2025年3月30日日曜日

映画『君の名は。』

2016年 監督:新海誠
製作国:日本
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普通にアニメのOPみたいなのが流れた時は笑ってしまったが、さすがに大ヒットしただけあって面白かった。
宣伝で知っていた入れ替わりっていうのはなるほど少しトリッキーな感じなのね。
普遍的なジャンルであるラブロマンスにSF要素加えて、日本的要素も強め、ってそりゃあヒットしそうだ。
ムスビとか引き戸やドア、川などの境界線等民俗学的。
背景がめっちゃ奇麗でそれだけでも結構見応えがある。

新海監督にあまりハッピーエンドなイメージがなかったけど、大ヒット作だしハッピーエンドなんだろうなと思って見ていた。なかなか泣ける。

お前は誰だみたいな知らない落書きより一日分の記憶がなくなっているほうが大ごとだろうとか、今日がいつとか目にする機会いくらでもあるだろうとか、細かいところで突っ込みどころはあれども些細な話。
ただ、二人がひかれあうきっかけみたいなものがストーリー上薄かったのは残念。
薄いというか大事なところがダイジェストという。
しかもRADWIMPSの曲に乗せたダイジェスト。
OPもそうだけどちょこちょこRADWIMPSの曲が挟まるのなんなの?って思った。邪魔。
あと主役は俳優じゃなくて声優の演技で聴きたかった。
なんか文句ばっかり書いているが全体的に面白かった。

2025年3月21日金曜日

映画『台風クラブ』

1985年 監督:相米慎二
製作国:日本
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いやぁ、狂ってる。
長回し、ロングショット、画面の隅々(画面外含む)まで動く役者、奇行、狂気、ロリコン、と、この監督の全てが詰まったような映画なんだけど、狂気が研ぎ澄まされすぎている。
台風が皆をおかしくした、っていう理由付けで常識や倫理は吹っ飛ぶ。
思春期の生と性のあけすけで純粋な輝き。

冒頭の夜のプールのトプンっていう音からもう名作。
その後静けさから一転バービーボーイズの曲で水着で踊り狂う少女達。
おぼれて目を覚まさない明君に対してどこかのんびりしている周り。ここでもう狂気は始まっている。
しかも明君がおぼれた理由は、少女たちに水泳パンツ脱がされコースロープ巻きつけられてプールの中を引きずり回されたからだったw
いじめというか殺人未遂。
しかし少女達の楽しい笑い声にはいじめ特有の悪意が無い。
ただ遊んでいただけなのだ。
実際明君はいじめられっ子でもなんでもなく、殺されかけたことよりパンツ脱がされたことにテヘッとしている。
かけつけた先生(三浦友和)も目覚めた明君達をぺしぺし叩きながら、既に我関せずでプールで遊んでいる少女たちに「本当ろくでもないなお前ら」で終わり。
こことラストで死の概念が出てくる。死の対比の生。
まだ何者でもない(人間でもない)少年少女が、大人になる手前でもがきながら今の瞬間瞬間を全力で生きている。
その圧倒的な生の輝き、好奇心や無邪気さの前では倫理や理性は邪魔でしかない。
そしてそのタガが外れた純粋さは大人から見ると結構恐怖でもある。

明君、授業中えんぴつ鼻に突っ込みまくっているのめっちゃ笑える。

台風がすべてをおかしくした。っていうか台風の前からだいぶおかしいけどね。台風中は特にやばい。
レイプ未遂でYシャツずたずたで血も点いているのに誰も何も言わないし。美智子(大西結花)もその後なんかケロッとしている。

よくわからないカットのつなぎから、大空をバックに座り込む理恵(工藤夕貴)のシーンが一番好きだな。
風切り音と息遣いと笑顔。何か始まる前の不穏さと笑顔。
あと工藤夕貴の嵐の中のもしも明日がの狂気シーン。

よくサムネで見かける下着姿の少女達が雨の中踊り狂っているシーンはその先まであるとは思わなかったな。
この踊り狂うシーン見ていると『ポンヌフの恋人』の花火の中踊り狂うシーンを思い出した。

純粋でない大人代表の教師役で三浦友和。
主役の三上恭一は鶴見慎吾の弟らしい。
鶴見慎吾もそのまんま兄役で出演している。
ロリコン大学生役に尾美としのり。
温厚そうで見事な入れ墨持ちの教師の彼女のおじ役で佐藤允。
寺田農がどこに出ていたのか分からなかったが、健の同居人役らしい。顔が映らないので全くわからない。
佐藤浩市も全く分からなかったが、体育館で台風来るぞと言っている教師らしい。わからんw
めがねのみどりちゃんは声優の渕崎ゆり子。

