2009年10月25日日曜日

映画『それでも恋するバルセロナ』

2008年 監督:ウディ・アレン
at ギンレイホール


それでも恋するバルセロナ [DVD]

アメリカ娘のヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友で、二人仲良くバルセロナに遊びに来ている。
気の合う二人だが、二人の恋愛感は正反対で、ヴィッキーは慎重派で堅実を求め、クリスティーナは恋愛体質で積極的。
二人はバルセロナで色男の画家フアン(ハビエル・バルデム)に出会う。
出会う、というか二人いっぺんに口説かれる。
クリスティーナは興味津々だがヴィッキーはあからさまに警戒心を出す。
でもいろいろあって慎重派のヴィッキーの方がフアンと体の関係になる。
しかしそれも一夜限りで、ヴィッキーは婚約している平凡な彼氏のもとに戻り、クリスティーナは最初の興味どおりフアンと付き合うことになる。
フアンとクリスティーナは二人情熱的に暮らしていたがある日フアンの別れた元妻マリア(ペネロペ・クルス)が現れる。
3人による奇妙な同棲生活。
一方ヴィッキーはフアンが忘れられずにいて・・・

ふぅ、途中寝てしまった。
だらだらしないでナレーションで潔く展開を早めているところは悪くはないのだけど、字幕が多いんだよね。
なんか自転車のシーンでトリュフォー、恋愛論を戦わせるところでエリック・ロメールを思い出す。
でも舞台はスペインだし監督はウディ・アレン。
ウディ・アレンと言われなければウディ・アレンだと気づかないような作品。

スカーレット・ヨハンソンの金髪色白具合が妖精さんみたいです。
特にペネロペ・クルスが出てきた後は、ペネロペ+ハビエル・バルデムという濃いぃ二人にかこまれるわけだからヨハンソンだけが別世界の住人に見える。

ハビエル・バルデムはどこかで見たと思ったら『宮廷画家ゴヤは見た』の変態神父だ。

映画『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

2007年 監督:エミール・クストリッツァ
at ギンレイホール


冒頭からノー・スモーキング・オーケストラのあの音楽で、ああ、クストリッツァ。
クストリッツァの映画を見る場合、この騒々しさに乗れない場合は疲労を感じてしまうのだけど、乗れた場合は最高に楽しくなる。
この作品はというと、ちょっと疲れた。
ギャグの切れがいまいちのため。

山あいの田舎町で祖父と二人で暮らす少年ツァーネ(ウロシュ・ミロヴァノヴィッチ)が、祖父から言いつけられた3つの依頼を果たすために都会に出てくる。
 1.牛を売ってそのお金で聖ニコラスのイコンを買う
 2.好きなお土産を買う
 3.花嫁を見つけて連れ帰る
ツァーネは都会の女性の美しさと色っぽさに目を奪われるのだけど、中でも通りすがりの女学生ヤスナ(マリヤ・ペトロニイェヴィッチ)に一目ぼれして猛アタックをかける。
娼婦やマフィアや殺し屋兄弟も絡んできてどたばた度は最高潮に。

戦争や政治は前面には押し出されていないのだけど、街はほぼ無法地帯で殺しは日常茶飯事となっている。
借金を返せない人はあっけなく銃殺されて棺桶に突っ込まれ、止めに手榴弾で火葬とか。
残酷なんだけど残酷に描かないのはいつもどおりで、銃撃戦なんていうのもノー・スモーキング・オーケストラの音楽に乗せて子供達が遊びで戦争ごっこしているような感じ。

それにしてもヒロインのマリヤ・ペトロニイェヴィッチが綺麗だな。
素人だったのにクストリッツァに見出されていきなりヒロインに大抜擢されたとのこと。
このヒロインだからこそ漫画のような救出劇も恋愛劇も楽しめる。

