2013年1月14日月曜日

大雪につき

3連休もくそもなくて仕事だったので出勤。
今回のギンレイのプログラムは見送りかなと諦めていたけど、雪がどんどん積もり始めたから早々に解散となる。
せっかくきたからとりあえず14時くらいまで仕事したあと、ギンレイホールに映画を見に行く。
電車は普通に動いていた。
今回の映画は二本とも面白かったから見逃さないでよかったわ~。

映画『星の旅人たち』

2010年 監督:エミリオ・エステヴェス
製作国:アメリカ/スペイン
at ギンレイホール




ゴルフ満喫中の眼科医トム(マーティン・シーン)のもとに、一人息子のダニエル(エミリオ・エステヴェス)が死亡したという知らせが入る。
息子は聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅に出発した矢先に嵐に巻き込まれる事故にあっていた。
遺体の確認にフランスとスペインの国境の町までやって来たトムは、息子が果たせなかった巡礼の旅を息子の遺灰とともに歩くことを決意する。

一人息子とは決して仲が悪かったわけでもないが、よかったわけでもない。
自分の言うことをきかずに気ままに自分の人生を生きる息子とはしょちゅう軽い小競り合いをしていた。
なによりも大切だった一人息子が何を考え、巡礼の旅に何を求めていたのか?
トムにとっての巡礼の旅は、親子の対話の旅であったが、期せずして喪失から立ち直る旅にもなった。
その辺の描き方のさりげなさ、心境の変化が上手くて面白い。

トムはどちらかというと堅物なじいさんで、元々巡礼がしたくてやってきたわけじゃないからとにかく人を寄せ付けないし、巡礼の旅を楽しもうという気持ちも無い。
それでも個性的なはみ出し者が一人また一人とトムの周りに集まってくる。

"個性的なはみ出し者"と書いたけど、アイルランド人ジャック(ジェームズ・ネスビット)の登場シーンにはちょっと辟易した。
キャラ付けがオーバーすぎて、こんな感じであざとい登場人物がたくさん出てきたらどうしようかと思ったけど、ジャックは出会いの時が嘘のようにおとなしくなるし、ジャックが最後の旅仲間なのでとりあえずよかった。

エミリオ・エステヴェスは一人息子ダニエルとしても出演しているので、マーティン・シーンと本物の親子で親子役共演。

映画『キリマンジャロの雪』

2011年 監督:ロベール・ゲディギャン
製作国:フランス
at ギンレイホール




ヘミングウェイの短編とは関係なく、題名はフランスで1966年にヒットしたシャンソンの曲名から取ったらしい。
マルセイユに暮らすミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)が勤める会社では20人の人員削減が行われようとしていた。
労働組合の委員長でもあるミシェルは、公平を期すためリストラする人をくじで決めたが、くじの中には自分の名前も入れており、ミシェルも20人の1人になってしまう。
リストラされた夫ミシェルを優しく迎える妻マリ=クレール(アリアンヌ・アスカリッド)。
そんな中、結婚30周年のパーティが子供たちや友人たちにより盛大に催され、アフリカキリマンジャロへの旅行券がプレゼントされる。
仕事はなくなっちゃったけど暫くは夫婦水入らずで過ごそう、みたいな幸せムードから一転、突然押し入った強盗が幸せをあっさり奪っていく。

偽善的と言われてもおかしくないほど人のいいミシェルとマリ=クレール。
マイク・リーの『家族の庭』では、同じく偽善的な夫婦が無意識に(あるいは偽善者の自己愛の結果)周囲の仲間たちをみじめな姿に追いやる様を残酷なタッチで描いていたけど、この映画の偽善者像はまたちょっと違う。
まず、夫婦が行う偽善行為はストーリー上はっきりと非難、否定される。
夫婦は葛藤する。
不合理に幸せを奪っていかれた憎しみを忘れないのか、優しさを取るのか。
夫婦がそれぞれ出した結論は偽善的で自己満足とも言えるが、なんだろう、この温かさは。
それに、あんなに犯人を憎んでいた妹夫婦にまでその大きな愛情を伝播させてしまうとは。
見終わって優しい気分になった。

ああ、なんかこれだけ書いたらこの映画も『家族の庭』も偽善者を描いた映画みたいに思えちゃうけど、そういうわけじゃないから。
この映画に関しては、労働者階級の貧困とか力強さとか、階級闘争世代と若者世代の認識の断絶とか、夫婦愛とか、妬みとか、いろんな正と負の要素がマルセイユの景観の中さりげなく組み込まれていて、それらが最後は大きな愛みたいなものに包まれて見事に昇華して温かい気分になる、っていう映画かな。

結婚30周年パーティでブロンディの曲で若者達が踊っているのを見て、一瞬時代設定は2,30年前なのかと思ったけど、一応設定は現代らしい。
ちなみに曲名忘れたから調べたら「ハート・オブ・グラス」(1979)だった。

主人公のミシェルを演じた役者さんが凄く馴染みのある顔で、何の映画に出ていたんだっけと考えても思い出せず、仕舞いには知り合いに似てるのかと思ったりもしたけど、帰って調べたらついこないだ見た『ル・アーヴルの靴みがき』にも警視役で出ていた人だった。
ジャン=ピエール・ダルッサン。
『画家と庭師とカンパーニュ』とか『サン・ジャックへの道』とか、面白かった映画にばっかり出ている。

2013年1月3日木曜日

映画『桐島、部活やめるってよ』

2012年 監督:吉田大八
製作国:日本
at ギンレイホール




テレビでCMがんがん流れていたからエンターテインメント性の強い映画なんだと思っていたけど、単館上映でひっそり公開してそうな映画だった。
朝井リョウのベストセラーの映画化ってことで宣伝に力入れていたのかな。
原作未読。

