TV 録画

石井輝男の東映時代のギャング映画。
なんか変な映画ですよ。
真面目な任侠道なのにところどころつまらないギャグが入ったりして。
高倉健が便所を出た後に手を拭いたおしぼりが人から人に手渡され最後には敵方の若手が受け取るのだけどこいつがこのおしぼりで顔拭いた後鼻かんだり、って真面目なやりとりの最中に!
拳銃で撃ちあいしている最中に匍匐前進しながら必死に何かを取ったと思ったらそれはパンで拳銃撃ちながら片手でそのパンをかじったり。
天知茂のあまりに間抜けな最後。
新聞記者役の長門裕之はあのでかい黒ぶちメガネだけでギャグだし。
綺麗な女優が3人も。
佐久間良子は鶴田浩二の妻役。盲目という設定でサングラスをかけているから顔がよく分からない。
右頬に火傷跡のような大きな傷を持つ男の役を待田京介が演じるのだが、彼の傷を気にもしない天真爛漫な女性役に藤純子。
コンプレックスの傷をなんとも思わずに接してくる藤に好意を寄せる待田だが、やくざは女を幸せにできないことを自覚している待田は藤や生への未練も感じさせずに粋に散っていく。
散り方が粋すぎて悲しい。そして待田の死と共に藤の出番もあっという間に終わりを告げる。
関係が深まる前に散ったかっこいい待田に比してあまりにひどいのが主役の鶴田浩二。
佐久間との間に赤ん坊までもうけておきながらあまりに身勝手な任侠道に酔いながら勝手に妻と子を捨てるのであった。
そしてナルシスト鶴田の被害は高倉健の元恋人役の三田佳子に及ぶ。
西と東のやくざの全面抗争を抑えるべく高倉健に自分と一緒に死ぬことを要求する鶴田。
三田佳子の必死の懇願もむなしく死を決意した高倉健。
歓喜する鶴田。ショックの三田。
死出の旅路に酔いしれる鶴田がふと後ろを見ると三田を発見。
三田の高倉への想いなど微塵も気にしていない鶴田はあっ君いいところにいたという感じで「これ大木実に渡してね」と権利書を手渡す。
さあ行くぞと酔いすぎていっちゃっている盲目鶴田は一人ですたすた歩き出す。
放心状態の三田は鶴田に付いて歩き出そうとする高倉にしがみ付き必死に止めようとするが兄貴に心酔している高倉は無情に振りほどくのであった。