2009年3月15日日曜日

映画『宮廷画家ゴヤは見た』

2006年 監督:ミロス・フォアマン
at ギンレイホール


宮廷画家ゴヤは見た [DVD]

宮廷物ほどかったるいものはない、はずが意外にかなり面白い。
ゴヤはどちらかというと狂言回しの位置づけでゴヤの伝記映画ではない。
じゃあなんなのかというと、18世紀末から19世紀にかけてのスペインを「宮廷画家ゴヤ」が「見た」、という話。

ゴヤ(ステラン・スカルスガルド)は現在二人の人物の肖像画を描いていた。
一人は裕福な商家の娘で天使のように美しく無垢なイネス(ナタリー・ポートマン)。
もう一人はむっつり顔だが権威に満ちた佇まいの神父ロレンソ(ハビエル・バルデム)。
ロレンソは教会の威厳を保つために異端審問を復活させようとしていた。
酒場で豚肉を食べなかったイネスはこの復活した異端審問に引っかかってしまう。
優しい質問は拷問へと移行していき、さらにはむっつりロレンソによって・・・
でも、まあ跪いたイネスの体の線の美しいこと。
この究極の曲線を見ちゃったらそりゃそうなる。

純粋で若い女性の将来に待っているであろうまばゆい人生が突如閉じられる。
死ぬとかじゃなくて生きているわけだし、しかも無実。
この怒りの矛先をどこに(誰に)向ければいいのかというと、異端審問を復活させたロレンソなんだけど、ゴヤもイネスの家族もロレンソに原因があることを知らない。
だからロレンソというむっつり男に注目が集まる。
彼がどういう人生を辿るのか見届けるために。

ラストは子供の歌声とかちゃっちいくせに涙が溢れる。

ミロス・フォアマンはこの企画を50年も前から温めていたらしい。
強烈なロレンソを演じたハビエル・バルデムはどこかで見たことあると思ったら『海を飛ぶ夢』の人だ。
さらにはアルモドバルの『ライブ・フレッシュ』の人でもある。
今更かもしれないけどこの人の名前はしっかり覚えておこう。


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