めっちゃ有名。
文学座で松田優作と同期だったらしい。
高橋洋子っていうと、ああエヴァの。。ってなるけど、古い世代はこちらの高橋洋子さんになるんだろうな。

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