この予告編めちゃ奇麗ね。4Kレストア版らしい。

2025年3月16日日曜日

映画『放課後アングラーライフ』

2023年 監督:城定秀夫
製作国:日本
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胸糞ないじめにあっていた追川めざし(十味)は父親の仕事の都合でどっかの田舎町に家族とともに引っ越す。
友達は作らないと決めていためざしだったが、元気印の椎羅(まるぴ)やクールメガネの凪(森ふた葉)がずけずけと近寄ってくる。
そしていつのまにか皆で釣りしている。

いじめられっ子って感じがよく出ている。
こういう子を前にしていじめにならないのは椎羅達がのびのび生きているからだろう。
ラストの方の長回しの告白は結構泣ける。

田舎の美少女達のほのぼの青春コメディを期待していたから少し違っていたけど、まあいい子たちですな。
椎羅LOVEの明里のキャラが一番面白かったな。演じた平井珠生がいい。
コメディはこの子と宇野祥平が引き受けていた。
他に西村知美や中山忍、藤田朋子も出ている。
監督は『ビリーバーズ』の人だったと見終わってから知った。(最初から知っていたら期待値上がりすぎて落差でやばかったかも)

2025年3月9日日曜日

映画『aftersun/アフターサン』

2022年 監督:シャーロット・ウェルズ
製作国:イギリス / アメリカ
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ストーリーがドラマティックだとか、映像美がぁとかそういうわけじゃないのになんかじわっと余韻を残す映画ってあるよね。そんな映画。面白かった。

どっかのリゾート地にやってきた父と娘の物語。
物語っていうか一見二人がリゾートを満喫しているだけに見える。
見えるっていうかそうか。
父親30歳、娘11歳で、父親は離婚しているっぽい。
二人の仲は良好。たまに静かに喧嘩はする(娘の対応が大人)。
そしてこの父親がなんか少しだけ闇がある。自殺しそうな雰囲気の闇。
加えてスキューバーのシーンとか、なにか事故に合いそうな雰囲気も演出で醸し出すからとにかくはらはらする。
子どもの頃の何もかもが新しくて楽しくて輝いて見える、そして大人へのどきどきする憧れ、っていうのが全編に散りばめられていて、その対比で少し闇のある若い父親が位置する。
ノスタルジックと現実。
ブラウン管テレビとかビデオカメラとか、なんか時代は結構昔の設定で、現代の大人になった娘がそのビデオを見ていたりする。
全てが楽しかった少女時代を見る大人になった娘の視点が加わり、少女時代にはあまり気づけなかった父親を大人になった娘が見つめる。
結構多層な構造でノスタルジックと現実を映し出していて面白い。

アマプラの概略
思春期真っただ中、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。
っていうのを映画見終わった後読んで、そういうことか、って思った。
セリフやシーンをしっかり凝視していないとたぶんあまりストーリーは把握できない。
で、予告編見たら泣く。そういうことか、って思ったw
少し早送りしながら見直してみると、そういうことか!ってまた思った。

空港の別れのシーンがソフィのかわいさが爆発して一番よかったのだけど、冒頭の早い段階でこのシーン出てたのね。
よく見るとビデオを停止して巻き戻し(早送り?)している大人ソフィの影が映っている。
ビデオの巻き戻しでこの映画のあのシーンこのシーンが一瞬映しだされて、昔の懐かしいビデオを見る大人ソフィと同じ視点になる。これはこの映画を2回以上見ないと分からない。
それにフラッシュライトのよくわからない人物は大人ソフィで大人ソフィの顔から子供ソフィの顔に切り替わるのは同一人物ですよと示唆していたのか。

以下ネタバレ

絨毯を引き取っているってことはそういうことなんだろうな。
大人ソフィと子供ソフィの時間軸だけでなく、子供ソフィの中でも後半は結構細かく時間軸の前後を入れ替えている気がする。
裸で泣いているシーンや海に入るシーンはソフィと別れた後のシーンなんじゃないだろうか。

