2008年10月25日土曜日

映画『イースタン・プロミス』

2007年 監督:デヴィッド・クローネンバーグ
at ギンレイホール




何気ない日常の風景。
そこに突如割り込むエグい殺し。
で幕開け。
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』もそんな感じのオープニングだったな。

イギリスロンドン。クリスマス目前の23日。助産師のアンナ(ナオミ・ワッツ)の勤める病院に一人の妊婦が運び込まれる。
帝王切開により子供は無事だったが母親は息を引き取る。
母親はまだ14歳の少女だった。
腕にはドラッグの注射跡が残る。
身元不明のこの少女の親族を探そうとアンナは彼女の日記を持ち帰る。
日記はロシア語で書かれていた。
アンナはロシア人とのハーフだったがロシア語が分からない。
折りよくロシア人の叔父が来ていたので翻訳を頼む。
アンナは日記に挟まれていたレストランのカードを頼りに“トランスシベリアン”というレストランを訪れ、そこのオーナー(アーミン・ミューラー=スタール)に少女の事を尋ねるが、オーナーは知らないという。
このロシア人のおっさんは日記を翻訳してあげようと言い出したりボルシチを味見させてくれたりと何かと親切。
なのだけどこの人はロシアンマフィア“法の泥棒”のボスだった。
ロンドンの闇に巻き込まれていくアンナ。
イースタン・プロミス=人身売買
ね。

一方“法の泥棒”のボスの息子キリル(ヴァンサン・カッセル)の運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)は慣れた手つきで死体処理をしていた。
ただの運転手のくせに只者でない雰囲気の謎の男。
冷酷だけど優しい一面をちらちら見せる。
アンナを危険に巻き込まないように動いてくれる。

マフィアなんだけど拳銃が全然出てこない。
殺しはもっぱら刃物(ナイフや剃刀)。
喉下掻っ切ったり後頭部に突き刺したり。
エグい。だからマフィアが怖い。
1mmたりとも関わりたくない世界だ。

そんな世界に生きる人間はっていうと、人の良い素敵なおっさんぶりしか映像では現れないけど、その非道ぶりは群を抜いていると段々判明するボスや、狂喜に満ちた顔でやっていることも非道なんだけど子供に優しくて好かれてもいる情緒不安定なキリルや、経歴不明のクールな男ニコライやら。

グロいところはしっかりグロく、波のある緊張感の持続とキャラクターの魅力と謎と程よいB級くささ(バイクで走るアンナをバイクの正面にカメラを固定して映すっていうような)がいい具合に混ざり合ってかなり面白くなっている。
最後はまだあと1時間は続きそうな展開だなってところで終わっちゃうからあっけないけど。

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