2015年 監督:パブロ・トラペロ
製作国:アルゼンチン
at ギンレイホール
舞台は1980年代のアルゼンチン。
独裁政治が終結し、民主政治を取り戻しつつあった時代。
家長アルキメデス(ギレルモ・フランセーヤ)を中心に幸せで平和な生活を送っている(ように見える)プッチオ家。
子供もたくさんいて、特に長男アレハンドロ(ピーター・ランサーニ)は将来有望なラグビー選手。
しかし裕福で近所からも慕われるこの家族にはある秘密があった。
1983年にアルゼンチンで実際に起きた事件らしい。
緊迫の警察突入シーンにを冒頭に持ってきてからそんな状況と無縁な家族の光景を映したり、未来の不安から夢で未来の結末を見てしまったり、と、時間軸の入れ替えでなにこれっていう驚きを入れたりしてなかなか飽きさせない展開。
で、不思議で面白いのは、コメディ的な雰囲気とシリアスのバランスで、これはなんなんだろうっていう独特な空気が漂っている。
コメディといっても笑いがあるというよりかは主に音楽によるのかな、エンターテインメントのような感じ。
エンタメ要素が強すぎると茶化しているようになってしまうが、そこまではいかないのでその犯罪行為自体の残酷性は揺るがないし、彼らをヒーロー視しているようにもならない。
っていうバランス。
シリアス一辺倒ではなくエンターテインメントの雰囲気を加えると、ただ単純に面白いってだけじゃなくて、なんだかアルキメデスの見方も変わってくる。
アルキメデスは飽くまで冷酷な犯罪者であり憎むべき対象ではあるっていうのは確実だけど、エンタメ要素によってこの人物に少し愛着が出て来ると、憎しみに加えて少し憐れみも加わってくる。
無口で家長として偉ぶっているアルキメデス。
家族思いのアルキメデス。
息をするのと人を殺すのが同列なアルキメデス。。。
殺人に対するモラルの欠如って、アルキメデスが生きてきたアルゼンチンの時代により植え付けられたとすると、彼も被害者に思えてくる。
で、重要なのがバランス。
憎しみ7、憐れみ3くらい。この辺がちょうどいい。
ラストのアレハンドロはどうやって撮影したんだろうな。
マットにバフンして合成かな。
2017年3月26日日曜日
映画『人間の値打ち』
2013年 監督:パオロ・ヴィルズィ
製作国:イタリア/フランス
at ギンレイホール
夜の車道で自転車で帰宅中の男性が車にひき逃げされるところから始まる。
このひき逃げ事件の前後が3人の登場人物の視点で描かれる。
不動産業を営み、上流階級に憧れるディーノ・オッソラ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)。
資産家の妻で昔舞台女優もやっていたカルラ・ベルナスキ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)。
ディーノの娘でカルラの息子と付き合っている風なセレーナ・オッソラ(マティルデ・ジョリ)。
ひき逃げされた男も含めて登場人物が交錯する中、視点を転換しながら情報が小出しにされていく。
なかなか面白いサスペンスドラマ。
ディーノが冒頭から人の話を聞かない自分勝手なお調子者という雰囲気を醸し出していたけど、実際その小物ぶりが笑っちゃうくらいに面白い。
よくこんなぴったりな役者見つけてきたな。ってこの人『永遠と一日』に出演しているみたいだし結構有名なのかなぁ。
カルラ役にヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
この人『アスファルト』でもそうだったけど、何か物憂い表情させたら世界一だよな。
製作国:イタリア/フランス
at ギンレイホール
夜の車道で自転車で帰宅中の男性が車にひき逃げされるところから始まる。
このひき逃げ事件の前後が3人の登場人物の視点で描かれる。
不動産業を営み、上流階級に憧れるディーノ・オッソラ(ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)。
資産家の妻で昔舞台女優もやっていたカルラ・ベルナスキ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)。
ディーノの娘でカルラの息子と付き合っている風なセレーナ・オッソラ(マティルデ・ジョリ)。
ひき逃げされた男も含めて登場人物が交錯する中、視点を転換しながら情報が小出しにされていく。
なかなか面白いサスペンスドラマ。
ディーノが冒頭から人の話を聞かない自分勝手なお調子者という雰囲気を醸し出していたけど、実際その小物ぶりが笑っちゃうくらいに面白い。
よくこんなぴったりな役者見つけてきたな。ってこの人『永遠と一日』に出演しているみたいだし結構有名なのかなぁ。
カルラ役にヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
この人『アスファルト』でもそうだったけど、何か物憂い表情させたら世界一だよな。
2017年3月12日日曜日
映画『ハドソン川の奇跡』
2016年 監督:クリント・イーストウッド
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
いきなり街中に飛行機が墜落して大炎上してんだけどなにこれ、っていう始まりから、事故の回想と夢と現在を効果的に入れ替えながらスリリングに展開していく。
初め、墜落後に機長がなぜか生きていてテレビではハドソン川に不時着のニュースが流れているしで、これは機長は未来予知の能力があって墜落を回避したのだな、などとSF脳で納得していたけど、いたって現実的なお話だったのだと大分経ってから気づいた。
なにせ実話だからね。(というのもエンドロールで知った)
離陸後まもなくバードストライクで両エンジン停止。再点火を試みるも反応せず。
管制官からは空港に引き返せとかどこそこの空港に行けとか指示が出るが、ベテラン機長はこの高度ではどこにも行けないと判断し、ハドソン川への不時着に踏み切る。
そんな無謀な試みは成功しないと思われたが、見事に成功し乗客は全員無事生還した。
機長は一躍英雄となる。
っていうだけなら映画はすぐ終わってしまう。
問題はこの英雄に嫌疑がかけられるということ。
ハドソン川への不時着は本当に正しい判断だったのか?乗客を無用な危険に晒したのではないか?
