BS2 録画
なんかぶっ飛んでる。
双子っていう最初の説明で一方が死ぬことはなんとなく予想されたが、その後の展開は全く予想外。
しょっぱなからコマ撮りや赤のフィルターで始まるが、まだ普通に見れる。
それが、唐突な拷問シーンあたりからぶっ飛んでくる。
女の苦しむ顔の突然のアップ。それも高貴な振る舞いで拷問なんていうものとは全く無縁と思われた女の。
杭で袖を地面に打ち付けられた女の傍に弓を引く男が立っていて、女の首は弓と弦の間に挟まっている。
男が体全体を使ってしなやかに空の矢をヒュンと放つと同時に女がうめく。
男はさも女なんか存在しないかのようにリズミカルに放ち続ける。
なんという侮辱とエロティシズム。
愛する者を失った阿倍保名(大川橋蔵)は発狂。
その後、作り物のいやにゆったりした動きで不気味な蝶が現れてから次の段階へ。
保名は想い人と同化して所作や喋り方が男だか女だか分からなくなる。
女形橋蔵が幻想的世界でその本領を発揮。
そっから先はもう誰も予想し得ない展開に。
「コーン」とでも言うかと思いきや普通に「じぃ~」って言うし、ぺろぺろぺろぺろや、あっと驚く舞台の早変わりや、ラストの歌舞伎舞台できりきり響く琵琶の音や・・・
大川橋蔵の魅力全開なのだが、相手役の瑳峨三智子も凄い。
美人ではないのだけど。
覗かれ見られることが幸せな生活の終わりを意味する状況で、幾度も覗かれ続けながらも気づかない振りして機織り続ける瑳峨の表情っていったらこっちまで泣きそうになる。
「くやしゅーございます」
人形浄瑠璃の『芦屋道満大内鑑』と清元の古典『保名狂乱』が元になっているらしい。
ストーリー的には主軸がさっぱりわからず中途半端に終わるためか興行的には惨敗だったとのこと。

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