BS2 録画
![恋のエチュード〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選10〕 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51MPR3ZXGKL.jpg)
久しぶりに昔のフランス映画を見た気がする。
そのせいか手触りのある発色をするフィルムの生の感覚に一瞬どきっとする。
青白さが怖いのかなぁ。
トリュフォーとジャン=ピエール・レオのコンビの1971年作品。
ドワネルものではない。
マザコン気味のフランス青年クロード(ジャン=ピエール・レオ)の家に母親の友人の娘が訪れる。
この娘アン(キカ・マーカム)はイギリス人で、ロダンに心酔して彫刻家を目指している。
クロードとアンは交際を始めるのだが、アンは妹のミュリエル(ステイシー・テンデター)とクロードを引き合わせたいらしい。
ということで暇なクロードは姉妹が暮らすイギリスの田舎町にホームステイする。
母と姉妹の女だけの家に迷い込んだクロードは毎日姉妹と楽しく暮らすのであった。
深窓の令嬢といった感じの処女姉妹。
そうこうしているうちにクロードはミュリエルに求婚する。
しかしクロードの母親が猛反対。
結局クロードとミュリエルは1年間離れ離れに暮らし、1年経ってもまだ恋が続いているようなら結婚を認めようという話になる。
ミュリエルの恋心は離れたことで一層燃え上がる。
しかしクロードの方はさばさばしていて熱が冷めてしまう。いや、冷めたというか母親の圧力で冷めさせられたというか。
やがてアンが再びフランスに訪れる。ミュリエルと会うのは禁止されているが、アンと会うのは禁止されていない。
クロードとアンは友人づきあいを再開するのだが、次第に恋心が燃え上がって関係を持つ。
崖、海、花に美人姉妹。
桃源郷のような生活を経た後にやってくる苦悩と喜び。
喜びも悲しみも全てが悩ましいくらいに静かに輝いていて、132分もあるけどあっという間に過ぎてしまう。
ラストシーンの何気ない静寂も泣きそうになる。
いつも思うのだけど、ジャン=ピエール・レオは表情が薄いのか何考えてるか分からない怖さがあって、そこが魅力的でもあるのだけど、やっぱり彼が女にもてる役をやっているのはなんとなく違和感がある。
ただ、彼が淡々としていればしているだけ、そのコントラストで女優の表情や魅力がくっきりと輝きを増すのがまた面白い。
この作品に関しては3者がそれぞれ胸に熱い想いを秘めているのだけど、なかなか表出しないし、表出しても暫くすると引っ込んだりする。
3人とも何考えてるか分からないところがあるのだけど、クロードの揺らぎはどちらかというと刹那的に爆発する気まぐれの類で、一方姉妹の方は二人とも抑制による分からなさになる。
姉妹の抑制による感情の揺らぎやせつなさは微細な表現になるのだけど、クロード役のジャン=ピエール・レオが無職透明であればあるだけ彼を鏡として姉妹が輝くことになる。
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