2006年3月25日土曜日

映画『ザッツ・ダンシング!』

1984年 監督:ジャック・ヘイリー・Jr 製作総指揮:ジーン・ケリー
BS2 録画


That's Dancing (Ws Rmst Sub)

アメリカのミュージカル映画ダンス映画の歴史を数々のダンスシーンで振り返る。
ナビゲーターはジーン・ケリー、サミー・デイヴィス・Jr、ミハイル・バリシニコフ、ライザ・ミネリの4人。
ミュージカル映画には今まで興味がなかったのだけどダンスシーンだけ見ていると面白いな。

フレッドアステアが1930年代ころに出演した映画のシーンがいくつか流れたが、この初期の頃のアステアのダンスは凄い。
『ロバータ』(1935)でのソロのきれとエレガントさ。
そして『有頂天時代』(1936)でアステアとジンジャー・ロジャースの二人が見せたステップは本当かっこいい。
ハイヒールで華麗にタップを踏むロジャースをアステアが見事にリードして。

アステアとロジャースの黄金コンビの後に紹介されたのが8歳のシャーリー・テンプルと56歳のビル・B・ロビンソンのコンビ。
『テムプルの愛国者』(1936)からのシーン。こちらもかなりいかす。
ロビンソンの何気なくも確実なタップとテンプルの上手さと可愛らしさ。
おどけてがにまたでステップするテンプルを見たらその芸達者ぶりに驚く。

エレノア・パウエル。
この人のタップダンスは凄いとしかいいようがない。
『踊るブロードウェイ』(1935)と『踊るホノルル』(1939)のシーンが流れたのだけど、無垢な笑顔で圧倒的な迫力のダンスを踊る姿にあっという間に引き込まれる。
見事なまでにむちむちした美脚にも。

いかにもダンスの上手そうな黒人二人が登場。
ニコラス兄弟というらしい。
『ダウン・アルゼンチン・ウェイ』(1940)からのシーン。
上手いなんてもんじゃないです。華麗にしてダイナミック。タップが早すぎて脚が見えません。

レイ・ボルジャー。
『オズの魔法使』(1939)から、かかし役のレイ・ボルジャーの未公開フィルムが紹介される。
こんな楽しげでよくできたシーンがなぜカット?
レイ・ボルジャーが縦横無尽に喜劇タップを繰り広げる。そしてそれにとことこついてくる可愛い仔犬。危なっかしい。
ジュディ・ガーランドとレイ・ボルジャーが並んで手を大きく振って歌いながら旅立つシーンなんて楽しすぎです。

無知のため知らなかったのだけどシャーリー・マクレーンって幼い頃からバレエを習っていてブロードウェイにも出ていた人だったのだね。
『スイート・チャリティ』(1969)という映画で30半ばのマクレーンが素人じゃできなさそうなダンスを披露していたからびっくりした。
マクレーンの若い頃の映画は『ハリーの災難』しか見たことないから知らなかったのだけど、もう一つプチびっくりしたのはマクレーンは30半ばでもうけばくなっていたのだな。

スカート姿でタップを踊る女性が最高にかっこいいことを知った。
ひらひらのスカートを華麗に翻しながらタップを踏むときに覗く綺麗な脚線美もエロい。

2006年3月21日火曜日

映画『南方飛行』

1935年 監督:ピエール・ビヨン
BS2 録画


航空版西部劇といった趣き。
馬車は飛行機に、広大な荒野は砂漠に、人格のない戦闘集団アパッチはアフリカの部族に。
決して着陸してはいけない砂漠に不時着すればどこからともなく現れた戦闘集団が殺しにやってくる。

