2005年10月8日土曜日

映画『城取り』

1965年 監督:舛田利雄
BS2 録画


舛田利雄、石原裕次郎コンビが送る時代劇。

時は戦国末期、上杉領にやってきた浪人車藤三(裕次郎)は、友人の上杉家家臣俵左内(千秋実)を訪ねる。
上杉家は来るべき家康との合戦に備えていたが、その合戦の間に上杉領をかすめとろうとたくらむ伊達家がいた。
伊達家は出城として上杉領の北に多聞山城を急ピッチで築いている。
家康との合戦に際し、背後にあるこの多聞山城は鼻先のおできのように邪魔な存在だ。
その話を聞いた車藤三は多聞山城を落としに旅立つ。俵左内とたった二人で。
道中、伊賀を抜け出した彦十(石立鉄男!)や多聞城のある機屋部落出身のお千(中村玉緒)や口上が上手い白粉屋長次郎(芦屋雁之助)を仲間にする。
多聞山城にやってきた一行は城建設の強制労働に従事させられる機屋部落の人たちを味方にして城取りを実行する。

原作が司馬遼太郎で脚本が池田一郎と舛田利雄。
裕次郎演じる車藤三とは仮の名前で実は天下の傾奇者前田慶次郎だった。
池田一郎はこの前田慶次郎を勉強しなおし、晩年に傑作時代小説『一夢庵風流記』を書き上げた、らしい。
確かにこの映画の前田慶次郎はそんなに魅力的じゃなかったな。
自由人を気取っていても結構常識的思考と行動をするただの暇そうな浪人だもん。あまり強そうに見えないし。

裕次郎が時代劇ってあまり合わないな。動きが遅いっていうか、剣をふるう姿が様になってないというか。
多聞山城の城主赤座刑部とその右腕で兵法修行者渋谷典膳が敵として配置される。
藤三(裕次郎)と渋谷典膳(今井健二)との一騎うちは城内の狭い場所でほとんど殴り合いみたいな立ち回りでこれはまともに剣戟をやらせない演出が上手い。
ある程度は迫力ある戦いになっているから。
しかし赤座刑部との一騎うちは微妙ですよ。赤座刑部を演じるのは近衛十四郎ですよ。殺陣のスペシャリストですよ。
槍で稽古している姿を同じく槍で稽古していた千秋実と比べると、スピード、腰の落ち着き、たたずまい、全てにおいて比べ物にならないほど上手い。
そんな近衛十四郎とど素人の裕次郎が一騎うちしていいのか。
と、そこはまあ剣と剣が触れ合うときに火花を散らしてみたり大きな効果音入れてみたり裕次郎に荒々しい魅力をいかした攻撃をさせてみたり忍者のような術を使わせてみたりで演出が頑張る。

136分ある。
長いが途中で見るのをやめようというほどではない。
でもいまいち盛り上がりにかけるまま決戦が始まるし、重要な人物が散っていっても少しも悲しくないのだよね。

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