ラストの空港別れシーンから現代ソフィ、そしてカメラを回し終えた過去の父親にシームレスにつながるのはいい。
さらには、空港のドアの向こうに消えていった父親だが、ドアの先はフラッシュライトのあの世界なのね。服装が同じだし。
フラッシュライトの世界は劇中何度かインサートされていたけど、その世界にラストで突入するわけ。
この世界では時空が超越していて、ダンスシーンでは父親と大人ソフィが再会していてなかなか感動的。

2025年3月4日火曜日

映画『マニアック・ドライバー』

2021年 監督:光武蔵人
製作国:日本
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アマプラでアクションのカテゴリーの中から適当に時間の短いやつ(75分)選んで鑑賞してみた。
アクションじゃなくてサスペンスホラーだった。
エログロ。
冒頭からどエロい。
そしてその直後のグロシーンで一気に醒める。グロ嫌い。。

タクシー運転手のフジナガ(木村知貴)は、とある理由から心中相手を探している。
というかそんなストーリー伏せる必要ないか。あってもなくてもいいような話だし。
妻が殺人鬼に殺されてその殺人鬼はその場で自殺したんだけど、フジナガはその時のショックから「だから俺も誰かの命を理不尽に奪い、自殺する。これは復讐であり弔いなのだ」と考える。はぁ?
いや、まあエログロに論理的な思考なんかいらないか。
ちなみにこの理由ってやつは最後に一ひねりあったりする。

タクシーが日産プレジデントでなかなかかっこいい。
車の走っているシーンもふんだんでいいね。
車体の外側に取り付けた固定カメラでいろんな角度から走るプレジデントの一部分が映し出される。
・・・車全体を見たいのになかなかじらしてくるぜ。

中盤過ぎあたりから、走る車のシーンも食傷気味になってきて、タクシー乗客の早回しシーンの使いまわしとか見ていると途中で鑑賞やめようかと思ってくる。
一応最後まで見たけど、全体的にはそんなに自分にははまらなかった。
股間フラッシュの殺人鬼の登場シーンとおむつ教祖はなかなかセンス高い。
ありえないくらいの量の血!血!血!と血?内蔵??みたいなやつとか、グロとかエロとか、B級好きとか、一定の客層にはドはまりしそう。

調べてみると、この映画はジャパニーズ・ネオ・ジャーロを謳い、ジャーロにオマージュを捧げているらしい。
ジャーロとかジャッロは文学や映画の一つのジャンルで、映画だとダリオ・アルジェントとかマリオ・バーヴァの作品群が該当する。
アルジェント!
言われてみれば確かに冒頭のタイトルバックもそうだしスタイリッシュな色合いとかもそんな感じだ!
近年ジャーロがまたブームになってきているらしい。
そんな中でのジャパニーズ・ネオ・ジャーロ、という視点で見れば多少は面白く見れたのかも・・・関係ないか。

出演のセクシー女優さんたちもばいーんとしていて皆さん頑張っている。
古川いおり、佐山愛、卯水咲流、きみと歩実
古川ときみとはこんなにむっちりしてたっけ。

2025年3月1日土曜日

映画『シン・ゴジラ』

2016年 総監督:庵野秀明
製作国:日本
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うーん、どうなんでしょう。ちょい微妙だったな。
ゴジラのシーンは迫力あって面白かった。
高層ビルを惜しげもなく攻撃手段に使うところとか、ゴジラが初めて光線吐くところの巨神兵みたいな終末感とか。
だけど、ドラマ部分が圧倒的につまらない!
リアルな設定にしたかったんだろうけど、そんな「へー」とか「こだわっているね」みたいな感想にしかならない設定まじどうでもいいこった。
スーパーX出せや。
よくわからん説明でテンポ感がなくなってしまう。
そして登場人物が多すぎてしかも皆プロトタイプで薄っぺらい。
高橋一生とか塚本晋也とか松尾諭とか市川実日子の役とか、もうアニメのキャラみたい。
石原さとみのキャラだけが頑張っていて、他の役もこのくらいぶっ飛んでくれていると面白かったのだが。

真面目設定だけど、だいぶ意図的なコメディ要素を入れているってところが中途半端なのかな。
全体的にB級映画にもなれず、バトロワみたいにB級的チープさを持った真面目エンタメという絶妙なバランスがあるわけでもない。
石原さとみ役みたいなB級に振り切るか、コメディは抑えて真面目側に振り切るかどっちかで見たかった。

登場人物多いって書いたけど、役者も有名どころがちょい役含めて多々出演している。
ゴジラファンか庵野ファンか知らんがちょっと出すぎじゃないか。。