郵便飛行士のベルニスは今は大使の妻となっているジュヌビエーヴに呼び出され、休暇をとってパリに帰る。
幼少の頃から惹かれあっていた二人は駆け落ちする。
大使の妻を奪う駆け落ちをしながらも勤め先には自分の居場所を報告する律儀なベルニス。
ちょうど人手が足りないときで、休暇中にも関わらず飛行を命じられたベルニスは使命感から仕事を引き受ける。
一人残されたジュヌビエーヴは両親達に見つかってしまうが、叔母の計らいでなんとか逃げる。
と、ここまではベルニスとジュヌビエーヴのメロドラマっぽくて、夫のおっさん大使は権力にものをいわせた嫌な奴だったのだけど、大使と叔母の話し合い中に実は大使は結構愛情深い男だと分かり、同時にヒロインのジュヌビエーヴがどうしようもなくアホに見えてくる。
いいとこのお嬢様ジュヌビエーヴはぬくぬく育って苦労も知らず、節約という言葉も知らず、わがままで高慢な女に見えてくる。
そんなジュヌビエーヴに恋してしまった真面目で情に厚いナイスガイベルニスの運命はというと・・・

ラストはあまりに予想外、あまりのあっさり感にぽけーっとしてしまう。
原作サン=テグジュペリ。

2006年3月20日月曜日

映画『ブラザーズ・グリム』

2005年 監督:テリー・ギリアム
at ギンレイホール


ブラザーズ・グリム

ファンタジーにもホラーにもコメディにもブラックユーモアにも兄弟愛にも成り損ねたまま117分ごたごた進んでいく感じ。
ヒース・レジャーが塔のてっぺんの傾斜のある屋根に立つシーンは高さが怖い。

映画『ポビーとディンガン』

2005年 監督:ピーター・カッタネオ
at ギンレイホール


ポビーとディンガン

オーストラリアのオパール鉱山に住む一家と町の物語。
少年アシュモルには妹ケリーアンがいる。
妹はこの鉱山に越してきてからというもの、空想上の友達ポビーとティンガンとばかり遊んでいる。
ある日ポビーとティンガンが消えてしまう。
気を落としてみるみるやつれていく妹を見たアシュモルはそれまで存在を信じてもいなかったポビーとティンガンを探し始める。

やつれたケリーアンは痛々しかったが、元気なときからやせ細っていたのであんまり可愛らしさはなかったな。

予告編を見て泣いた映画は本編を見ると泣けないというMy法則を見つけ出した一作。

2006年3月11日土曜日

映画『網走番外地 望郷篇』

1965年 監督:石井輝男
TV 録画


網走番外地 望郷篇

網走から故郷長崎に戻ってきた健さん。
黒人の少年に出会います。
舌足らずな喋り方で、声質は中性的で不思議です。
というのもこの子は少年でなくエミーという名の少女でした。
見ていると黒人ではなく日本人の少女にパーマをかけて黒く塗りたくったようにも見えます。
しかし演じるのは林田マーガレットという名前の方。
ネットで検索してみてもよく分かりません。ハーフでしょうか。
劇中健さん自身の口から黒人に対する偏見が世間にあると匂わせる台詞があります。
健さんはそんな偏見など気にせずエミーと親しくしていると暗に主張します。
と言いながらエミーを実の母親の元へ送り届けるときはエミーに荷札をつけてフェリーに乗せるのでした。
まあ、荷札は不器用な健さんのほんの愛嬌で差別とは関係ないでしょうが。

ヒロインは桜町弘子です。
時代物でしか見たことないのですが任侠物にも出ていたのですね。
敵方に雇われた殺し屋役を杉浦直樹が演じます。
口笛吹きながら振り返って健さんを見る登場シーンは世にも恐ろしい登場シーンです。
七つの子を吹いているすぼんだ口と薄い髭が怖いです。
「渡世の仲間は人斬りジョーって呼んでるよん」
ラストの決闘は杉浦直樹の怪念波でHDDレコーダーが壊れたのかと思いました。
待田京介が悪い顔して出ています。でも味方です。こんなに角刈りが決まる人はそういません。
石橋蓮司が敵方のチンピラ役で出ています。ほんとに頭悪そうです。
東野英治郎がちょろっと出ています。ただの港湾労働者で石橋蓮司達にいじめられます。
他にもアラカンやら田中邦衛、由利徹、砂塚秀夫等々。