発明好きの祖父役には『ライフ・イズ・ミラクル』で郵便配達員役をやっていたアレクサンダル・ベルチェク。
スキンヘッド兄弟のでかい方はノー・スモーキング・オーケストラの一員でクストリッツァの息子でもあるストリボール・クストリッツァ。
他、ミキ・マノイロヴィッチやリリャナ・ブラゴイェヴィッチも出ている。

2009年10月24日土曜日

半分以上睡眠

朝の10時くらいだったかに家の呼び鈴がなったのでamazonで注文していたCDが届いたのかと思って布団から起き上がってちゃんと開くことのできないまぶたとぼさぼさの髪を交互にいじりながらドアを開けてみるとどう見ても配達員ではない男とその一歩後ろに女の人がいてキリスト教の冊子がどうとか申し訳無さそうに喋りだしたので思わず「ああ」とつぶやいてしまったついでに言っちゃえとそのまま「ごめんなさい、いいです」と続けるとあっさり引き下がってくれたのでドアを閉めてまた布団に入る。

その後目覚めてデジタル時計を目をこらして見ると16時40分に見える。
2,3年前は15時、16時まで寝ていたりしていたけど最近は昼くらいには起きていたのだけどなぁ。
終電帰りが続いてかなり寝不足だったらしい。

アパートの下のポストに行ってみるとメール便が突っ込まれていた。
水曜には発送完了メールが来ていたから木曜か金曜には届いていたんだな。

届いたCDはPerfumeの『トライアングル(初回限定盤) 』。
これ7月の発売だったんだね。随分間を空けてしまった。
初回限定版だけどマーケットプレイスで新品が3000円と安かった。
トライアングル(初回限定盤)

この注文と一緒に、というかこっちの予約が目的だったのだけど、2009/11/6発売の熊木杏里『はなよりほかに』の予約も完了。
まだまだ先だと思っていたけどあと少しだな。
そういえばNHKの「ワンダー×ワンダー」のエンディングに流れている「君の名前」はシングルとは別バージョンっぽい。アルバムではシングルと別バージョンが入ってくれると嬉しいな。
はなよりほかに(初回限定盤)

他に調べていたら2009/9/2に長谷川都が3,4年ぶりくらいに新しいアルバムを出している。
夜
買おうと思ったのだけど、Perfume買ったし暫くしたら熊木杏里のアルバムも届くし迷った末今回は見送る。
あれ、長谷川都いつの間にか結婚していたらしい。

