2015年 監督:是枝裕和
製作国:日本
at ギンレイホール
予告編見て泣きそうになった映画は大抵本編見ても泣かない、というmy法則が再び実証されたものの、映画自体はかなり面白かった。
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという似ても似つかない美人4姉妹。
いや、映画見て姉妹兄弟親子、全然似てないじゃん、というのも野暮だけど、これだけ存在感のある4姉妹だと気になってしまう。全然似てないから!
っていうのも最初だけで、引き込まれていくと本当の姉妹のように見えるから不思議だ。
すずの寝顔を見て耳がだれそれに似ているとか、そりゃぁ耳くらいなら他人でも似ていたりするよなと思いつつも。
吉田秋生の原作を見ていないのだが、どこまで忠実に再現しているんだろう。
日常会話の妙はいつもより少なめな気がした。
(そういえば何年か前にやっていた「ゴーイング マイ ホーム」っていうドラマは是枝色満開だったな。日常会話だけでほとんど話しが進まない回があったりして)
カマドウマのシーンとか面白かったけど原作にもあるのかな。
全体的な印象としては、これはどちらかというと広瀬すずを愛でる映画なのではないかと思った。
それくらい広瀬すずの美少女っぷりがすさまじい。
役柄もあまりにもいい子すぎて何か裏が絶対あるんじゃないかと勘ぐってしまった。(結局とんでもなくいい子)
彼氏になりそうな男の子もイケメンじゃないし。
もう何年かしたら顔のつくりも変わってきそうだから、本当にいい時期に素晴らしい映画に出演してくれてありがたいことだ。
そういえば大竹しのぶが玄関に現れた瞬間に館内に少し失笑が起きたのだが、なんだったんだろう。
いや、なんとなくは分かる。
散々な言われようの母親が現れた、と思ったら大竹しのぶだった!
適任というか大竹しのぶならこの母親を十二分に表現してくれそうな期待感で俺も思わずにやっとしてしまったし。
綾瀬はるかは普段のぼーっとした感じから想像もつかないしっかり者の長女を演じていながら何の違和感もないという素晴らしさ。
長澤まさみは『ロボコン』を頂点として以降はぱっとしない感じがしていたけど、暫く見ないうちに演技の幅が広がっていた。
夏帆はよく知らないが昔の美少女風の顔立ちより今のほうが愛嬌がある気がする。
2015年12月30日水曜日
映画『きみはいい子』
2014年 監督:呉美保
製作国:日本
at ギンレイホール
中脇初枝の同名連作短編集が原作。
学級崩壊寸前のクラスの担任である新人教師岡野匡(高良健吾)。
モンスターペアレントやら生意気なガキどもやら家に帰れない子供やらと向き合う毎日。
一方娘を折檻している母親(尾野真千子)とママトモ(池脇千鶴)との交流。
そして一人暮らしの老人(喜多道枝)と障害を持つ子供を一人で育てる母親(富田靖子)との話。
の3本の話が軸になっている。
尾野真千子の話だけ独立しているのかと思ったら、池脇千鶴役の夫役が匡の同僚教師の大宮(高橋和也)だったんだな。それなりに関連してたんだ。
海があって丘があって陽光で光り輝く町。
幸せしかないような町で凄惨な事件、なんか起きたらいかにもって感じでつまらないところ。
起きるのはどこにでもありふれた状況や事件。
ありふれていたくなんかないのだが、たぶんありふれている「い~~!」ってなるような出来事。
ラストそこで切るかぁ。
凄惨な事件なら丸く解決でもするのだろうが、ことはこの町に閉じた話じゃないからねぇ。
結構面白かった。尾野真千子役の母親と娘とのやりとりは常に泣きそうになってしまった。
製作国:日本
at ギンレイホール
中脇初枝の同名連作短編集が原作。
学級崩壊寸前のクラスの担任である新人教師岡野匡(高良健吾)。
モンスターペアレントやら生意気なガキどもやら家に帰れない子供やらと向き合う毎日。