2006年3月5日日曜日

映画『灯台守の恋』

2004年 監督:フィリップ・リオレ
at ギンレイホール


灯台守の恋

かったるい恋愛物だと思っていたらサンドリーヌ・ボネール主演でなかなか面白い映画だった。
ラストの一枚の写真には久しぶりに映画見て泣く。

抑えきれない感情でグレゴリ・デランジェールを見つめるサンドリーヌ・ボネールの瞳が美しい。
サンドリーヌ・ボネール、フィリップ・トレトン、グレゴリ・デランジェールの三者の感情が変容しながらお互いに絡み合って、瞬間瞬間の細かな機微までが鮮やかに表出していく。
三者のバランスは一人の娘の人生として温かく結晶し、その娘の感情は一枚の写真によって時代を超えて四者の感情として見事に収斂される。

この監督フィリップ・リオレは同じくサンドリーヌ・ボネール主演の『マドモワゼル』を撮った人だったんだな。
感情の襞と瞬間のはかなさをつつましく表していくのが上手い。

そういえば4年くらい前にBSでやっていたジャックリヴェットのジャンヌダルク3部作(サンドリーヌ・ボネール主演)をDVDに焼いていたっけ。
まだ見ていない。

映画『理想の女(ひと)』

2004年 監督:マイク・バーカー
at ギンレイホール


理想の女(ひと)

あくびは何度もしたがうとうとすることはなかったはずなのにストーリーがよく分からず。
若く美しい妻スカーレット・ヨハンソンより40過ぎたヘレン・ハントに惹かれる理由が分からない。
と思ったら実は違うのだけど、夫ロバート(マーク・アンバース)は一体いつヘレン・ハントの真実を知ったの?
ロバートとヘレン・ハントの出会いはどう見てもヘレン・ハントがロバートを誘惑しているでしょう。
ロバートはへこへこ付いて行ってるし。
帰りに車に乗り込むロバートの顔が険しかったのは真実を知ったから?
それにスカーレット・ヨハンソンの夫に対する誤解はどの契機で解けたの?
不倫相手ヘレン・ハントが実はいい人だったと知ったから??

まあなんにせよラストの方の「ママに誓うわ」という台詞だけはほろっとくる。

2006年3月4日土曜日

映画『地球へ2千万マイル』

1957年 監督:ネイザン・ジュラン 特撮:レイ・ハリーハウゼン
BS2 録画


地球へ2千万マイル

シチリア沖で小船に乗った男や子供が漁をしながらB級な演技をしていると、空からロケットが墜落。
あれだけのスピードで海に突っ込みながら波も立たずに静かな着水。
海上に斜めに突き刺さったロケットの中から2人の乗組員が助け出される。
助け出したところでロケットは海中へと沈んでいくのであるが、えーっと、ロケットは海底に突き刺さっていて海上に機体の一部が見えているのだと思っていたのだけど、実は斜めに突き刺さった状態で浮いていたのであった。ありえね~。

ロケットはアメリカが密かに打ち上げていた金星探査のロケットで、金星から金星獣の卵を持ち帰っていた。
この卵が孵化し、ミニチュアサイズから人サイズ、そして象と同じくらいのサイズまでたった数日で急成長を遂げる。何も食ってないのに・・・
この金星獣が主役みたいなもんだからふんだんにレイ・ハリーハウゼンのモデルアニメーションが見れる。

勝手に地球につれてこられた金星獣は醜い人間どもにただおびえるばかりのおとなしい生物だった。
しかし金星獣はあまりにひどい虐待を受けるもんだから身を守るために暴れた。
暴れられると非常に迷惑だから人間によって排斥された。
排斥の過程で動物園の象が死んだ。
人間にけしかけられて金星獣と戦わせられた象も、象にいきなり襲われた金星獣もどっちも悲しい。