2025年3月9日日曜日

映画『aftersun/アフターサン』

2022年 監督:シャーロット・ウェルズ
製作国:イギリス / アメリカ
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ストーリーがドラマティックだとか、映像美がぁとかそういうわけじゃないのになんかじわっと余韻を残す映画ってあるよね。そんな映画。面白かった。

どっかのリゾート地にやってきた父と娘の物語。
物語っていうか一見二人がリゾートを満喫しているだけに見える。
見えるっていうかそうか。
父親30歳、娘11歳で、父親は離婚しているっぽい。
二人の仲は良好。たまに静かに喧嘩はする(娘の対応が大人)。
そしてこの父親がなんか少しだけ闇がある。自殺しそうな雰囲気の闇。
加えてスキューバーのシーンとか、なにか事故に合いそうな雰囲気も演出で醸し出すからとにかくはらはらする。
子どもの頃の何もかもが新しくて楽しくて輝いて見える、そして大人へのどきどきする憧れ、っていうのが全編に散りばめられていて、その対比で少し闇のある若い父親が位置する。
ノスタルジックと現実。
ブラウン管テレビとかビデオカメラとか、なんか時代は結構昔の設定で、現代の大人になった娘がそのビデオを見ていたりする。
全てが楽しかった少女時代を見る大人になった娘の視点が加わり、少女時代にはあまり気づけなかった父親を大人になった娘が見つめる。
結構多層な構造でノスタルジックと現実を映し出していて面白い。

アマプラの概略
思春期真っただ中、11歳のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす若き父・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィ(セリア・ロールソン・ホール)は、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。
っていうのを映画見終わった後読んで、そういうことか、って思った。
セリフやシーンをしっかり凝視していないとたぶんあまりストーリーは把握できない。
で、予告編見たら泣く。そういうことか、って思ったw
少し早送りしながら見直してみると、そういうことか!ってまた思った。

空港の別れのシーンがソフィのかわいさが爆発して一番よかったのだけど、冒頭の早い段階でこのシーン出てたのね。
よく見るとビデオを停止して巻き戻し(早送り?)している大人ソフィの影が映っている。
ビデオの巻き戻しでこの映画のあのシーンこのシーンが一瞬映しだされて、昔の懐かしいビデオを見る大人ソフィと同じ視点になる。これはこの映画を2回以上見ないと分からない。
それにフラッシュライトのよくわからない人物は大人ソフィで大人ソフィの顔から子供ソフィの顔に切り替わるのは同一人物ですよと示唆していたのか。

以下ネタバレ

絨毯を引き取っているってことはそういうことなんだろうな。
大人ソフィと子供ソフィの時間軸だけでなく、子供ソフィの中でも後半は結構細かく時間軸の前後を入れ替えている気がする。
裸で泣いているシーンや海に入るシーンはソフィと別れた後のシーンなんじゃないだろうか。

ラストの空港別れシーンから現代ソフィ、そしてカメラを回し終えた過去の父親にシームレスにつながるのはいい。
さらには、空港のドアの向こうに消えていった父親だが、ドアの先はフラッシュライトのあの世界なのね。服装が同じだし。
フラッシュライトの世界は劇中何度かインサートされていたけど、その世界にラストで突入するわけ。
この世界では時空が超越していて、ダンスシーンでは父親と大人ソフィが再会していてなかなか感動的。

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