2009年10月12日月曜日

10月INFO

BS2 10月13日(火) 午前0:45~午前2:12(12日深夜)
僕たちのキックオフ 2008年:イラク・クルディスタン

〔監督・脚本〕シャウキャット・アミン・コルキ
BS2 10月14日(水) 午前0:45~午前2:35(13日深夜)
Orzボーイズ! 2008年・台湾

〔監督・脚本〕ヤン・ヤーチェ(楊雅喆)
BS2 10月15日(木) 午前0:45~午前2:43(14日深夜)
ガレージ 2006年・インドネシア

〔監督〕アガン・セントーサ
★BS2 10月16日(金) 午前0:45~午前2:21(15日深夜)
雨の味 2006年・シンガポール

〔監督・脚本〕グロリア・チー
★BS2 10月18日(日) 午前1:05~午前2:59(17日深夜)
京義線(キョンイセン) 2007年・韓国

〔監督・脚本〕パク・フンシク
★BS2 10月19日(月) 午後9:00~午後10:55
My Son ~あふれる想い~ 2007年・韓国

〔監督・脚本〕チャン・ジン
★BS2 10月20日(火) 午前1:35~午前3:47(19日深夜)
ルパン 2004年・フランス

〔監督・脚本〕ジャン・ポール・サロメ

〔出演〕ロマン・デュリス
BS2 10月20日(火) 午後9:00~午後10:49
追憶の切符 2008年・中国

〔監督〕ジェイコブ・チャン(張之亮)
BS2 10月21日(水) 午後9:00~午後11:00
パンドラの箱 2008年・トルコ/フランス/ドイツ/ベルギー

〔監督・脚本〕イェシム・ウスタオウル
★BS2 10月29日(木) 午前0:40~午前2:27(28日深夜)
僕の大事なコレクション 2005年・アメリカ

〔監督・脚本〕リーブ・シュレイバー

〔出演〕イライジャ・ウッド

今月はNHKアジア・フィルム・フェスティバル特集が中心だな。
来月はフェリーニの『甘い生活』『道』、アントニオーニの『女ともだち』があるらしい。

2009年10月11日日曜日

映画『恋のエチュード』

1971年 監督:フランソワ・トリュフォー
BS2 録画


恋のエチュード〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選10〕 [DVD]

久しぶりに昔のフランス映画を見た気がする。
そのせいか手触りのある発色をするフィルムの生の感覚に一瞬どきっとする。
青白さが怖いのかなぁ。

トリュフォーとジャン=ピエール・レオのコンビの1971年作品。
ドワネルものではない。
マザコン気味のフランス青年クロード(ジャン=ピエール・レオ)の家に母親の友人の娘が訪れる。
この娘アン(キカ・マーカム)はイギリス人で、ロダンに心酔して彫刻家を目指している。
クロードとアンは交際を始めるのだが、アンは妹のミュリエル(ステイシー・テンデター)とクロードを引き合わせたいらしい。
ということで暇なクロードは姉妹が暮らすイギリスの田舎町にホームステイする。
母と姉妹の女だけの家に迷い込んだクロードは毎日姉妹と楽しく暮らすのであった。
深窓の令嬢といった感じの処女姉妹。
そうこうしているうちにクロードはミュリエルに求婚する。
しかしクロードの母親が猛反対。
結局クロードとミュリエルは1年間離れ離れに暮らし、1年経ってもまだ恋が続いているようなら結婚を認めようという話になる。
ミュリエルの恋心は離れたことで一層燃え上がる。
しかしクロードの方はさばさばしていて熱が冷めてしまう。いや、冷めたというか母親の圧力で冷めさせられたというか。
やがてアンが再びフランスに訪れる。ミュリエルと会うのは禁止されているが、アンと会うのは禁止されていない。
クロードとアンは友人づきあいを再開するのだが、次第に恋心が燃え上がって関係を持つ。

崖、海、花に美人姉妹。
桃源郷のような生活を経た後にやってくる苦悩と喜び。
喜びも悲しみも全てが悩ましいくらいに静かに輝いていて、132分もあるけどあっという間に過ぎてしまう。
ラストシーンの何気ない静寂も泣きそうになる。

いつも思うのだけど、ジャン=ピエール・レオは表情が薄いのか何考えてるか分からない怖さがあって、そこが魅力的でもあるのだけど、やっぱり彼が女にもてる役をやっているのはなんとなく違和感がある。
ただ、彼が淡々としていればしているだけ、そのコントラストで女優の表情や魅力がくっきりと輝きを増すのがまた面白い。
この作品に関しては3者がそれぞれ胸に熱い想いを秘めているのだけど、なかなか表出しないし、表出しても暫くすると引っ込んだりする。
3人とも何考えてるか分からないところがあるのだけど、クロードの揺らぎはどちらかというと刹那的に爆発する気まぐれの類で、一方姉妹の方は二人とも抑制による分からなさになる。
姉妹の抑制による感情の揺らぎやせつなさは微細な表現になるのだけど、クロード役のジャン=ピエール・レオが無職透明であればあるだけ彼を鏡として姉妹が輝くことになる。

2009年10月4日日曜日

映画『路上のソリスト』

2009年 監督:ジョー・ライト
at ギンレイホール


路上のソリスト [DVD]

