BS2 録画

アジア映画界の二大巨匠キムギヨンとキンフー。
そのキンフーの監督二作目。
武侠映画。
囚人護送の一行の前に現れた白ずくめの男。たたずまいがりりしく一角の人物っぽい。
この男が持ってきた書状が、かごに乗っている長官に渡される。
「首領を釈放せねば命はないと思え」
なにぃ!主人公かと思ったら悪役なのか。
丘の上に次々姿を現す盗賊一味。
大虐殺の始まり。
白ずくめの男が最後の護衛兵を剣で突き刺すとその切っ先は長官のかごにも突き刺さり、かごの中の長官が突如現れた剣の切っ先に驚くシーンが一瞬挿入される。
外からは見えないかごの中、かごの中からはよく伺いしれない外、この二つを人を貫いた剣で一気につなげてしまうといういかしたシーンにしびれる。
長官は生きて盗賊一味に捕らえられる。
この長官は総督の息子のため、盗賊の首領と人質交換しようとしているらしい。
総督に手紙を書き、交渉役を一人派遣させようとする一味。
ただ、盗賊の下っ端は交渉役に「金のツバメ」が来ることをなにやら恐れている様子。
「金のツバメ」とは首領を捕まえたやつらしい。そいつが主人公か。
場所は変わり飲み屋に現れた若き女性。
実はこの女性が「金のツバメ」。
「金のツバメ」がいかに強い奴なのかっていうのは盗賊一味による腕試し的見せ場で紹介される。
こういう紹介って王道の展開なのに、この腕試しシーンは余計な台詞も無くコンパクトに凝縮された構成が結構な緊張感になって面白い。
さて、「金のツバメ」は力いっぱい放り投げられた数枚の穴あき銭を箸をひょいひょいと振っただけで全て一絡げに通してしまうという超絶技巧の持ち主であった。
少しも危なげのない武道の達人。
盗賊団の首領を捕まえるほどの腕の持ち主なんだから簡単に長官を取り戻しそうな感じ。
しかしそう簡単にはいきませんよ。
上には上がいる。
「金のツバメ」がどんな達人だろうが、顔を白く塗りたくった変人と正面から対峙したら動揺して不覚もとるさ。
(後にはナイフが突き刺さらない鉄の肉体の持ち主で手から白い煙を放出する怪人まで出てきて赤子のように一ひねりされるし)
さあ、この映画のタイトルは大酔侠。
ということでもう一人、ただの酔っ払いと見せかけて実は武道の達人という人物が出てきていつのまにか主役が酔っ払いに移行する。
同時に誰よりも強く美しく、そしてりりしかった「金のツバメ」はひとりのか弱き女性になる。
ちょっと人間離れした一人の女武道家が、急に女になる瞬間。
毒針の毒にうなされる姿なんか恐ろしく官能的。
「金のツバメ」を演じたチェン・ペイペイは最近では『グリーン・デスティニー』で碧眼狐役を演じたりしている。
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