1985年 監督:相米慎二
製作国:日本
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いやぁ、狂ってる。
長回し、ロングショット、画面の隅々(画面外含む)まで動く役者、奇行、狂気、ロリコン、と、この監督の全てが詰まったような映画なんだけど、狂気が研ぎ澄まされすぎている。
台風が皆をおかしくした、っていう理由付けで常識や倫理は吹っ飛ぶ。
思春期の生と性のあけすけで純粋な輝き。
冒頭の夜のプールのトプンっていう音からもう名作。
その後静けさから一転バービーボーイズの曲で水着で踊り狂う少女達。
おぼれて目を覚まさない明君に対してどこかのんびりしている周り。ここでもう狂気は始まっている。
しかも明君がおぼれた理由は、少女たちに水泳パンツ脱がされコースロープ巻きつけられてプールの中を引きずり回されたからだったw
いじめというか殺人未遂。
しかし少女達の楽しい笑い声にはいじめ特有の悪意が無い。
ただ遊んでいただけなのだ。
実際明君はいじめられっ子でもなんでもなく、殺されかけたことよりパンツ脱がされたことにテヘッとしている。
かけつけた先生(三浦友和)も目覚めた明君達をぺしぺし叩きながら、既に我関せずでプールで遊んでいる少女たちに「本当ろくでもないなお前ら」で終わり。
こことラストで死の概念が出てくる。死の対比の生。
まだ何者でもない(人間でもない)少年少女が、大人になる手前でもがきながら今の瞬間瞬間を全力で生きている。
その圧倒的な生の輝き、好奇心や無邪気さの前では倫理や理性は邪魔でしかない。
そしてそのタガが外れた純粋さは大人から見ると結構恐怖でもある。
明君、授業中えんぴつ鼻に突っ込みまくっているのめっちゃ笑える。
台風がすべてをおかしくした。っていうか台風の前からだいぶおかしいけどね。台風中は特にやばい。
レイプ未遂でYシャツずたずたで血も点いているのに誰も何も言わないし。美智子(大西結花)もその後なんかケロッとしている。
よくわからないカットのつなぎから、大空をバックに座り込む理恵(工藤夕貴)のシーンが一番好きだな。
風切り音と息遣いと笑顔。何か始まる前の不穏さと笑顔。
あと工藤夕貴の嵐の中のもしも明日がの狂気シーン。
よくサムネで見かける下着姿の少女達が雨の中踊り狂っているシーンはその先まであるとは思わなかったな。
この踊り狂うシーン見ていると『ポンヌフの恋人』の花火の中踊り狂うシーンを思い出した。
純粋でない大人代表の教師役で三浦友和。
主役の三上恭一は鶴見慎吾の弟らしい。
鶴見慎吾もそのまんま兄役で出演している。
ロリコン大学生役に尾美としのり。
温厚そうで見事な入れ墨持ちの教師の彼女のおじ役で佐藤允。
寺田農がどこに出ていたのか分からなかったが、健の同居人役らしい。顔が映らないので全くわからない。
佐藤浩市も全く分からなかったが、体育館で台風来るぞと言っている教師らしい。わからんw
めがねのみどりちゃんは声優の渕崎ゆり子。
この予告編めちゃ奇麗ね。4Kレストア版らしい。