キャサリン・キーナーはいくつになっても魅力的な女性だなぁ。

LAタイムズのコラムニスト、スティーヴ・ロペスの連載コラムが原作。
だから実話がベース。
スティーヴはある日路上でたった二本の弦のバイオリンで豊かなメロディーを奏でる浮浪者と出会う。
彼の名前はナサニエル・エアーズ。
彼が言うには名門ジュリアード音楽院に通っていたらしい。
スティーヴはジュリアード音楽院に問い合わせ、彼の言葉が事実であることを知ると彼の人生に深く興味を抱き始める。
初めは記事のネタだった。
しかし次第にスティーヴはナサニエルを救いたいと思い始め、彼の人生に深く関わっていく。

ナサニエルがどれだけの才能を持っていたのかってところがいまいち分からないのだけど、まあいいや。
話の中心はスティーヴとナサニエルのそれぞれの心の葛藤なので、埋もれていた才能が大舞台で開花するようなカタルシスは訪れない。
かといって二人の葛藤が描ききれているかと言われるとなんか淡白な気もする。
ただ、役者陣は皆素晴らしいまでの名演なので楽しめる。

映画『スラムドッグ$ミリオネア』

2008年 監督:ダニー・ボイル
at ギンレイホール


スラムドッグ$ミリオネア [DVD]

ミリオネアはあのクイズ$ミリオネア。
スラムドッグはスラムの犬。予告編だとスラムの負け犬と訳されている。
まともな教育を受けていないスラム出身の青年が番組史上最高額となる2000万ルピーの最終問題に挑戦しようとしていた。
彼はなぜ問題の答えを知りえたのか。
彼の生きてきた人生や番組に出演した理由が次第に明らかになっていく。

監督はダニー・ボイルで舞台はインド。
音楽がいいんだわ。
子供達がスラムの街中を大人から逃げるために駆け抜けるシーンのリズム、何の楽器か分からなかったけど民族楽器の太鼓のリズムが体全体に響いてきて、それと子供達の躍動感とが合わさって涙が出てくる。

スラムの貧困、犯罪、宗教対立。
しかしまあよくこんな環境で過酷な子供時代を過ごしたのにジャマールは純真な青年に育ったもんだ。
そういえば映画館の最前列の席に父親と来た10歳くらいの女の子が座っていたけど、どんな気持ちでこの映画を見たのだろうか。
全体的には純愛を絡めたエンターテインメントに仕上がっているけど、描かれている内容は結構重い。

ラストはちょっとびっくりしたな。
大林の『時をかける少女』みたいな突然の思いがけない展開。
舞台はインドなんだから見たかったといえば見たかったし、その意外性に危うく泣きそうになる。

シネ通

今日、今月分のテレビ雑誌を買って番組表を見ていたら、テレビ東京で新番組として「シネ通!」とある。
ちょっと楽しみにして見てみると、司会のバナナマン設楽が言うには、シネマ通になろうということで「シネ通」らしい。
なんだ、シネマ通信が復活したのかと思ったら別番組か。

と思いきや海外レポートのレポーターでジェファソン・デイビスが!
7,8年ぶりに見た気がする。
さらには石川三千花の映画評もあるし、これはやっぱりほぼシネマ通信の復活。
嬉しいねぇ。

Wikipediaを見てみたら、2006年にも1年間復活していたらしい。知らなかった。

2009年10月3日土曜日

映画『真夏の夜の夢』

1959年 監督:イジー・トルンカ
BS2 録画


イジィ・トルンカ作品集 Vol.5 [DVD]

トルンカの後期の作品。
彩色、陰影、背景、人形の動き、全てが一層緻密になっている。
その緻密さが人間の物悲しさ儚さを伴った果てしない夢幻の世界を表出させている。

セリフはほとんど無くて、シンプルなナレーションと音楽、動きのみで展開するシェークスピアの真夏の夜の夢。
一度眠くなってきたら止まらなかったので昼寝してから再度見た。
映画館で見ていたら最後まで寝てしまって後悔したんだろうな。

それにしても神々しさとエロティシズムが両立したティターニアが美しい。