2015年10月25日日曜日

映画『Mommy/マミー』

2014年 監督:グザヴィエ・ドラン
製作国:カナダ
at ギンレイホール




施設に入院させていた15歳の息子スティーヴ(アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン)を母親ダイアン(アンヌ・ドルヴァル)が引き取りにくるところから始まる。
なんでも施設で手が負えないくらいの暴れっぷりで強制退院みたいな形らしい。
母親はけばめで頭も悪そうな感じでなんかきついかも、と思ったけど、見終わるころにはOhマミーって感じに愛しくなっている。
スティーヴはADHDで、一度キレると母親をも殺しかねない暴れっぷりを見せるが、普段はちょっとやんちゃな少年といった感じ。
父親がいないので、母親と息子の二人三脚の生活が始まる。

この映画、画面サイズがなぜか縦横1:1になっている。
だから狭い。
構図によるのか、本来写っているはずの部分が強引に切り取られているような違和感まで感じる。
と、いっても段々慣れるんだけどさ。
途中、夢シーン等で横が広がったりして、その時の開放感がすごい。

2015年10月18日日曜日

映画『真夜中のゆりかご』

2014年 監督:スサンネ・ビア
製作国:デンマーク
at ギンレイホール




スサンネ・ビアの監督作って映像の雰囲気が面白いんだよな。
乾いているようでいてその奥には悲哀とかやるせなさとかそういう重い空気が淀むように漂っている。
だからサスペンスとか人間ドラマがよく合う。

真面目な警官アンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)は美しい妻アナ(マリア・ボネヴィー)と生まれて間もない赤ん坊とで幸せな日々を送っている。
ある日、通報があり以前逮捕したことのある男の家に向かったところ、育児放棄により浴室に放置されて糞尿まみれになっている赤ん坊を発見する。
同じ赤ん坊を育てている身として、この子をなんとか保護しようとするが、法の関係等で上手くいかない。
そんな時、自分の子供があーってなる。あーってなっちゃって妻は半狂乱で、追い詰められたアンドレアスは一石二鳥ばりの妙案、でも犯罪を思いつく。

最後に予告編でも謳っている「衝撃の事実」があるけど、サスペンスというよりかはその事実もまた人間ドラマのひとつになっている。
役者陣が皆鬼気迫る演技。サネ役のリッケ・マイ・アナスンなんか映画初主演らしい。

2015年10月4日日曜日

映画『駆込み女と駆出し男』

2015年 監督:原田眞人
製作国:日本
at ギンレイホール




本当自然が綺麗だわ。
日本の四季や寺や庭等々、いちいち美しい。
とまあ、NHKのドキュメンタリーを見ているわけではないのでそれはそれとしても、映画全体としてもなかなか面白かった。
原案は井上ひさしの『東慶寺花だより』。
風景のショットは時に冷酷に、時に厳しい世の中にもある人の優しさや愛情にほっとするのと同じように和む。
ただ、自然が綺麗な分、たまにセットがセットくさいく見えてしまうことがあるけど。

女優陣が皆綺麗だった。
じょご役に戸田恵梨香。
戸田恵梨香は脚が綺麗という以外今まで印象になかったけど、いい女優さんになっていたんだな。
お吟役に満島ひかり。
名前はよく聞くけど初めて見た。お歯黒とか眉なしでよくわからなかったがたぶん美人なんだろう。
ゆう役に内山理名。
男装が似合いすぎる。
法秀尼役に陽月華。
この人が一番気になった。元宝塚らしい。とにかく雰囲気があって映画女優としてひっぱりだこになりそう。
お勝役にキムラ緑子。
えっ、まあ綺麗ではないけど、この人沢村貞子並の名バイプレイヤーになりそうだな。

主演俳優に大泉洋。
口撃による大立ち回り見たときに、あっ、『幕末太陽傳』と思った人も多いはず。
フランキー堺がこの役をやったらもっと面白かったんじゃないかと思うけど適わぬ夢。
じゃあ大泉洋じゃなかったら誰がよかったんだろうと考えると、誰も思い浮かばない。
役者もやるお笑い芸人がよさそうな気もするけど、北野武、笑福亭鶴瓶、坂田師匠、、年齢も雰囲気も合わない。
そもそも中堅どころのお笑い芸人で映画俳優として見ることができる人って一人もいないもんな。


関係ないけど僕の中では駆込寺と言えば隆慶一郎の時代小説『駆込寺蔭始末』で、数十年ぶりに読みたくなってきた。

映画『龍三と七人の子分たち』

2014年 監督:北野武
製作国:日本
at ギンレイホール




どちらかというとコメディよりでなかなか笑える。
それでいて死はコメディチックでなく生々しい。
生々しいのに生々しいままギャグにしてしまうという荒業まで披露する。

ストーリーのほうは、とうに引退したやくざ達が再結集して現代やくざとやりあうというもの。
じじいやくざが正義で現代やくざが悪、という単純な構図でなく、じじいやくざも立派な悪なんだよね。
悪というかはた迷惑といったほうがいいか。
社会の中ですましてこじんまりと生きているよりこういう人たちの方が魅力的だったりする。
ただし実際には関わりあいたくないが。

バスの爆走シーンってバブル期のドラマとか映画とかバラエティとかでよくあったのに最近全然見ないな。
昔を懐かしむじじい達にリンクしてこういうシーンを撮ったのかな。

調べてみたら北野監督作は『座頭市』以来だった。
北野映画の孤独と、日常から何かの拍子にくるっと裏返って突然表出する死のイメージが好きで昔は結構見ていたんだけど、ギンレイホールであまりやってくれないからHANABI以降ほとんど見てないや。