一方娘を折檻している母親(尾野真千子)とママトモ(池脇千鶴)との交流。
そして一人暮らしの老人(喜多道枝)と障害を持つ子供を一人で育てる母親(富田靖子)との話。
の3本の話が軸になっている。
尾野真千子の話だけ独立しているのかと思ったら、池脇千鶴役の夫役が匡の同僚教師の大宮(高橋和也)だったんだな。それなりに関連してたんだ。
海があって丘があって陽光で光り輝く町。
幸せしかないような町で凄惨な事件、なんか起きたらいかにもって感じでつまらないところ。
起きるのはどこにでもありふれた状況や事件。
ありふれていたくなんかないのだが、たぶんありふれている「い~~!」ってなるような出来事。
ラストそこで切るかぁ。
凄惨な事件なら丸く解決でもするのだろうが、ことはこの町に閉じた話じゃないからねぇ。
結構面白かった。尾野真千子役の母親と娘とのやりとりは常に泣きそうになってしまった。
2015年12月13日日曜日
映画『サイの季節』
2012年 監督:バフマン・ゴバディ
製作国:イラク/トルコ
at ギンレイホール
世界中が注目しているバフマン・ゴバディ監督です。
亡命中のためトルコで撮影。
クルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの実体験に基づく映画らしい。
詩人のサヘル(カネル・シンドルク)は美しい妻ミナ(モニカ・ベルッチ)と幸せに暮らしていたが、イラン革命により政治犯として収容されてしまう。
政治犯でもなんでもなかったのだが、ミナに思いを寄せる運転手のアクバル(イルマズ・アルドアン)が裏で糸を引いていたのだった。
世間では死んだことになっていたサヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)は30年後に出所し、妻を探し出す。
いやぁ面白かった。
もともとあった映像へのこだわりが、この作品で惜しげもなく開放されている。
映像美とかいっちゃうと胡散臭くなっちゃうし、実際映像美という感じではない。
あのコントラストの強い暗めの映像(銀残しかな)に突飛過ぎない幻想映像がしれっと紛れ込んで、地に足がついているのに混沌とした映像世界が出来上がっている。
幻想世界は詩人が主人公だからということだろうが、詩の世界の単なる映像化でもないし心地いいファンタジー映像でもなく、もっとこの映画のストーリーや雰囲気に則してこちらをえぐってくるような攻撃的な使われ方をしている。
『ペルシャ猫を誰も知らない』では音楽で畳み掛けてきたけど、今回は映像で圧倒してくる。
バフマン・ゴバディはまだ3作しか見ていないけど、なんか見るたびに雰囲気が異なるよな。監督名知らないで見てバフマン・ゴバディと当てる自信が全く起きない。
製作国:イラク/トルコ
at ギンレイホール
世界中が注目しているバフマン・ゴバディ監督です。
亡命中のためトルコで撮影。
クルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの実体験に基づく映画らしい。
詩人のサヘル(カネル・シンドルク)は美しい妻ミナ(モニカ・ベルッチ)と幸せに暮らしていたが、イラン革命により政治犯として収容されてしまう。
政治犯でもなんでもなかったのだが、ミナに思いを寄せる運転手のアクバル(イルマズ・アルドアン)が裏で糸を引いていたのだった。
世間では死んだことになっていたサヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)は30年後に出所し、妻を探し出す。
いやぁ面白かった。
もともとあった映像へのこだわりが、この作品で惜しげもなく開放されている。
映像美とかいっちゃうと胡散臭くなっちゃうし、実際映像美という感じではない。
あのコントラストの強い暗めの映像(銀残しかな)に突飛過ぎない幻想映像がしれっと紛れ込んで、地に足がついているのに混沌とした映像世界が出来上がっている。