見た目も派手な生還劇を随所に挿入しながらサスペンス風の人間ドラマが展開され、しかも最後には痛快なラストまで用意されているこの構成は本当よくできている。
最近緒川怜の『霧のソレア』っていう偏執的に描写が細かい航空機パニック小説を読み終えたばかりなので余計面白かったな。
主演トム・ハンクス。
副機長にアーロン・エッカート。不自然なくらいむきむきだった。
これ書いている前日にビックカメラふらふらして4Kテレビの前に来たとき、この映画が流れていたんだよね。
映画館ではトム・ハンクスの肌ツヤのいい若々しさに驚いたけど、4Kテレビの映像を間近で見ると結構あれだった。。4K恐ろしい。
製作国:アメリカ
at ギンレイホール
いきなり街中に飛行機が墜落して大炎上してんだけどなにこれ、っていう始まりから、事故の回想と夢と現在を効果的に入れ替えながらスリリングに展開していく。
初め、墜落後に機長がなぜか生きていてテレビではハドソン川に不時着のニュースが流れているしで、これは機長は未来予知の能力があって墜落を回避したのだな、などとSF脳で納得していたけど、いたって現実的なお話だったのだと大分経ってから気づいた。
なにせ実話だからね。(というのもエンドロールで知った)
離陸後まもなくバードストライクで両エンジン停止。再点火を試みるも反応せず。
管制官からは空港に引き返せとかどこそこの空港に行けとか指示が出るが、ベテラン機長はこの高度ではどこにも行けないと判断し、ハドソン川への不時着に踏み切る。
そんな無謀な試みは成功しないと思われたが、見事に成功し乗客は全員無事生還した。
機長は一躍英雄となる。
っていうだけなら映画はすぐ終わってしまう。
問題はこの英雄に嫌疑がかけられるということ。
ハドソン川への不時着は本当に正しい判断だったのか?乗客を無用な危険に晒したのではないか?
見た目も派手な生還劇を随所に挿入しながらサスペンス風の人間ドラマが展開され、しかも最後には痛快なラストまで用意されているこの構成は本当よくできている。
最近緒川怜の『霧のソレア』っていう偏執的に描写が細かい航空機パニック小説を読み終えたばかりなので余計面白かったな。
主演トム・ハンクス。
副機長にアーロン・エッカート。不自然なくらいむきむきだった。
これ書いている前日にビックカメラふらふらして4Kテレビの前に来たとき、この映画が流れていたんだよね。
映画館ではトム・ハンクスの肌ツヤのいい若々しさに驚いたけど、4Kテレビの映像を間近で見ると結構あれだった。。4K恐ろしい。
映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』
2015年 監督:マイケル・グランデージ
製作国:イギリス
at ギンレイホール
読んだことないけどアメリカの作家トーマス・ウルフと、彼を見出した名編集者のマックス・パーキンズの物語。
雨降るニューヨークに傘もささずに立って印象的に足を踏み鳴らす男と小気味良い校正の赤鉛筆の音。そしてモノクロからカラーへ。
これから始まる壮大な物語への期待をふくらませる(ような)冒頭の演出に、なんか嫌な予感がしたものの、まあ普通には面白かった。
娘だらけで息子がいないパーキンズとトーマス・ウルフの親子のような絆とか、膨大な量の文章を商業ラインに乗せるために編集(削除)していく作業の苛烈さや対立とか、愛人の倒錯した愛憎とか、トーマス・ウルフの奇人ぶりとか、なんかいろいろ要素があるけど、編集作業の内幕がメインなのかな。
人間ドラマ部分は少し唐突というか駆け足気味だし。
パーキンズ役にコリン・ファース。
トーマス・ウルフはジュード・ロウ。
愛人のバーンスタインはニコール・キッドマン。ジュード・ロウよりずっと年上じゃね?と思ったけど、実際バーンスタインはトーマス・ウルフの18歳上だったらしい。
F・スコット・フィッツジェラルドにガイ・ピアース。
アーネスト・ヘミングウェイにドミニク・ウェスト。
製作国:イギリス
at ギンレイホール
読んだことないけどアメリカの作家トーマス・ウルフと、彼を見出した名編集者のマックス・パーキンズの物語。
雨降るニューヨークに傘もささずに立って印象的に足を踏み鳴らす男と小気味良い校正の赤鉛筆の音。そしてモノクロからカラーへ。
これから始まる壮大な物語への期待をふくらませる(ような)冒頭の演出に、なんか嫌な予感がしたものの、まあ普通には面白かった。
娘だらけで息子がいないパーキンズとトーマス・ウルフの親子のような絆とか、膨大な量の文章を商業ラインに乗せるために編集(削除)していく作業の苛烈さや対立とか、愛人の倒錯した愛憎とか、トーマス・ウルフの奇人ぶりとか、なんかいろいろ要素があるけど、編集作業の内幕がメインなのかな。
人間ドラマ部分は少し唐突というか駆け足気味だし。
パーキンズ役にコリン・ファース。
トーマス・ウルフはジュード・ロウ。
愛人のバーンスタインはニコール・キッドマン。ジュード・ロウよりずっと年上じゃね?と思ったけど、実際バーンスタインはトーマス・ウルフの18歳上だったらしい。
F・スコット・フィッツジェラルドにガイ・ピアース。
アーネスト・ヘミングウェイにドミニク・ウェスト。
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