2014年6月29日日曜日

映画『小さいおうち』

2013年 監督:山田洋次
製作国:日本
at ギンレイホール




黒木華と倍賞千恵子はまったく別人だよなぁ。
というのは置いておいて、この予告編見たとき、なんか嫌だなと思ったのだけどなんだろう。
迫真の演技がどこか冷めた膜で無機的に遮断されているような違和感とかは、昔の日本映画(特に小津あたり)を見ているようでむしろ好きなんだけど、重要なせりふが始まる前にカメラが小さくぐぐっと回り込むところとか、バシッ、タッタッタって音を大きく入れているところとか、うーん、好きなはずなんだけど嫌いっていう。
古っ!って思いもあるかもしれない。

で、本編見終わった感想は、意外と普通だった。
予告編のシーンもなんか続けて見ると普通だった。
可もなく不可もなくという感じの普通。。

板倉さんは吉岡秀隆じゃなくてもう少し若い俳優だったら、と想像してみる。
加瀬亮とか松田龍平とか。

映画『そして父になる』

2013年 監督:是枝裕和
製作国:日本
at ギンレイホール




以前ネットで『もうひとりの息子』の感想を見ていたとき、この『そして父になる』がよく関連して名前が挙がっていた。
両方見た今、なるほど、気持ちは分かる。
子供の取り違えという共通の題材に対してどちらも見ごたえがあって面白いのだけど、こうもテイストが違くなるものか。

というか是枝監督が独特なのか。
展開が速いのか遅いのかわからない独特のリズム。
一見だらだらしているような日常会話の妙がどんな題材にもしっくりくる。

『もうひとりの息子』では国で分断されていたが、この映画では経済格差で分断されている。
こうも対照的によくできた設定だという意味で笑っちゃうくらいに家庭環境の異なる二組の家族だけど、どちらも日本の一般的な家庭。
似たような家庭で育っているならまだしも、こうも異なっていると簡単には元に戻せない。

リリー・フランキーと真木よう子の組み合わせが意外としっくりきていて驚いた。
真木よう子はエロい肝っ玉かあさんという感じで。
福山雅治と尾野真千子もしっくりきているけど、この4人の仲ではフクヤマが少し浮いている感じがする。
フクヤマが出ているドラマも映画も何も見たことが無いから違和感があるのかと思ったけど、役柄自体少し浮いていて、最後まで見るとその理由が分かる。
そして父になる、だからなぁ。

2014年6月15日日曜日

映画『鑑定士と顔のない依頼人』

2013年 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
製作国:イタリア
at ギンレイホール




長いけどそれを感じさせないくらい、まあ面白かった。
オートマータなんじゃね?というロマンがあって、覗き見というどきどきの視線を混ぜつつ(私に覗き趣味はありません)、ロマンから思いがけないロマンスが始まったり、愛する人のために夢中に屋敷を飛び出したり。

ここまでは良かった。
いささか出来すぎな気もしないでもない展開だけどそこは気にしないでいたら最後、ぽかーんとしちゃったよ。
このラストがまたいろいろ考察の対象となるのだろうけど、僕には何も考えられん。
覗き見た薄幸色白超絶美人がオートマータだったっていう方がまだロマンがあるぜ。

映画『メイジーの瞳』

2012年 監督:スコット・マクギー
製作国:アメリカ
at ギンレイホール




この映画のチラシとかポスターがメイジー(オナタ・アプリール)の顔のアップになっていて、これを見ていると『アフガン零年』を思い出して泣きそうになる。
こっちは都会のお話。

オナタ・アプリールってまた凄い子役が出てきたもんだ。
子役なのに小憎たらしさが無い上にかわいいというわけでは無いところも好感が持てる。
家族の物語であり、イケメン美女との恋愛物でもあり、ジュリアン・ムーアのロッカーぶりと容姿が破壊的である映画。

2014年6月1日日曜日

映画『ハンナ・アーレント』

2012年 監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
製作国:ドイツ/ルクセンブルク/フランス
at ギンレイホール




悪の凡庸さ
ドイツ系ユダヤ人の哲学者、ハンナ・アーレントの伝記物。
ナチスの大物戦犯アイヒマンの裁判を傍聴したアーレントはザ・ニューヨーカー誌にそのレポートを発表する。
このレポートの内容がユダヤ人社会から猛烈なバッシングを受ける。

ラストの講義は圧巻だった。
そんなに身構えなくても普通に楽しめる。

映画『偽りなき者』

2012年 監督:トマス・ヴィンターベア
製作国:デンマーク
at ギンレイホール




このふつふつと湧き上がるやるせなさとか怒りとか、『父の秘密』と違ってぶつける相手が明確にいないから困る。
頭の悪い園長とか正義感ぶったスーパーの奴らとか元友人達とかのひどい仕打ちに俺だったら精神崩壊するかもしれない。
でも主人公はめげない。逃げない。しっかり闘う。

前半ゆったりと主人公ルーカス(マッツ・ミケルセン)の優しい人柄とか、小さな村で気の置けない仲間達と楽しく日々を暮らす様子が描かれるから、そこからの落差がかなり痛い。
村は怖いなぁ。子供達のいじめは子供だから残虐といわれるけど、村八分とかいう子供のような大人によるいじめはもっと残酷。