幻想世界は詩人が主人公だからということだろうが、詩の世界の単なる映像化でもないし心地いいファンタジー映像でもなく、もっとこの映画のストーリーや雰囲気に則してこちらをえぐってくるような攻撃的な使われ方をしている。
『ペルシャ猫を誰も知らない』では音楽で畳み掛けてきたけど、今回は映像で圧倒してくる。
バフマン・ゴバディはまだ3作しか見ていないけど、なんか見るたびに雰囲気が異なるよな。監督名知らないで見てバフマン・ゴバディと当てる自信が全く起きない。
映画『雪の轍』
2014年 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
製作国:トルコ/フランス/ドイツ
at ギンレイホール
上映時間120分を超えたらそれだけで悪だと思う。
196分。
120分を少し超えるどこの話じゃない。
パルム・ドールとったかなんか知らないが今回はパスしようかと思ったけど、併映がバフマン・ゴバディなんだよなぁということでとりあえず見ることにする。
・・・まあ、意外と面白かった。
舞台はトルコのカッパドキア。
元舞台役者のアイドゥン(ハルク・ビルギナー)は親の遺産を引き継いでホテルの経営等をしている資産家。
地元紙にコラムを書く執筆業もやったりしてインテリ、ぶっている。
若い妻は慈善活動に勤しんでいる。
アイドゥンの妹は離婚してアイドゥンのいる実家のホテルに居候している。
この三者の確執、とアイドゥンが家を貸している家族とのいざこざが絡んで196分。
カッパドキアの奇妙な風景の中繰り広げられる物語は、うんざりするくらい面倒な普遍的な人間関係の物語だった。
基本会話劇。
風景と物語のギャップがすさまじい。
阿呆そうな妻が慈善事業の仲間を家に呼んだときのアイドゥンに対するいらつく言動やら、家賃を滞納する家族とか、最初アイドゥンだけがまともだと思っていたけど、アイドゥンはアイドゥンで大概嫌味な男だったりする。
別に殺人事件が起きるとかそんなんじゃないけど、会話劇の節々に人間の嫌な部分とかプライドとか悲しい部分が吹きだまっていて、面倒くせえなぁと思いつつも会話のやりとりでゆっくりと顕になる登場人物達の心情に引き込まれていく。
製作国:トルコ/フランス/ドイツ
at ギンレイホール
上映時間120分を超えたらそれだけで悪だと思う。
196分。
120分を少し超えるどこの話じゃない。
パルム・ドールとったかなんか知らないが今回はパスしようかと思ったけど、併映がバフマン・ゴバディなんだよなぁということでとりあえず見ることにする。
・・・まあ、意外と面白かった。
舞台はトルコのカッパドキア。
元舞台役者のアイドゥン(ハルク・ビルギナー)は親の遺産を引き継いでホテルの経営等をしている資産家。
地元紙にコラムを書く執筆業もやったりしてインテリ、ぶっている。
若い妻は慈善活動に勤しんでいる。
アイドゥンの妹は離婚してアイドゥンのいる実家のホテルに居候している。
この三者の確執、とアイドゥンが家を貸している家族とのいざこざが絡んで196分。
カッパドキアの奇妙な風景の中繰り広げられる物語は、うんざりするくらい面倒な普遍的な人間関係の物語だった。
基本会話劇。
風景と物語のギャップがすさまじい。
阿呆そうな妻が慈善事業の仲間を家に呼んだときのアイドゥンに対するいらつく言動やら、家賃を滞納する家族とか、最初アイドゥンだけがまともだと思っていたけど、アイドゥンはアイドゥンで大概嫌味な男だったりする。
別に殺人事件が起きるとかそんなんじゃないけど、会話劇の節々に人間の嫌な部分とかプライドとか悲しい部分が吹きだまっていて、面倒くせえなぁと思いつつも会話のやりとりでゆっくりと顕になる登場人物達の心情に引き込まれていく。
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