成績優秀でバレー部のキャプテンで、彼女は校内一の美人(らしい)、という学園の中心的存在の桐島が突然部活を辞めた。
辞めた理由は誰も知らない。
桐島を拠り所としていたバレー部やクラスの"イケてる"グループに走った衝撃は、桐島なんかと無縁だった他の生徒達にも波及していく。

生徒達の会話や空気感が非常にリアルで面白い。
学園ものの映画は多々あれど、生徒たちの会話にリアルを感じたのは中原俊の『櫻の園』以来だ。

週間少年マガジンに連載している『我妻さんは俺のヨメ』で、イケてる層、大丈夫層、イケてない層のピラミッド型ヒエラルキー図が出てきて、その時はあまり自分の高校生活と照らし合わせて実感がなかったけど、この映画見ていたら確かに"イケてる"グループみたいなものがあったような気がしてきた。
さすがに"イケてる"グループが"イケてない"グループを存在自体否定するように小ばかにするようなことはなかったとは思うけど、僕は授業はぎりぎりまでさぼってクラスにほとんどいなかったので実際はどうだったのかは分からない。
「おっまた~」みたいなくだりが気づいていないだけで、イケてない僕の身にも起きていたのかもしれない。
ああ、恐ろしいね~。

イケてないグループの映画部部長は、それなりに整った顔してるよなぁ、と思ったら神木隆之介だったんだね。
大きくなったもんだ。

イケメン菊池を演じた東出昌大は撮影当時23歳。

有望そうな若手が多く出演している中、前野朋哉を抑えて存在感を一番発揮していたのが橋本愛。
この子缶コーヒーのCMに出ていた子だよな。(このCMは暫く前田敦子だと思っていた)
かわいいとか美人っていうより、神秘的と言ったほうがいくらかしっくりくる不思議な顔立ちと存在感。
校内一の美人役の子とか、イケメン菊池の彼女役の子とか、橋本愛と並ぶと低級な庶民に見えてくる。
クレオパトラとかこんな顔してたんじゃないだろうか。
好きな顔立ちじゃないけど、今後が楽しみだな。
それにしても前田敦子の女優の道は橋本愛によりつぶされたと思って差し支えないと思う。

映画『テルマエ・ロマエ』

2012年 監督:武内英樹
製作国:日本
at ギンレイホール




初め30分くらいは超面白かったけど途中からなんか少し飽きてきた。
そりゃあずっとどたばたやっていたら疲れちゃうから次第にストーリーにシフトしていくのは当たり前の流れだけど、ストーリーがそれほど面白くない。
温泉宿のおっさん連中が出てきてからはあざとさも気になってくる。
広大なローマとせまっくるしい日本の対比も面白いし、日本のおじいちゃん達も面白かったんだけど、なんか惜しい感じ。
シリーズのドラマにしてゆったりやれば面白くなりそう。

監督の武内英樹はのだめドラマの演出家やっていた人らしい。
ああ、そうそう、このノリはまさにのだめじゃん。

ローマのシーンはCGじゃなくてセットに見えたけどどうなんだろうと思ったらやっぱりセットだった。
海外ドラマ『ROME[ローマ]』のセットを借りたらしい。

2013年1月2日水曜日

TVM『サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ』

1986年 監督:黒田昌郎
製作国:日本
TOKYO MX録画




「サンゴしょう伝説 青い海のエルフィ」と汚い字で書いた紙の切れ端を勉強机にセロテープで貼り付けていて、結局勉強机を処分するまでの10数年の間確か貼りっぱなしだったと思う。
なんでそんなもの貼り付けていたかというと、小学生の頃テレビで見たこのアニメに号泣し、次放送したら絶対ビデオに録画しようと思っていたから。
(この紙があったからふしぎの海のナディアが始まったときも間違って見ることはなかった)

新聞取っていないので普段めったにテレビ番組表を見ることはないのだけど、12/30に寝る前になにげなくネットで番組表を見たら『サンゴ礁伝説 青い海のエルフィ』の文字が見えて慌てて録画した。
偶然ってあるものだ。

ラストは覚えていたけど、細かいところは全く記憶に無く、始めて見る様な感覚で鑑賞。
いやぁ、いい作品だな。
ラストが普通のハッピーエンドだったら全てが記憶の彼方に飛んでいただろう。
そういえば、小学生の頃から高校生くらいまで僕は普通の職業に付く気がなかった。
建設系の仕事はもとより、経済に関わる仕事も含めて、とにかく人類の発展に少しでも繋がるような仕事はしたくなかったから。
このコンクリートのジャングルにどうやったら自然を取り戻せるのだろうと小学生の時まじめに考えていたからな。
そんな考えをしていたのも、そのルーツはこのアニメを見たからじゃないかと思えてきた。
さらなる豊かさを求めて海底でちょっと土木工事をしただけで「海を荒らした」って事になるんだから。
「人類の発展=自然破壊」なんだから、人類はもう発展をやめて現状維持、いや最早現状維持でも自然は破壊されていくからとりあえず退化しとこうぜ。

映画なのかと思っていたら、日本電信電話の冠スポンサー枠として放送された単発のスペシャルアニメだったらしい。
エルフィのキャラクタがナウシカと被るのだけど、さらにエルフィの声はナウシカと同じ島本須美さん。
アルカスの声は城みちる。
城みちるの再デビュー作品として話題になったらしい。
イルカにのった少年はアニメの中でイルカと戯れていました。